第三十三話〜王様〜
投下です!
***
「まずはシュンヤ、ここは一体どこなんだ?」
まずはそこからだ、まあ大体予想はつくけどな。
「はい、ここはナルタ神聖王国の王城です」
ふむ、やっぱりな。
中々豪華な建物だからな。
「セリナさん達は大丈夫なのか?」
「はい、あの魔法陣は僕から一定半径以内の動物を転移させると言うものだったので彼女達もついて来ています、ですが危険な魔物や動物が一緒に転移してくる可能性があったので弓兵隊が待機していたのだと思います」
だからシュンヤを殴ってた俺が射たれた訳か……それにしても、あの一瞬で判断して射かけて来るとは練度が高いんだな。
「ほうほう、一つ疑問に思ったんだが……動物を転移するならなんで服とかもついて来るんだ?」
これは前々からの疑問だったのだが、一体全体どういう仕組みで服とかの装備まで一緒に転移して来るのだろうか。
「それは……ちょっと僕にもわかりませんね」
「ええ……」
「ま、まあ今はとりあえず王の所に向かっているとことですね」
そう言い訳がましく言うシュンヤ。
「ほらほら、話題を逸らすんじゃない」
「仕方無いですよ!転移魔法は僕の専門外ですし……」
そう言って目を逸らす……だが実際使う側からしてみればそんなものなのかもな。
うん、でもそれで納得できる訳が無い。
(助けて〜、シージエもん〜!)
『はいはい、転移魔法でなぜ装備まで一緒に転移されるのか、と言うことですよね?』
(そうそう、めっちゃ気になるんだ)
『まず転移魔法という物は座標を指定、その後細かな条件付けをしていく物なんですけど、その条件の指定によって変わるんですね。今回は身体の周り三十センチほどを指定いたようですね』
(じゃあ下手をしたら体の一部が飛ぶということもあり得るのか?)
『いえ、その場合は転移は失敗しますね』
ふーん、中々シビアな魔法なんだな。
ん?待てよ、体の身体の周囲三十センチということは……
「ああああああ⁉︎」
「うおっ、突然どうしたんですか⁉︎」
「お、俺の盾と武器が……」
な、なんてこった……
「あ……で、でも武器くらいまた作れば良いんじゃ無いんですか?」
「あれは輝夜の装甲を使った特別製なんだよぉ!滅茶苦茶貴重な、手に入りにくい金属を使って作ってるんだよぉ!」
「あ……」
そうだ!
取りに行けば良いんだ!
ハハハハ、なんだ、簡単なことじゃ無いか!
「シュンヤ、ここからあの森まで何キロくらいあるんだ?」
「……およそ七千キロほどです」
あー、無理だな。
とても歩いていける距離じゃ無い、日本列島を二倍したのと同じくらいの距離だ。
「そ、そうだ、転移魔法じゃ無理なのか?」
転移魔法ならば一瞬のはずだ、そう一縷の望みをかけてシュンヤの方を見る。
だがシュンヤは首を横に振るだけだ。
そうか……諦めるしか無いのか。
クソが!
「仕方ない、な。人生何があるか分かったもんじゃ無いな」
「ですね……」
仕方ない……だがこの程度でへこたれてたまるか。
そうだ、今も通りすがりの侍女さんらしき人がこっちを見るなり逃げていったがへこたれるものか。
***
そして五分ほど歩いてやっとそれらしき場所に着いた。
めっちゃ広い城だな。
「そろそろ王の所に着きます、ここからは兵士も多くなりますので静かにしておいてください」
「おう、いよいよか……ていうか王様ってこんなに簡単に会えるものなのか?もっと警戒しなくて大丈夫なのか?いくらシュンヤの友人とは言え、こんな怪しい奴をあっさり会わせるなんておかしく無いか?」
「それだけ僕が信用されているということですよ」
少し誇らし気にそう言うシュンヤ、何をしたらそんなに信用されるのだろうか。
「礼儀作法とかは大丈夫なのか?」
完全に忘れていた、ここで失礼があったら打ち首、みたいなことになるのは勘弁して欲しいものだ。
「まあ取り敢えず跪いて丁寧に話せば大丈夫ですよ」
そんなことで良いのか……
まあ大丈夫だと信じよう。
一応シージアには聞いておくがな!
(礼儀作法とかどうしたら良いんだ?)
『はい、適当で大丈夫ですよ』
え、マジかよ。
『地球のヨーロッパでもきちんとした「エチケット」と呼ばれるものが生まれたのはおおよそ十七世紀と言われています。この国も転移して来た子達のおかげで衛生水準などは上がっていますが、基本は一五世紀ほどの文化レベルなのでそこまで気にしなくても良いですね』
(だからシュンヤは信用されているのかもしれないな)
衛生水準を上げたり、新しい技術を伝えたようだからな。
さぞかし戦争の方も上手く行ってることだろう。
『ですね』
そんなことを話していると。
「アキトさん、着きましたよ」
着いたようだ。
そして兵士達が数人がかりで豪奢な扉を開ける。
兵士達に促されて扉をくぐる、すると。
そこは美しい部屋だった。
白位壁には金細工で美しい模様がが全面に広がっており、壁の上の方には力強くも繊細な彫刻が彫られている。
両脇には貴族と思われる人々が整列し、中央の玉座の両脇にはジョスティングヘルムの真っ白い鎧を着た騎士が佇んでいる。
そしてその玉座に座って居たのは、白を基調とし、レースや刺繍をあしらったドレスに身を包む銀髪の美しい━━━━━━━━━━━━少女だった。
ん、少女?
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次回投稿は九月十七日の木曜日とさせていただきます!
いやー、それにしても私、銀髪が好きなんですよね。




