第三十六話〜めっちゃ強そうなメイドさん〜
遅れて申し訳ありません……
投下します!
***
あの後、槍使いの彼(名前は嶋田藤也というらしい、『さっきは済まなかった、改めてよろしくな!』と爽やかに挨拶をされた)と別れ、今はシュンヤに偵察の事を話そうとしている。
「なあシュンヤ、話があるんだがちょっと良いかな?」
「はい、どうしました?」
回りくどいのはなしだ、単刀直入に本題へ入ろう。
「明日、偵察に行こうと思うんだがどうだ?」
「偵察に……って要塞都市にですか⁉︎」
「ああ、強行偵察だ。流石に何があるかわからない状態では不安だろうからな、法皇様か誰かに許可を取ってくれないかな?あの様子じゃシュンヤは信用されているようだったしな」
関係ないけど強行偵察って言葉、なんかカッコイイよな。
「それは……わかりました。アキトさんの言う通り状況が全くわからないのでは兵士達も不安でしょうからね。許可が出るかはわかりませんが聞くだけ聞いてみますね」
「ああ、ありがとう、頼むよ」
「じゃあ行って来ますね」
でもヴァンさんとかどう考えても許可してくれなさそうなんだよなぁ……
普通はこんなタイミングで偵察があったら敵に何かしら怪しまれるからなぁ。
ここはシュンヤの交渉力に賭けてみよう。
頼んだぞシュンヤ。
***
シュンヤと別れた後、重大な事実に気がついてしまった。
それは……
「なぁシージア……俺、この世界の言葉を話せないぞ……」
そう、俺はこの世界の言葉を知らないのだ。
それも全くと言って良いレベルで、だ。
『あ……どうしましょう。これじゃ輝夜ちゃんのところにも行けませんし、困りましたね……」
うーむ、どうしよう。
本当にどうしよう。
「あ、そうだ。シージアが同時翻訳すると言うのはどうだ?」
『うーん、出来ないと言うことはありません。ですがかなりのタイムラグが生まれてしまうので。あまりお勧めはしません。同時通訳はできるんですがそれをすると微妙にニュアンスが変わってくることがあるんですよね』
「そうか……」
なら仕方ない……て言うかシュンヤといつ何処で合流するかも決めていないじゃないか。
これ、ホントにどうしよう……
そう迷っていると……
「どうかされましたか?」
「ん?」
女性の声だ、誰だ?でも言葉が通じると言うことは転生者か?
そんな事を思いつつ振り返るとそこにはメイドさんが立っていた。
それもかなりの別嬪さんだ。
メイドさんと言っても普通のメイドさんじゃなさそうだ、俺の魔物としての本能がこのメイドさんを怖がっている。
絶対的強者の雰囲気というかオーラが全身から醸し出されているのだ。
身長も俺よりは低いものの百八十センチはありそうな長身に、細身なのだが華奢にはとても見えない。
『この人、強いですね。体重も八十キロ以上ありますねこれは』
シージアがそういうが、女性の体重なんてそう簡単に知ってしまって良いものなのだろうか?
今はそんなことより逃げないと……って違う!
せっかく言葉が通じる人がいるんだからここは助けてもらおう。
「植物園に行きたいんですが、何処にあるかわからなくてですね……」
「ああ、それなら私について来て下さい、ちょうど私も植物園に用があるんですよ……それにしても大丈夫ですか?」
「ん?何がですか?」
なんだろう、心当たりが無いぞ。
「いや、生まれたての小鹿くらいに膝が笑ってますよ」
「大丈夫です」
「いやでも」
「大丈夫です、大丈夫ったら大丈夫です」
眉をひそめ怪訝な表情を向けてくるメイドさん、でも『あなたが怖くて震えてます』なんて言えるわけないじゃないか……
「……なら植物園に向かいましょうか。申し遅れましたが、シーニャと申します、普段は雑用メイドなので気軽に話しかけて下さい、できるだけ対応させていただきます。よろしくお願いしますね」
「僕はアキトです。こちらこそよろしくお願いします」
「では行きましょうか」
「はい」
***
うん、話すことが無い、気まずい。
ここは一つ話しかけてみるか……
「あのー」
「はい、なんでしょう?」
「植物園には何をしに行くんですか?」
「植物園に、客人のお連れの魔獣がいるのでそのお世話をしに行くのですよ。さっき一度会ったのですがとても良い子でした」
そう言って微笑むシーニャさん。
植物園に魔獣……輝夜の事かな?
「その魔獣の見た目とかってわかりますか?」
「はい、黒い、大きな亀のような姿だという事です」
こりゃあ輝夜で多分輝夜の事だな。
黒くて大きい亀なんてそうそういるもんじゃ無いだろうしな。
「そりゃあちょうどよかった、僕も輝夜、その亀の事ですね、に会いに行こうとしていたんですよ」
そう告げると少し驚いたように、
「あなたがあの子の主人なんですか?」
と言って来た。
「まあそうですね、主従関係というよりかは相棒みたいな感じですけどね」
「あの子ってかなり格の高い魔獣ですよね?」
格が高いどころじゃなくて魔獣と魔物の王様だけどな。
「はい、そうですね」
「やっぱりそうですよね」
それっきり何かを考えるように俯き、「あの子みたいな魔獣の主人が彼みたいな弱そうな人……?」と呟いていた。
思わず声に出たと言った風で普通だったら聞こえなかっただろうが生憎、この身体じゃ普通に聞こえた。
なんだか悲しいなぁ……強くならないと。
シュンヤとだってあの時シュンヤが操られていなくてまともだったら負けていただろうしな。
強くならないとな。
「そろそろ着きますね」
やっぱり植物園と言うからにはきれいな場所なのだろうか、そんな期待を抱きつつシーニャさんが指差した方を見ると━━━━━━━━━━━━
「お、おお……?」
森だった、俺の中にあった植物園のイメージがガラガラと崩れる音が聞こえるようだった。
いかがだったでしょう?
強いメイドさんってめっちゃロマンじゃないですかね?
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次回投稿は十月八日とさせていただきます……が新作を執筆しているので(遅筆なのに何をしてるんだと言う話ですが……)少し遅れるかもしれませんorz
どうかご容赦ください……




