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幼馴染み姉妹は僕に何を思う  作者: 佐古昭博
8/19

(人生)初めてのデート

日間ランキング22位です(2/19午前現在)。

ありがとうございます。

 そして土曜日の16時頃。峰岸さんと本屋さんに行く。

 なぜこの時間なのかというと部活が終わって、昼ご飯を食べ、余裕をみてからと考えたらしい。

 僕は少しきちっとした服を着て、部屋でそわそわしていると、


「あら連ちゃん、珍しいわね。いつもよりきちっとした服を着ているわ」


 と藍が言ってきた。

 今日は凛が友達と遊びに行っているので、部屋には僕達だけしかいない。

 僕はドキッとしながら、


「いや、その、なに? 今日ちょっと出かけるから」

「出かける時だっていつもそこまでお洒落にしないじゃないの」

「ま、まあそうかな?」

「どこに行くの?」

「ほ、本屋さん」

「ふ~ん……」

「……」

「わ、私も一緒に行こうかなーっ」


 僕はギクッとした。

 それはまずい。藍が峰岸さんと会ってしまう。


「今日は日が悪いから、また今度にしないか?」

「そんなにお洒落してるのに?」

「……」


 彼女はじーっと僕の方を見た。僕はつい目線をふいっと反らす。


「なぜ目線を合わさないのよ?」

「いや、その、そんなに見られると恥ずかしいから」

「ふーん」

「……」

「言えないんだ」

「いや、あの……その」

「私達ってその程度の関係なの?」

「……」

「連ちゃん……私辛い……」

「分かった。言うよーーっ」

「……」

「ん? 今笑った?」

「笑ってないわ。続けて」

「実は……」


 僕は藍にこれからのことを渋々伝えた。

 そしたら驚いた顔をした後、


「ひどいわ、連ちゃん。私の約束を断っといて、峰岸さんとデートするなんて」

「し、仕方ないだろ? あの時はまだ、周りの目を気にしてたんだから」

「そうね。でもあんまりだわ」

「……それにデートっていうより本屋さんに行くだけ……」

「それをデートって言うんです!」

「うっ」

「じゃあ、こうしましょう」

「?」

「明日、私に付き合ってくれたら、許してあげる」

「どこに行くの?」

「それは……明日のお楽しみね」

「分かった。明日な」

「えぇ」


 そうこうしていると、15時くらいになったので、家を出た。


 僕は予定より20分早く着いたので、先に本屋さんで本を読みながら待っていた。

 そしたら、トントンと肩を叩かれ振り返ると峰岸さんだった。


「やぁ、峰岸さん」

「阿坂君早かったのね」

「本屋に行くの楽しみだったから」

「そう。なら良かった」


 そして峰岸さんも本を探している。

 改めて彼女を見ると、彼女の私服姿に少し驚いた。

 上着は白いシャツで、その上に少し明るい色の服を羽織っており、下はベージュの膝まであるスカートだった。

 髪も顔を見えるようにして、ツインテールにしていた。

 学校では地味にしている彼女だが、今日は可愛らしくアレンジしていた。

 僕はついドキッとした。

(待て待て。僕には好きな人がいるんだ。動揺するな)

 僕は気持ちを抑えながら、本と彼女をチラチラと交互に見た。

 そして僕達は本を選び終え、購入した。

 また彼女の提案で外を少し散歩することにした。


「ありがとう。私と本屋に付き合って貰って」

「うんうん。大丈夫だよ」

「何を買ったの?」

「歴史小説だな。『燃える刀』と、『火輪』」

「推理小説は買わなかったんだ」

「うん。最近は歴史小説も読んでるから」


 歩きながら小説談義で盛り上がった。やはり彼女と小説の話をするのは楽しい。


「ところで、私の雰囲気どうかな? 髪とか服とか」

「あ、うん……。か、可愛いいよ」

「そっ、ありがとう」


 彼女は横から僕をじーっと見てきた。

(こんな可愛いい顔で見られると照れるな)

 僕はつい彼女の目線と違う方向を見た。


「そうだ。近くに公園があるんだけど、少し寄ってかない?」

「うん。いいよ」


 そして僕達はその公園に行ってベンチに座った。


「公園に行くとか中学生以来だ~」

「高校生になると公園なんて行かないもんね」

「そうそう。よく藍ちゃん達と遊……ゴメン」

「うんうん、大丈夫よ」

「……」

「伊坂さん達とはいつからの仲なの?」 

「幼稚園の頃からだけど?」

「私……貴方のことをもっともっと知りたい」

「えっ?」

「時の長さではなかなか伊坂さん達に敵わないけど、私は貴方のことを一番よく理解したい」


 彼女は真っ直ぐに僕を見た。

 健気で一途で芯の強さを感じた。

(こんなにも献身的に思ってくれる女の子が居て、僕は幸せだな)

 けどそれでも、それでも僕は……。


「あのさ、映画は好き?」

「えっ?」

「映画好き?」

「……映画? うーん。最近行かないけど、面白いのあったら見に行くかな」

「今、『遙かなる星空』の実写映画してるの知ってる?」

「そうなんだ。知らなかった」

「もし次空いてる日があったら一緒に行かない?」

「次かぁ……」

「うん」

「じゃあ、来週の土曜日にする?」

「分かったわ。了解」


 そして彼女とまたデートの予定を立て、まだお互いの気持ちに隔たりを感じながら駅に向かった。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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