第二十二話〜転生者って強くね?Part1〜
投下!
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『お、そろそろ転生者たちが罠を仕掛けたところに差し掛かりますよ。あそこは落とし穴を設置した場所ですね』
「どうだろう、引っかかってくれるかな?」
『どうでしょう、もしかかったとしても二回同じトラップに引っかかるとはとても思えませんからね。相手側には五人も居るのですから一人くらいかかってくれるはずですよ』
「だな、でも正直言ってあんな美女達があんなえげつない罠にかかるのは見たくないんだがな……」
あの気障チートスキル野郎はむしろ引っかかって欲しいけどな。
そして何がとは言わんがもげてしまえ。
あいつら、昨日の夜に野宿するときに何やら結界を張ったから何を始めるのかと思えばと思えば敵陣の前でニャンニャンしやがって、ふざけるんじゃねぇよッ!
くそっ!めっちゃ羨ましいじゃねぇか!
『あの〜、心の声がちょくちょく漏れてますよ……』
「え゛」
『ま、まあ仕方ないですよね!貴方だって思春期ですもんね!』
「うん、そうだな……」
フォローされるほどなんだか恥ずかしくなってくる……
おっと、こんなことを話している場合ではないな。
「今どんな感じだ?」
『ちょっと待って下さい、映像を切り替えます』
そして映像を切り替えるとちょうど転生者が落とし穴を踏み抜こうとしているところだった。
そして……思いっきり踏み抜いた。
それこそ「ズボッ」っと擬音が付きそうな程綺麗に。
それに連鎖して上から杭が降り注ぐ。
「よっしゃぁ!かかりやがったなアホめぇ!ざまあみろぉぉぉぉぉぉぉ!このハーレム野郎があぁ!ウヒャヒャヒャヒャ!」
『気持ちはわかりますがちょっと落ち着きましょう……完全に悪役のセリフですよそれ……』
「ゲフンゲフン……いや、あまりにも綺麗に引っかかってくれたからな。ちょっとテンションが上がっちまったよ」
自重せねば……
俺は紳士、俺は紳士なんだ……
さて、転生者は今どんな感じだろう。
シージアにバイザーへ映像を写してもらう。
「は?」
思わず声が出てしまった。
なんだアイツ……神官のお姉さんに膝枕されながら回復魔法と解毒魔法をかけられてやがる……
膝枕だぞ?
しかもさりげなく胸まで触ってやがる。
「ふ、ふふ……ふひっ……ははは!」
『ど、どうしたんですか?』
「ふ、ふざけるなあぁぁ!ここは戦場だぞ⁉︎あいつは、絶対に、この手で殴り飛ばしてやる……ッ!覚悟しろッ!」
『いや、完全に嫉妬ですよね?まあ戦場でいちゃつく精神もアレではありますが……』
「ああそうだ!ただの嫉妬だよ!だが、俺はな……あいつをこの手で殴り飛ばさなきゃ気が済まねえんだよ!」
あの気障野郎をこの手で非リアの制裁を加えなければ……
これはすべての非リア歴=年齢の総意に違いない。
『ま、まあ落ち着いて下さい。ほら、転生者達が動き始めましたよ!』
そうだ、今は転生者だな。
そう言われてバイザーに視線を戻す。
すると転生者がしっかりと歩いていた。
かなりの量の毒を塗っておいたんだがな……
魔法って凄いな。
でもこの調子で罠にかかってくれれば無力化できるはずだ。
だが現実はそんなに甘く無かった。
そこからは罠を魔法で発見、あるいは破壊して突破されてしまった。
結局、罠にかかったのは神官のお姉さんと転生者だけだという結果に終わってしまった。
その上、こちらの場所も何故かバレたようで、一直線にこちらへ向かって来ている。
まずいな、だがやるしかない!
非リア達のためにも!
