第三十八話〜メイドさんとご飯Part2〜
遅れて申し訳ありません!
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良い匂いがして来た、この匂いは……肉の焼ける匂いとニンニクとナツメグと何かしらの香辛料の匂いかな?
楽しみだな、どんな料理が来るのだろうか。
「はい、お待たせしました」
そう言ってこちらに歩いて来るシーニャさんの手には耐熱手袋が嵌められ、大き目の深皿が蓋付きで握られていた。
それをテーブルに置いてそっと蓋を開けると、フワッとハーブの良い香りが鼻腔をくすぐる。
「おお……!」
中身はミートパイのようだ、それもハーブの効いたヤツだ。
「ミートパイの種にこの庭園で作られたハーブや香辛料を混ぜ込んで作った特製のミートパイです。ハーブがお口に合うと良いのですが……」
「いえいえ!ぜんっぜん、大丈夫です!いやー、美味しそうですね!」
それにしても本当に美味そうだ、上のパイ生地にほんのり狐色についたコゲ目がとても食欲をそそる。
だがシーニャさんはそのさらに蓋をし、こう言った。
「まだ完成じゃありません、余熱で中心にゆっくりと火を通して外はサクッと中はジューシーに仕上げたいと思います。なので少し掛けていてください」
「あー……それなんですが、僕が座ったらですね、潰れてしましまいてですね……」
うーん、やっぱり自分が悪い事をしたのを人に伝えるというのはあんまり気分のいいことでは無いな……まあ自分が悪いわけだから正直に言わなければならんのだがな。
「そうなんですか?パッと見た感じでは大丈夫そうですけど……」
「このままではマズいと思ったので直したんですが……良かったですかね?」
「直した?貴方が?この椅子を?どうやって?」
少し混乱しているようだ、そりゃあこの見た目で錬成魔法が使えるとかは普通は考えつか無いよな……
「自分、錬成魔法が使えるんですよ。それで椅子を直したんです」
一応錬成魔法だということにしておこう。
ここで人じゃ無いってバレたら中々に面倒なことになりそうな予感がするからな。
というか最悪この場で殺されちゃう、シーニャさんめっちゃ強そうだし。
「ええ⁉︎貴方が錬成魔法を⁉︎」
えらく驚いた様子のシーニャさん、ちょっと誇らしい気持ちになるがここは我慢我慢、調子に乗って良いことなんてほとんど無いからな。
「はい、こう見えて結構得意なんですよ」
「じゃあその鎧もご自分で……?ってそれは無いですよね、結構作り込まれてますし……」
「いや、自分で作りましたよ」
「ええ!凄いですね!」
「へへ……そうですか?」
こりゃダメだ、めっちゃ口元がニヤけて来る。
ヤバイ、調子に乗っちゃいそうだ。
「今日会ったばかりの人にこんな事を頼むのも少しどうかと思うのですが……アキトさん、私に武器を作ってくれませんか?」
いや突然だなおい!
「え……武器をですか?作った事もなくは無いですが……僕で良いんですか?そんな本職でもありませんし……」
「プロじゃないからこそ良いんですよ!この国の錬成魔法つかいは頭が固い人が多くてですね……私に合う武器が中々無くて困ってたんですよ……」
「そうなんですか……メイ……いやなんでもないです」
メイドさんがなんで武器が必要なんですか?という質問はすんでのところで飲み込んだ、いや、ちょっと漏れてたけど何かを考えて目を輝かせて気が付いていない様子だし恐らく大丈夫だろう。
「おっと、そろそろパイが食べ頃ですね。そろそろ切り分けましょう」
そうだった、忘れてたぞ。
「よいしょ」
そんな少しジジ臭い掛け声とともにシーニャさんはパイを切り分け始めた。
すいません、今回は短めでした。
次回は余裕を持って十月二十二投稿とさせていただきますm(_ _)m
次回もご飯回です……
(このままじゃ話が進まない……)




