第四十三話〜シージア様……〜
と、投下です!
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「アキトさん?」
「ど、どうも」
シーニャさんがこちらを向いて驚いたような表情を向けてくる。
い、一体なんなんだあの表情は。
「身体は、だ、大丈夫なんですか?」
「あ、はい。もうすっかり元気でして……」
実際のところは魔力を抑えてるので鎧がクソ重いがベッドに座っているので問題ない。
あとは……強いていえば全身が痒いくらいかな?
「ちょ、ちょっと先生を呼んできます!」
先生? ああ、シホ先生のことか。
それにしてもなんであんなに驚いていたのだろうか。
うーん、皆目見当もつかん、シージアに聞いてみるか。
(なあシージア、なんでシーニャさんはあんなに驚いてたんだろう?)
『あー、多分貴方の回復速度が異常だからでしょうね。普通は死んでますからね、だって腹を刺された人が三日で快復するなんて普通はあり得ませんよ』
た、確かに……
ん? ちょっと待てよ?
じゃあ下手したら俺が魔物だってことがバレるんじゃ無いのか⁉︎
『まあシホ先生がかなりお高い回復薬を使っていたので、なんとか誤魔化しが効くレベルではありますけどね』
よ、良かった……
(思うんだけどさ、シージアって意外と性格悪いよな)
いろんなところでからかったりしてくるんだよなぁ。
『そ、それは仕方ないですよこっちにだって言い分はあります。いやほら、私って高次元生命体じゃないですか、だから貴方とそのままで会うと会話が噛み合わないじゃないですか、だから人間の精神構造を作ってそこへ私の魂をインストールしたんですよ。ですが突然成熟した精神構造に私の魂をインストールしたらもちろん不具合が起きます、なので人間の精神構造を真似てはいるものの精神年齢はまだまだ幼いわけでして、だからちょっと未熟なところがあるのも仕方が無いと言いますか……』
うん、長い。
シージアがかつてないほど饒舌になってる。
(要するにシージアはまだまだ子供なんだな?)
『いや、その言い方だと私が幼いみたいに……いやまあ間違ってはいませんけどね⁉︎ いませんけど!なんというか……その……」
実はシージアはロリっ子シージアちゃんだったわけだ。
うーん、優しくしてあげよう。
(シージアちゃん、飴ちゃん要る?)
『あーもう!その“ちゃん“付けをやめて下さい!』
(まあまあ、そんなに怒らないでシージアちゃん。怒ると身体によくないよ?)
なんだかだんだん楽しくなって来たぞ。
『きーっ!』
(ほらほら、落ち着いて落ち着いて、シージア“ちゃん“?)
『…………わかりました。そっちがその気ならこっちにも手はあるんですよ』
ん? シージアは一体何を言ってるんだ?
『シュンヤさんと戦った後、ルーミラさん達の胸を見てずっとニヤニヤしてましたよね?しかも結局触らずにチキって!』
(チキ……それがどうしたんだ!男として普通の反応だろ⁉︎)
『輝夜ちゃんに言いつけますよ?』
(……やめてくれ)
輝夜に嫌われたら堪らん、寝込んじゃう。
ただでさえツンデレ気味だってのに。
これ以上ツンツンされたらもうどうにもならん。
『あれれぇ?人に物を頼む時には態度ってものがあるんじゃないですかぁねぇ?』
くっ……
こういうところがなんとなく性格が悪いんだよなぁ。
(……やめて下さいませシージア様……)
『良いでしょう、これでおあいこですね!』
(いやどう考えても俺の方がダメージでかいだろ……)
『いやいや私が受けた心理的ダメージというのは計り知れないですからね?』
うわ、シージアがなんだか嫌な新入社員みたいなこと言い出したぞ。
テレビとか動画サイトとかで見たことあるようなタイプの嫌な新入社員だな。
世間がハラスメントに厳しくなったからってそれにつけ込んでサボろうとするような感じの。
『と、嫌な新入社員のようなアホなことは冗談としてですね、これからどうしますか?』
突然話は変わりましたが、と付け加えシージアはそう質問してくる。
確かにそうだ、俺が倒れてる間にしようと思ってたことは大体終わってるからな。
(うーん、シーニャさんに武器を作ってくれって依頼されてたからそれをこなそうかな?)
『あー、確かにそうでしたね。私もシーニャさんがどんな武器を扱うのか少々興味があるんですよね』
確かにシーニャさんがどんな武器を使うのか想像し難いな。
片手剣や両手剣といった剣系統はなんだか違う気がするし、かと言ってハンマーとかはもっと違う気がするんだよなぁ。
『まあ今考えても詮無い事ですよ』
(そうかもな……でも一応いろんな物を作って工作に慣れておくとかしとかないとな、流石にぶっつけ本番じゃあ心配だからな)
『ですね……と、誰か来たようなので一旦引っ込んでおきますね』
ドガァンッ!
「ひぃぅっ⁉︎」
び、びっくりしたぁ……
心臓が止まるかと思ったよ……
「驚かせてしまったようですまないね、だが! 今は、それどころでは、無い! ほら! 直ぐにその鎧を脱ぐんだ!」
目を輝かせながらすごい剣幕で近寄ってくるシホ先生、なんだその矛盾した表情は。
それにしてもいきなり脱げとはそんな横暴な……
「え、ちょ、そんないきなり言われても」
「ほら早く!」
どうやら俺に拒否権はないようだ。
でも一体全体どうして俺に鎧を脱げと言ったのだろうか、鎧を脱ぐとなんというかそこはかとない不安に襲われるからあんまり全部脱ぐというのは好きじゃないんだけどな……
遅くなって申し訳ありません。
最近リアルの方がかなり忙しくなってきておりましてですね、それに伴って投稿頻度も落ちるかもしれません……
今月中には少なくとももう一話は更新したいと思っております。
これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。




