第二十七話〜食事の時間〜
投下です!
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転生者達との共同生活を始めて早くも三日。
一度言ってしまったことは取り下げるのは格好がつかない、そんな妙なプライドのせいで始まってしまった転生者達との共同生活だったがこれが案外楽しいものなのである。
転生者達はアホだった。
そりゃそうだ、俺が村を襲ってない証拠にしても、あんな雑にしか説明していないのに納得してしまうような奴らだ、アホに違いない。
だが実際、転生者達は有能だった。
力が違うのだ、輝夜が入れないようなところでの力仕事など、とても便利だった。
なんというか……アホというかお馬鹿なのだ。
言われたことや慣れたことはきちんと出来るがどこかズレているのだ、まあ仕事をきちんとこなしてくれるから文句はないけどね。
その上に、物資までたっぷり持っていると来た。
容量見た目の百倍以上あり、中の物の時間が止まるというマジックバッグの中に食糧やら武器やらがたんまり入っていると来た。
このマジックバック、シージアによると『正確には中に生きた生物が入れないので腐りもしないですよ』とのことだ。
しかもその武器の中には魔道具まであった。
魔道具というのは皆さんご存知の通り、魔力をエネルギーとして動く超便利な異世界の道具の総称である。
だがそれよりもっと嬉しいものがあった。
そう、調味料、香辛料に食材だ。
普段の食事といえば魚や兎や鹿などを焼く、もしくはそのまま食べるだけだったのだが、そこに塩や胡椒などの調味料や香辛料が手に入ったことによって大きく食事のクオリティが向上した。
転生者も元は日本人、やはり美味しいものにはこだわりがあるようで、塩や胡椒だけでなく、酢やオリーブオイル、さらにはピクルスやウインナーまでたんまり入っていた。
現在はその調味料達をふんだんに使って鹿のポトフを作っているところだ。
ポトフと言ってもそこまで難しいものではなく、焚き火台を作り、その上に鍋を乗せる。
そこに川で汲んできた水を入れ、ぶつ切りにした鹿の肉、シュンヤ達が持っていた塩、胡椒、野菜や煮込むだけの簡単な物だ。
ここにはコンソメが無いので鹿と野菜の出汁で代用する。
そこにソーセージを入れて脂の旨味を加える。
そしてしばらく煮込んだら塩を入れる。
「シュンヤ、ちょっと塩を取ってくれないか?」
「わかりました、どうぞ」
「ああ、ありがとう」
そう言って受け取ろうとして。
「おっと」
左手が無いことを忘れていて、落としてしまった。
まだ義手を作っていないのだ。
構造が複雑だから仕方ないね。
「あ、どうぞ」
神官のお姉さん、もといセリナさんが拾って渡してくれる。
「ありがとう」
そしてパッパと塩を振りかける、そして……
「よし、完成だ!あとは各自で胡椒や塩を足して食べてくれ」
「「「「おお〜」」」」
みんなが驚いたように声をあげる。
仕方ない、この二日はみんなかなり消耗していたので料理もろくにしていなかったしな。
巨乳エルフのサナさんがよそいでくれた。
膝の上に置いて右手でポトフを食べる。
うん、美味い。
片手だと少々食べにくいが義手を作るまでの辛抱だ。
シュンヤ達も美味しそうに食べている。
何よりだな。
『それにしても料理なんて出来たんですね。意外ですよ』
(確かに意外かもな。うちは母さんが働いてたから俺の方が帰りが早いこととかもよくあったから俺が料理を作ることもよくあったんだよ)
『そうでしたね。ちょっと悪いことを聞いてしまいましたね……』
(ははは、大丈夫だよ。もう過ぎた事だしそんなに気にして無いよ)
『中々精神力が強いんですね、私の時はかなり長い間凹みましたけどね……』
ん?私の時?
それはどういう事━━━━━━━━
「アキトさん、その兜とか鎧は脱がないんですか?」
「あー……」
(なあシージア、今の俺の顔ってどうなってるんだ?)
『とりあえずは人間の顔ですよ。詳細はシュンヤさん達に聞いてみてください』
おお、とりあえずは人間の顔か、なら脱ぐか。
バイザーを上げ、後頭部を持ち上げる様にした兜を外す。
すると……
「おお……」
「どんな顔だ?鎧を脱ぐのは久しぶりでな」
「とても魔物とは思えないです……なんというか歴戦の傭兵の様な雰囲気ですね」
ルーミラさんとセリナさんとサナも。
「あら、中々イケてる顔じゃない、まあシュンヤほどじゃ無いけどね」
「悪くないんじゃないですか?精悍な顔つきですよ。シュンヤほどではありませんが」
「うむ、中々の二枚目じゃな、シュンヤほどではないが」
と好評だった。
三人とも最後の一言が余計だがな。
シュンヤってそんなにイケメンかな……?
チラリと見てみると……
あ、めっちゃイケメンだわ。
なんというか永瀬廉の目つきをちょっと鋭くしたみたいな感じの顔だな……分かりにくい例えだな。
「あはは……コラコラ、アキトさんに失礼だよ」
「いやいや、認めたくはないがシュンヤが二枚目なのは事実だからな」
うん、本当にイケメンだ。
「あ、そうだシュンヤ、食べ終わったら話したいことがあるから後で来てくれ」
「分かりました」
そんなこんなで食事の時間は過ぎていくのだった。
また日付を超えてしましました……
申し訳ないです……
次回投稿は明日か明後日の予定です!(何分忙しいもので申し訳ないです……)
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