第六十二話〜朝チュン?〜
投下です!
***
「うーん……」
小鳥の囀りと朝日で目が覚める。
そうだ、昨日俺は酔い潰れて……ここはベッドの上か?
ふと右脇腹に違和感を感じ、そちらをを見ると……
「っ⁉︎」
『おはようございます』
(お、おはよう。こ、これは一体どうなってるんだ?)
改めて見てみるがやはり……シーニャさんが、横に、寝ている?
あー? これが朝チュン? ふーん? ていうかいつもはまとめてるからわからなかったけど意外と髪、長いんだな。
『めっちゃアホみたいな顔になってますよ』
はっ! なんか違う世界にトリップしてたぞ。
落ち着け、俺、考えるんだ…………ほへ?
『ほら戻って来てください、私が説明しますから』
(た、頼むよ)
『昨日貴方は酔い潰れました、それは良いですね?』
(ああ、そこまではわかる)
『その後シーニャさんは貴方をベッドまで運び、寝かせ、横に入ったと言うわけです』
(なるほどわからん)
『まあそうですよね……私もわかりません』
気にしてたら負けなのか?
この国の風習なのか?
まあいいや、考えたらキリがない。
そうして俺は考えるのをやめた……それじゃあダメじゃん、春風亭○太です!
……ダメだ、頭が疲れているのかアホみたいな考えしか浮かんでこない。
とりあえず起きよう、シーニャさんが横に居たら落ち着かん。
というかベッドで横に女性が寝ているということ自体が異常事態なのだ。
俺の心臓が保たない。
ゆっくり、シーニャさんを起こさないようにゆっくり上を通り過ぎる。
そしてちょうど覆い被さるような体勢になった瞬間、シーニャさんと目が合った。
「…………おはようございます」
「はい、おはようございます」
なんでそんなに冷静なの⁉︎
俺にもその強いハートが欲しい。
「あの……顔に何かついてます?」
「い、いえ大丈夫です! すぐどきますね!」
心臓が痛いほどに鼓動を刻んでいる。
目があった瞬間とか生きた気がしなかったもん……
ベッドから降りて改めて起き上がったシーニャさんを見るが髪を結んでいないだけでいつものメイド服だ。
よいしょ、とベッドから降りるがそのロングスカートやエプロンにはシワひとつない。
どういう寝方をしたらそうなるんだ。
「じゃあ朝ご飯にしましょう。パンでいいですか?」
「あ、はい、パン好きです」
寝てた件については完全にスルーなのね。
あれー? 俺の価値観がおかしいのかなー?
『安心して下さい、私もわかりません』
(ですよねぇ)
シージアとそんなことを話していると、
「おはよう……」
「おはよう」
「おはようございます」
アンナちゃんが起きてきた。
髪がボッサボサでアホ毛が五本くらい立っている。いつもは一本だけなのに。
「そこにブラシがあるのでそれで梳かしたらどうですか? かなり上等なものなので髪がサラサラになりますよ」
アキトさんも後でどうですか? と、シーニャさん。
お言葉に甘えてそうさせて頂いたがなんかすごかったです。
髪がツルツルになりました。
その後、朝ご飯を食べたが、談笑しながら朝ご飯を食べるなんて言うのは久しぶりのことだったので非常に楽しかったです。はい。
***
「作業場はここです」
場所は変わり王城のグラウンド? のようなところの裏手の小屋に居る。
アンナちゃんも一緒だ。
「材料は不足しないはずです」
「何があるんですか?」
「鉄はもちろん、銅、錫、亜鉛、タングステン、少量ですがミスリルとアダマンタイトもあります。他にもいろいろ揃っています」
そう言って小屋の扉を開け放つ。
そこには区画ごとに分けられて大量の鉱石やインゴットが置いてあった。
ほえ〜、ミスリルか、一体どんな物質なのだろうか?
(なあシージア、ミスリルとアダマンタイトってどんな金属なんだ?)
『ミスリルはチタンがあるでしょう? あれのnear β合金を溶体化時効処理したものです。Mpaが1274と硬鋼の一・五倍ほどと強いですね」
near β合金はかろうじて聞いたことがあるがMpaだと? なんじゃそりゃ。
『引張強さのことです。簡単に言うとどれだけ引っ張って千切れないか、ですね。つまりミスリルは軽くて強い、と言うことです』
なんだかわかったようなわからないような。
とりあえず比較的軽くて強いと言うことでいいんだよな。
(じゃあアダマンタイトは何なんだ?)
『アダマンタイトは超硬合金ですね、ダイヤモンドに次ぐ硬さがあります。欠点としては非常に重いことと加工がし難いということがあります、ですが貴方の能力なら大丈夫でしょう。それでも硬いとは思いますけどね』
(じゃあ俺の鎧より強いのか?)
『まあ硬さ的に言えばアダマンタイトは勝っています。ですが破壊されにくさといった点では魔力と結合したタングステンに軍配が上がりますね』
ほうほう、それは良かった。
一瞬で俺の存在意義が失われるところだった。
『まあタングステンで言うと魔力と結合することによって結晶が微細化し、強度が増すのと同時に生物的性質を帯びるのが強い原因ですね。だから魔力と結合するとその金属の長所がさらに増したり、不思議な力が。例えば銅は電気を伝えやすくなりますし、ミスリルはより軽く、より強靭になります』
ほ、ほう。
魔力と結合させるのが良いのか、よーくわかった、うん。
(じゃあ魔力と結合させまくれば良いんじゃないのか?)
『そんな簡単な話じゃ無いんですよ。魔力と結合させるにはその金属に合った魔石を見つけて処理しなければいけません』
話すと長くなるので割愛しますが、と言うシージア。
魔石が要るのか。
さっきのミスリルやアダマンタイトでもそうだったが魔石と聞くとやっぱりここは異世界なんだな、と認識する。
「不足はありませんか?」
「はい、大丈夫です」
「では作っていただけますか?」
「もちろん、喜んで」
「報酬はどうしますか?」
報酬か、考えてなかったな。
「うーん、じゃあシーニャさんが納得のいくものができたらここの材料をいくらかもらって良いですか?」
「それで良いのですか?」
少し意外そうな顔をするシーニャさん、だが俺はそれが良いのだ。
「ええ、お金よりも嬉しいです」
「それならそれで良いのですが……ではまずは鎌からお願いします。サイズは━━━━━━━」
こうして久々の武器作りが始まったのだった。
上手く出来る上がることを祈っておこう。
いかがだったでしょう?
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金属とかって調べるの楽しいですね!
次回投稿は二月三日の水曜日の予定です!




