第三十二話〜シホ先生〜
投下です!
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「医務室はこっちです!」
そう言って俺の手を引いて行くシュンヤ、その前に状況を説明して欲しいんだが……
なにがなんだかさっぱりだ。
「ちょっと状況がイマイチ把握し切れないんだが……」
「今は医務室です、その矢は特別製で鏃に殺傷力を高めるための返しがついていて、時間が経つと抜けなくなりますよ!」
「そりゃ困る!早く行かないと!」
「しかも血管を断ち切る構造になっているので血が出過ぎて死んでしまう……ということもあり得ます!」
え、えげつねぇ……
弓の殺傷能力って意外と高いんだな。
確かに血が止まらないな、かと言って止血のために筋肉に力を入れたら矢が余計に抜けなくなってしまう。
漫画とかの主人公スゲーな、俺みたいに体がデカくないのに矢とか結構食らってるけどピンピンしてるもんな。
と、そんな事を考えていると。
「着きました、ここが医務室です」
医務室に着いた。
とても大きくて豪奢な扉だ。
シュンヤが「すいません」と、扉をノックする。
すると……
「はーい!」
と女性の声が聞こえてくる。
そして現れたのは……
「あれ、どこから声が……?」
姿が見えないぞ……魔法か?
「なんだとキミ、いきなり失礼だな!私はこっちだ!」
足元から声が聞こえてくる、下を見るとちっちゃいくて、白衣を着たメガネ女医さんが立っていた。
なんで白衣があるんだ?
転生者が着せたのかな?
「あ、いや……つい」
それにしても小さいな、片手で持ち上げれそうなサイズ感だな……
「ほら、早く医務室に入るんだ、そのままじゃマズいんだろう?」
「あ、はい」
言われるがままに中に入って行く。
「さあ、そこの椅子に掛けてくれ。もちろん鎧は脱いで隅の方へ固めて置いといてくれ、椅子が潰れてしまうからな」
「鎧の下になにも着てないんだが……」
普通はなにかしら着るんだろうが鎧の方が本体だから気にならないんだよなぁ。
そう言えば俺のムスコってどうなってるんだ。
意識してみるとあることはわかる、まあ気にしても仕方ないな。
「今更気にすることでもないさ、男のいちもつなんて飽きるほど見たよ。あ、脱ぐのがしんどかったら手伝おうか?」
「いや、大丈夫だ」
なら遠慮なく脱がせていただこう。
留金を外して鎧を脱ぐたびに矢が数本落ちて行く。
だいぶ挟まると言うか、刺さると言うかしてたんだな……
そのまま外して行くといきなりシージアが話しかけてきた。
『あ、全部は脱がないように気を付けてくださいね。全部脱いでしまうと鎧の方に意識がいっちゃいますよ』
(あ、あぶねー!そう言うことはもうちょっと早く言ってくれよ……あ、でも義手も鎧扱いされるなら全部脱いじゃって大丈夫だよな?)
『あー、そうでした。はい、義手は鎧扱いで良いと思います』
なら大丈夫だ。
そして全裸になる。
実は全裸になるのは案外初めてだったりする。
「はい、脱ぎましたよー」
「じゃあこっちに……良い体してるな」
へ?
「元と言えば私は筋肉を見るために……と、そうじゃない」
早く座るんだ、と急かしてくる先生、なんだか理不尽だ。
そして椅子に座ると台を後ろに持って来てそれに飛び乗り、患部を見てもらう。
「ふむ、その筋肉のおかげでそんなに深く刺さっては無いし、後は細かい傷ばっかりだね。だけど古傷や他の場所はだいぶ酷いな……」
「え、そんなに?」
「ああ、なんだこの傷は……貫通しているじゃないか」
そう言って胸の傷を触る先生、シュンヤの方を見ると気まずそうに顔を逸らされた。
「しかもあちこちなんと言うか……とにかくボロボロだな。矢を抜いたらそっちの方も処置してやろう」
それはありがたいな。
そう言えば先生の名前を聞いてなかったな。
「先生の名前はなんて言うんですか?」
「私の名前か?私の名前は『シホ』だ、よろしく頼む。じゃあキミの名前を教えてくれ」
「俺はアキトです、アキトって呼んでください」
シホ先生か、なんとなく日本人チックな響きがあるな。
「わかった、アキトくんだね。じゃあ早速だがアキトくん、その肩に刺さった矢を抜くから力を抜いてくれ。出血の量からして、大きな血管は傷ついてなさそうだから抜いて大丈夫だろう」
そう言ってペンチみたいな器具を取り出す先生。
「え、それで抜くんですか?」
なんか抜歯するやつみたいな見た目をしてるからめっちゃ怖いんだが……
「ああ、これで一気に抜くんだ、傷が広がるから相当痛いぞ。なに、大丈夫だ、回復薬で治してやるさ。しかもこれを使わないといけないような矢は一本しかない、安心するんだな」
安心……出来るのかな?
(そういえばシージア、回復薬ってどんな成分でできてるんだ?普通に考えてこれで傷が塞がるなんておかしいだろ?)
『回復薬はあれです、細胞の活性化を促し、治すスピードを早くするだけですね。包丁で指を切ってしまった程度の傷ならすぐに治りますが、それくらい深い傷となると治るにも相応の時間がかかります』
そしてシージアは、まあ貴方なら大丈夫でしょうけどね、と付け足す。
「よし、じゃあ五、四、三、二、一、で抜くからな」
と、シホ先生。
俺も男だ、ここは覚悟を決めねば。
「じゃあ行くぞ、五、四、三、おりゃぁ!」
「っ⁉︎」
今、三で抜いたよね⁉︎三で⁉︎
「おお、声も出さないとは中々根性があるじゃないか。あ、三で抜いたのは力まないようにだからな、誤解するなよ、私はそんなサディストじゃないからな」
そう言いつつもテキパキと傷に回復薬を塗り、包帯を巻いていくシホ先生、手際が良い。
そして十分が経った頃。
「よし、これで良いだろう。明日、もう一度来てくれ。今は戦争中だからあんまり品質の良い回復薬が無いのでな」
「はい、わかりました」
「うむ、良いだろう」
そう言って頷くシホ先生、ちっちゃい。
この体で医務室を任せられるとは……素晴らしい腕だな。
そして医務室の扉が閉まる。
そしてシュンヤに向き直り。
「さて、この状況を説明してくれないか、シュンヤ」
そう、まだなに一つとして状況は分かっていないのだ。
遅れて申し訳ありません……
この頃ずっと遅れているような気がするので次回投稿は遅めにさせて頂き、九月十三日に投稿蔓予定です。
次回はやっと状況がわかるかもです……!




