第三話~鎧の魔物の初戦闘~
投下です!
『おーい! 起きて下さい! 早く!』
朝から騒がしいなぁもう……
「どうしたんだシージア?」
『オオカミです! 囲まれてます! 20匹程いますね。しかもボスはガルムという魔獣です』
シージアによるとガルムの特徴としては紫色の体毛と額から生えている角とのことだ。
それにしても数が多い、一体なぜだ?
「なんで狼がここに? しかも20匹? しかも魔獣だと?」
『昨日、内臓を捨てたじゃないですか!しかも貴方、血塗れだから手負いだと思われてるんですよ!』
そういうことか、もっと注意しておけば良かった……
「次から気をつけよう……生きてたらだがな」
こんなところで殺されてたまるか、絶対に生き延びてやる。
『恐らく大丈夫ですよ、貴方は鎧ですよ? しかも人間だった頃に比べてだいぶと筋力も上がってますからね』
シージアがそう安心させるかのように言ってくる。
正直少し安心した。
「そうだとしても怪我とかしたらそこから病気とか入って来そうだからあんまり戦いたくないんだが、どうにか戦わずに済まないのか?」
『いやー、ちょっと厳しいと思いますよ。だって見てくださいよあの目、めっちゃ血走ってますよ、よっぽどお腹が空いてるんでしょうね。もし貴方が手負いに見えなくてもあれは襲って来る目ですよ』
「じゃあ負けたらあいつらのご飯になるのかな?」
『まぁそうなりますね』
それは嫌だなぁ。
「先ずは威嚇でもしてみるか……」
『どうやって威嚇なんてするんですか?』
「叫ぶ」
『中々古典的な手ですね……まぁそういう単純な手が一番効果的かもしれませんがね』
「というかそれ以外あんまりどうしたら良いかが思いつかないんだよ」
『石を投げつけるとかどうですか?』
「なんか怒らせるだけで終わりそうじゃないか」
もしそうなったら目も当てられないぞ……
凶暴な飢えた狼達に……なんか違う意味みたいだなおい。
「よーし、やるか…」
『頑張って下さいね、こんな所で死なれたら困りますよ……』
「まぁ、見てろって」
大きく息を吸って━━━━━
「ガァアアァァァァァァアァァァァ!」
『これは怖いですね、でも……効果は薄そうですよ?』
マジかよ……
ていうか更に目がギラついた気さえするんだが。
「なんか魔物としてのプライドがへし折られた気がする……」
『まぁ、あんまり気にしない方が良いですよ。っと来ますよ!』
「了解!」
正面から一匹とタイミングをずらして左右二匹が飛びかかって来る。
正面一匹に肩から体当たりを喰らわせつつ左右からの攻撃を避ける。
「ギャンッ」
よし、手応えありだな。
そう思った俺の背中に衝撃が走った。
左右から飛びかかって来た狼のどちらか一方が背中に取り付いたのだ。
俺は後ろに倒れ込む。
「ギュエッ」
呻き声と共に骨の折れる感触が伝わって来る。
どうやら鎧の重量を使って押し潰せたようだ。
急いで立ち上がり追撃が来ないか辺りを見回す。
よし、追撃は来ていない。
『改めて言いますが気をつけて下さい、ボスのガルムは魔法を使って来ますよ』
「了解」
今度は正面から四匹同時に飛びかかってくる。
一瞬どうしようか迷いが生まれ動きが止まってしまう。
その隙を突かれ、腕と肩に飛びつかれ、地面に引き倒される。
だが、身体を捻って右腕に取り付いた狼に膝蹴りを全力で叩き込む。
「おりゃぁ!」
そして、足を元に戻す時の反動を利用して左腕の狼を地面に叩きつける!
「グェッ」
よし、上手く行ったぞ。
すると肩に取り付いていた狼が急に離れた。
不審に思いつつ立ち上がる、すると━━━━━
ガギィン!
