第二十四話〜転生者って強くね?Part3〜
投下です!
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俺はそのまま膝から崩れ落ちた。
転生者が刀を引き抜き、血を拭う。
「じゃあ後はあの魔物だけだな」
「チャチャっと倒して早く帰りたいものですね。聖獣様のことですし、私たちが居なくてもあんな薄汚い魔物に負ける訳がないんですけどね」
「ははは、まあそうだな。そうだルーミラ、降りて来てくれ!あの魔物の目を狙って矢を撃ってくれ!」
「ねえシュンヤ、この魔物って本当に死んだの?」
「ああ、胸を貫いたからな。死んだよ」
「ならいいや、早く倒しちゃってイチャイチャしたいな〜、なんてねっ!やだ、恥ずかしいっ!」
赤く火照らせた頬を押さえながら体をくねらせている。
「これが終わったら可愛がってやるからな。もちろんセリナもだよ」
そう言って神官のお姉さんにウインクをする。
「もう……今はあの魔物ですよ」
神官のお姉さんも満更ではなさそうだ。
そんな転生者達の後ろ姿を見ながら俺の意識は……
遠のきませぇぇぇぇぇん!
残念でしたぁぁぁぁ!
あの程度で死ぬわけないだろうがバーカ!
あー、それにしても痛いな……
モルヒネを投与したとはいえ完全に痛みが消える訳じゃ無いしな……
それにしても、それにしてもだ、俺は一体何を見せられてるんだよぉ!
あんなイチャイチャしてんのを見せられる俺の気持ちになってみろ!
『いやー、よく我慢しましたね。あそこで飛びかかったらどうしようかと内心ヒヤヒヤしましたよ』
(流石にそこまで馬鹿じゃないよ)
『それにしてもあの転生者強いですねぇ。貴方、一応本気で戦ったでしょう?』
(ああ、もちろん本気で戦ったよ。だが負けた、だから卑怯な手を使って勝つんだよ)
『まあそうですね、卑怯でも勝ちは勝ちですからね。ちなみに「あの手」を使うつもりなんですか?』
(ああ、そうだな。それにしても輝夜には助けられてばっかりだな)
『まあいいんじゃ無いですかね?バンバン頼っちゃいましょう!』
(はは、まあそうだな。よしシージア、点火は頼むぞ)
『任せてください、私にかかれば楽勝ですよ』
よし、じゃあ輝夜に合図を送らないとな。
地面をトン、トントンと少し強めに叩く、すると輝夜が甲羅に潜り、防御体勢を取る。
転生者が「俺の力に恐れ慄いたか!」などと頭の悪そうなことを言っているが気にしない。
そしてシージアが点火する。
何に点火するのかって?
もちろんメタンガスだよ。
ドォォォォォン!
あれ、ちょっと爆発の規模が大きすぎないか……?
『まずいですよ!あの中の誰かが爆発物を━━━━━━━』
転生者の放った魔法など足元にも及ばない衝撃と爆炎に視界が塗りつぶされ、俺の意識はそこで途絶えた。
***
『……お…………さい!』
ん……?
『早く起きてください!』
ああ……耳がキーンとする……
なんだ……俺は何を……転生者と戦って爆発して……そうだ!
「輝夜はどうなったんだシージア!」
『おお、やっと起きましたか!輝夜ちゃんならあそこでピンピンしてこっちに歩いてきていますよ!』
おお……良かった……
「じゃあ転生者たちはどこへ行ったんだ?あいつらも爆発に巻き込れてたよな?」
『ああ、彼女たちは一度だけ致命的なダメージを肩代わりする魔道具のおかげで爆炎からは身を守れたようですが飛ばされた先で木にぶつかったか何かして気絶してますね』
「じゃあ転生者はどうしたんだ?あいつも気絶してるのか?」
あいつに限って木にぶつかった程度で気絶するとは思えないんだがな……
『転生者は恐らく先ほどの貴方の脳天への一撃であの魔道具を使い切っていたのでしょう。だから衝撃波と爆炎をもろに喰らっちゃったのでしょう。もうボロボロで倒れてますよ』
「ざまあみろだな……非リアの総意だ……多分」
早く拘束して情報やらを聞き出したり物資を奪っゲフンゲフン、譲ったりしてもらわないとな。
もっともあの状態ではまともな物資がどれほど残っているやら……
「まずはあの神官のお姉さんとエルフのお姉さんとゴスロリ幼女を輝夜に拘束してもらおう」
それにしても神官のお姉さんとかエルフのお姉さんと戦うことにならなくて本当に良かった……
もし戦っていたら胸部装甲に目が行ってまともに戦うことができなかっただろう。
そして担ぎ上げるために近づくと衝撃の事実が発覚した!
なんと服が破れていたのだ!
それもビリッビリに!
ああ!俺はどうしたら良いんだ!
『いや、流石にここで手を出したらマジで引きますよ……?せめて触るだけに留めておいて下さいね?』
「いや、俺にそんな度胸はない!非リア歴=年齢に突然そんなこと出来る訳が無いだろ?しかも俺はそういうのはちょっと……純愛が良いと言うかだな……」
『キッモ!めっちゃキモいですよ!一回死んだ方が良いんじゃ無いですか?』
「酷っ!酷いぞシージア!流石にそこまで言うことないんじゃないか?」
『いや、普通にキモいですよ?まず絵面がキモいです。だって身長二メートル越えの大男がモジモジしながらそんなこ事を話してたら普通にキモいでしょう?』
「確かにそうだな……って今はこんなことを話してる場合じゃないぞ、目が覚める前に早く回収しないと」
神官のお姉さんとエルフのお姉さんとゴスロリ幼女を同時に担ぐ。
ああ……柔らかい、ゴスロリ幼女以外柔らかい……
『ほら!もっとキビキビ動く!』
「はいぃ!すいません!」
ああ……俺の癒しの時間が……
「よいしょっと」
三人を輝夜の背に乗せると「シュルルルル」と言った感じでに輝夜の背中から毛が伸びてきて三人を拘束した。
『あとは転生者ですね、ですが気をつけて下さいよ。貴方と同じで気絶したフリをしているかもしれないですからね』
「おう、ちゃんと気をつけるから安心してくれ」
そう言って盾を構えつつ転生者に近づき、足でつつくと……
転生者の魔力が突然高まった。
「なっ……⁉︎コイツ、意識があったのか⁉︎」
『離れて下さい!何をするかわかりませんよ!』
「よくもルーミラ達を殺したな!」
「いや、殺してな━━━━━」
『うるさい!『狂戦士化』ぁぁぁぁ!』
うわ、ゲームのボスかよ……
いかがだったでしょうか?
まだ戦闘は続くようですよ!
次回投稿予定日は明日です!
(予定は未定、です……)
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