***
少し開けた場所で転生者達を迎え撃つ。
「なあシージア、こういう時ってどんな顔して待ってたら良いんだ?」
『うーん、この広場で輝夜ちゃんと並んで待っていれば様にはなるんじゃないですかね?』
よし、このままどんと構えて待っていよう……
「なあシージア、もし知らない言葉で話しかけられたらどうするんだ?俺ってまだこの世界の言語を殆ど知らないぞ」
話しかけられて無視してたら印象悪いだろうしな……
小市民だから体はデカくても肝は小さいのだ。
『そこは転生者の翻訳スキルが役に立って来ますね。こちらには日本語で聞こえるので大丈夫ですよ。
「さすがはチート転生者だな、こっちからしたら便利で嬉しいがな」
『っと、そろそろ転生者が見えますよ』
そして━━━━━━転生者が姿を現した。
身長百七十五センチほどの少年の姿をしており、黒いコートを着ている。
ザ・厨二病といったような見た目だ。
俺も人のことを言えるような格好ではないがな。
そして開口一番……
「これまでの悪行の数々、ここで償ってもうぞ!」
などと訳のわからないことを抜かしやがった。
「いや、ちょっと待ってくれ。何の話だ?」
「とぼけても無駄だぞ?お前がこの近くにあったカロ村を荒らしてカロ村の住民を皆殺しにしたってことは知ってるんだ!」
転生者の後ろの女達もそれに同意するように頷いている。
「いや、本当に何の話かわからないんだが。じゃあもし俺がそのカロ村とやらの住民を皆殺しにしたとしてだな、その村の建物やら村の住民やらはどうしたんだ?」
「村は燃やして住民はそこの魔物に喰わせたんだろ!」
「は?輝夜が人を喰うだ?殺すぞテメェ?」
「ほら!本性を現したな!この魔物め!」
「そうよ!こんなやつ魔法でチャチャっとやっつけちゃって!」
と、巨乳エルフが言う。
へ〜、魔法も使えるのね。
「シュンヤさん、そうです、こんな邪悪な魔物は浄化してしまいましょう!」
と神官のお姉さん
ていうか転生者の名前ってシュンヤっていうんだな。
「主人殿、妾がさっさと片付けてしまおう」
とゴスロリ幼女
ていうか「主人殿」って呼ばれてるのか、羨まゲフンゲフン。
あれ?ケモミミ幼女は何も言わないのか?
そういえばさっきのカロ村のくだりでもこのケモミミ幼女だけ何も反応していな━━━━━━━━━
「おい魔物!何とか言ったらどうだ⁉︎」
「そうよ!シュンヤが話しかけてるのよ!」
「魔物ごときが話しかけてもらえるなど光栄だと思いなさい!」
「何を無視しておるのだ!」
あ〜、こいつら、めんどくせぇ!
『ちなみに心の中で私に話しかけてもらえば会話できますよ』
え、言うの遅くね?
ま、まあ今はそれどころじゃない。
(なあシージア、あいつらって何だか挙動がおかしくないか?)
『恐らく神に何か吹き込まれたか洗脳でもされたのでしょう、彼らも被害者なのかもしれませんね』
「おい!何を黙っている!ちょっとは反論したらどうなんだ⁉︎この薄汚い魔物風情が!」
『前言撤回、あいつは性根が腐ってますね。洗脳でもあそこまで煽って来ることはまずないです』
(じゃあボコボコにしてやるか。返り討ちにされそうだが何とかやってみるよ)
『今の貴方と輝夜ちゃんなら負けませんよ……輝夜ちゃん、めっちゃ強いですし』
「おい、だから早く質問に」
「うるせぇなあ、さっきからグチグチと耳障りなんだよ!さっさとかかってこいや!」
「なっ……良いだろう、君は僕を本気で怒らせ」
「だーかーらぁ!そう言うのが余計なんだよっ!」
「…………」
あ、マジギレしちゃった?
まあ良いや。
「喰らえぇ!『ギガフレア』!」
人の背丈ほどもある大きさの火球が生み出され、こちらに飛んでくる。
前回、次から戦闘シーンだと言ったのに入れなくてすいません……
ですが明日も投稿するのでゆるしてください!
やっと戦闘シーンに入れそうです……!
感想や評価、お願いします!
作者のモチベーションが爆上がりします!




