第三十九話〜メイドさんとご飯Part3〜
遅れて申し訳ありません!
投下です!
***
切り分けられたミートパイが木の皿の上に並べられる。
そして横にフォークを置いて俺に手渡して来る。
「アキトさんが椅子に座れないようなので、私も地面で食べましょう」
「そんな、俺は別に……慣れてますし、汚れてしまうでしょう?」
申し訳ないし、第一俺は鎧だから良いけど、シーニャさんはメイド服のままなのだから地面に座ったら汚れてしまう。
「いえ、ご心配なく」
そういってバサッと鮮やかな模様の入った敷物を広げるシーニャさん、一体その敷物はどこから取り出したんだ。
それにしても準備が良いな。
「ではいただきましょう」
座って隣をどうぞ、という風に自身の隣に手を向けるシーニャさん。
う、迷うな……照れるというか、怖い。
なんだか下手をしたら殺されそうな雰囲気がある、やっぱり本能が怖がっているようだ。
だがここは漢、鎧坂彰人、覚悟を決めて座りましょう。
「失礼します……」
一言断ってから、横に座る。
そしてミトーパイを一切れ、サクッと切り取り、食べようとしたところでバイザーを下げたままなのに気が付いた。
カシャッと小気味良い音を立ててバイザーが持ち上がる。
最初の錆び付いて開かないバイザーだった頃とは大違いだ。
こう考えると俺も中々成長したのかもしれない。
と、冷める前に頂かなければ。
そう思いつつ一切れ口に入れる、するとその瞬間に肉汁と一緒にハーブとニンニクの香りがフワッと口の中に広がる。
だが決して口の中に残るようなしつこさは無く、飲み込んだ後はサッパリとした香りが鼻を抜ける不思議な味わいだ。
それにパイ生地も厚いのだが、噛み千切りにくいといった印象は全く受けず、サクッとした食感を保ったままだ。
「おお……」
あまりの美味しさに思わず声が漏れる。
こんなにしっかりとした食事を摂るのが久しぶりというのもあるのだろうが、それを考えてもなお美味しい。
このクオリティなら、地球で店を出してもやっていけるどころか行列必至の名店になるだろう。
と、こんな芝居がかった感想が出てしまう程に美味しいのだ。
「美味しそうで何よりです。そこまで美味しそうに食べていただけると、私も嬉しいです」
「本当に美味しいですよこれは……お店が開ますよ」
「ははは、そこまで言ってもらえるとお店を開きたくもなりますが……生憎とそれは難しいですね。この温室でないと上手くハーブが育ちませんのでね」
「それは残念ですね……」
そんな会話をしている間に食べ終わってしまう。
かなり大きく切って貰ったのだが、ものの数分で皿は空になってしまった。
「ご馳走様でした」
そう言って手を合わせる。
「あら?アキトさんもその『ごちそうさまでした』というものをするんですね。この前、転生者の方達がしているのを見かけたのですがどう言った意味があるのですか?」
やべっ、ついいつもの癖でやっちまった。
シュンヤの前では気を付けていたけど、気が緩んでいたようだ。
「えーと、これはですね。シュンヤに教えて貰ったんですが、確か、『自分達が生きるために食べた生き物達に感謝する』という意味だったはずです」
そう、俺はあくまでシュンヤに教えて貰っただけだ。
決して俺が元から知っていたわけでは無い。
「そんな意味が有ったんですね良いい言葉です……教会の上層部にも聞かせてやりたい」
ん?
今、ぼそっと教会の上層部が何たらかんたらって言ってたよな。
本人は聞こえない程度の声で言ったつもりなのだろうが、残念ながら俺の地獄耳からは逃れられなかったようだ。
ていうかシーニャさんさっきから心の中の声がダダ漏れだな……
それで良いのか、シーニャさん。
まあとりあえずはスルーの方向で。
「ですよね、俺も初めて聞いた時はとても言い言葉だと思ったので真似ようと思ったのですよ」
「ですね、本当にとても良い言葉です」
そうはにかみながら言うシーニャさん。
うーん、別嬪さんだ。
それは置いといてだな、大体の日本の習慣とかはシュンヤから教わってと言うことにしておけばなんとかなりそうだな。
これは良い事を思いついた物だ、これから活用して行こう。
全然予定通りに投稿できない……orz
皆様、申し訳ございません……
次回投稿は十月三十一日とさせていただきます。
ではまた次回