「がぁ⁉︎」
凄まじい音と共に右肩の肩当が剥ぎ取られた。
『魔法です!今のは「石礫」という魔法です!』
「予備動作は無いのか!?」
『アイツは角を媒体にして魔法を撃って来るので角をこっちに向けたら要注意です!ですがあの程度の魔物であればそんなに連射してくる事は無いと思います』
「了解だ!」
狼の攻撃と魔法の予備動作を同時に見なければいけないのか。
中々ハードだな……
まぁ、やるしかないんだがな。
『私も魔力を検知出来るので魔法が来そうになったら警告するので安心して下さい!』
「頼むぜ、シージア……」
残りの動ける狼はボスを合わせて十六匹。
俺は肩の装甲が無い、と。
全然気が抜ける状況じゃないな……
こっちから仕掛けるか。
「ふんっ!」
さっと拳大の石を二つ拾い先ず片方を狼を飛び越すように投げる。
そして二つ目の石を一つ目の石を目で追った狼の一匹に向かって投げつける。
「キャン!」
石は狼の脚に命中し、どこかの骨が折れたのか足を引きずりながら後退して行った。
シージアが声を掛けてくる、
『魔法、来ますよ!3、2、1、今です!』
「よしっ!」
今度は避けれた。
このまま勢いで押し切ってやる。向こう側はこちらの出方を窺っている様だ。
そのまま睨み合いが続く。
先に痺れを切らしたのは狼の方だった。
「ガウッ」
ボスの合図と共に十匹以上の狼が一斉に飛びかかってくる。
やばい、逃げ場が無い。
どうする? 働け俺の灰色の脳細胞!
そして良い案が考えつかないつかないままに飛びかかられた。
またもや地面に引き倒される。
二度目の人生ももう終わりか……儚い二日だった……
そう諦めかけたが、
「あれ?」
鎧のお陰で傷を負うことはない、だが狼達の重量によって動けない。
拘束プレイってやつか?
『そんなしょうもない事を言ってないでどうやって脱出するかを考えて下さい!』
「分かってるよ」
しっかしどうしたものかな?
こうガジガジ噛まれてるのは良い気分じゃ無い。
それに、何より唾液がベトベトだ。
これが噂のローショ━━━━━
『黙りましょうね?現実逃避しないで下さいね?』
「……はい」
すいませんでした、こんなアホな現実逃避をしている場合じゃなかったです。
って痛い痛い!さっき魔法で肩当が剥がれた所に爪が刺さってる!
しかもガルムが腕に噛み付いて来たぞ!
ヤバイ、腕当てがミキミキ軋んでるぞ⁉︎
「このワンコロがっ!これでもくらえっ!」
ブチィ!
「ギャウッ⁉︎」
体毛を無理やり抜かれたガルムはあまりの痛みに奇妙な声を上げながら飛び退いた。
それに注意が向いて押さえつける力が弱まった狼達を一気に引き剥がす。
そして右手と左手のそれぞれに狼を掴み地面に叩きつける。
「「グゥ!」」
というくぐもった声と共に気絶したようだ。
「よ、良し!抜け出せたぞ!」
『やりましたね!』
残りの狼達は群れの半数以上が戦闘不能に陥った事に流石に分が悪いと考えたのか逃げていった。
それを見えなくなるまで見送り━━━━━
「つ、疲れたー!でも俺は生き残ったぞ!」
『撃退出来て本当に良かったですよ……』
で、これからどうするかな。
とりあえずこの狼の死骸をどうしようか……
幸いと言っていいのか分からないが気絶した狼は残りの狼が連れて帰ったようだ。
「残りの狼は……食べる?」
『まぁ……そうですね。そうするにしても血抜きとかしておかないといけませんね。』
「よし、この肩当の破片を使って……」
ザクッ
「これで川にしばらくつけておけばそれで良し、と」
流水につけておけば血が固まらずに流れるし、血の匂いも薄れるはずだ。
それに冷えるから腐るのも多少なりとも遅らせられるはずだ。
『今の戦いを見てて思ったんですけど、貴方、鎧の魔物の能力を理解してませんね?』
「え……?能力なんてあるのか?」
ただ単に力が強いくらいかと思っていたんだが……
チートみたいな能力だと楽で良いんだがな。
『そりゃもちろんありますよ。ということで貴方にその能力を教えようと思います!』
「お!それじゃあ早速教えてくれ!」
『その前にその狼の血抜きを済ませて来て下さい!』
「はい……すいません」
そんなこんなで僕は鎧の魔物の能力を教えて貰う事になりました。
次は能力説明回です!
一体どんな能力があるのでしょうか!?
お楽しみに!
追伸:次回から本文を3000文字程度にして更新頻度を上げようと思います。