表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幼馴染み姉妹は僕に何を思う  作者: 佐古昭博
6/19

峰岸さんとの約束

 我が家から学校まで歩いて10分ほどなので、僕達は歩いて登校する。

 配置は僕が真ん中で左に藍、右に凛である。


「連ちゃんと高校生になって一緒に登校するの初めてね」

「まぁ、そうだな」

「ふふ、なんか小学校の時の集団登校を思い出すわ」

「そんなことあったわね~」

「ねぇ、連ちゃん覚えてる? 連ちゃんがよくその集まりに遅刻していたこと」

「……なんとなく」

「あんた朝起きるのいつも遅かったもんねぇ」

「小さい時から起きるのは苦手だから」

「いつもおばさまが担いで持ってくるのよね」

「そうそう。連の目が全然開いてない訳よ」

「それでいつも私が手を繋いで連れてって……」

「どうした藍ちゃん。顔が赤いぞ?」

「う、うん。大丈夫よっ! 懐かしさのあまり感傷的になっただけ」

「?」

「……ところでさ連。学年一、二を争う美少女達と一緒に歩く気分はどうだ?」

「お前、自分で学年一、二を争う美少女と言って恥ずかしくないのか?」

「ばっ。仕方ないでしょ? 世間がそう評価してるんだから?」

「うーん。両手に華……いやバラかな?」

「バラなんてっ。褒めるなよ」

「いや、褒めてないから」

「凛、それは褒められてないわ」

「え、なんでだよ。バラ綺麗じゃん」

「綺麗けど棘があるだろ?」

「はぁ? 私達に棘があるって言うの!?」

「周りの連中が絡んできたらな……」

「……」

「あぁ。周りの連中がね」


 そうこうしていると学校に近づいて来たので、僕は二人からずれて歩いた。

 本当に学校の集団って面倒くさいと思う。

 恋愛になってくると尚更だ。相手の評価の落とし合いが始まる。

 僕だって周りを気にしなくて、藍と凛のグループと気まずい空気が起こらないなら、二人と一緒に居たい。ノンビリ過ごしたい。

 しかし、それが出来ないのは学校の集団だ。スクールカーストだ。


 そしてチャイムが鳴り、つかの間の昼休み時間。鞄からご飯をとり出していると、僕の席に峰岸さんが来た。


「一緒に食べない?」

「あ、うん。いいよ」

「食堂に行きましょう」

「教室で食べないの?」

「うん。少し気になることがあるから」


 そして彼女はチラッと別の方を見た。

 僕は何が気になるのか分からなかったので、そのまま素直に従った。

 その時、藍と凛がこっちをちらっと見ていると気づかずに。

 僕らは食堂に行って、弁当を食べ始めた。


「で、阿坂君の好みのタイプは何?」

「ぶっ、いきなりそんな話!?」

「そういう話をしたいって言ったじゃない」

「う~ん。優しくて包容力のある子かな?」

「家事は?」

「そうだな。僕が苦手だから出来ると有難い」

「服装は?」

「う~ん。服はあまり気にしたことがないな。まぁあまり派手じゃなかったら大丈夫」

「なるほどねぇ」

「峰岸さんこそどんなタイプが好きなの?」

「私? 私は阿坂君がタイプだよ」


 僕は頬が熱くなった。いざ面と向かって言われたら、恥ずかしいものだ。


「そ、そうか……」

「とりあえず共通は本だけだね」

「そ、そうだね」

「あのさ、阿坂君。次の土曜日の夕方さ、空いてる?」

「空いてるよ」

「もし良かったら一緒に本屋さんに行かない?」

「えっ? うん。いいよ」

「やった。ありがとう。それじゃあ、line交換しよ」

「ok」


 残りの時間は二人で小説座談会をした。


 そして部活を終え、家に帰ると僕の部屋の電気がついていた。

 もう藍が帰っているのであろう。彼女は部活に入っていない。


「ただいま~」

「お帰り~」


 母がキッチンから返事をした。

 そして二階に上がって、自分の部屋なのにノックをして入った。

 藍はすでに私服に着替えていた。


「ただいま」

「お帰りなさい」


 彼女は勉強をしていた。

 何の勉強だろうか? 数学っぽいが、いつも宿題以外の勉強もしているので内容が分からない。

 学年トップの成績の上、模試は全国で3桁以内に入っている。

 なんでもう少し優秀な高校に入らなかったのか。それが藍の不思議の一つだ。

 僕は私服に着替えたかったので、藍に尋ねた。


「あの、着替えるんで」

「え? あっ、うん」


 そして僕は彼女の後ろでもぞもぞと着替えた。

(なんか変な感じだ)

 そしたらどたどたどたと階段を駆け上がる音がして、


「たっだいま~」


 凛がドアを思いっきり開けた。

 そして僕はまだパンツの状態だった上に、二人は僕の方を見た。


「ちょっとどこで着替えてるのよこの変態!!」

「ここ僕の部屋なんだけど!?」


 そして三人集まったので、いつものようにおしゃべりを始めた。


「でさ、山っちが遂にサッカー部の田中と付き合うんだって」

「へぇ。山っちって、凛のグループの山西さん?」

「そうだよー」

「へぇ、めでたいじゃないの」


 と女子がきゃっきゃと大好き恋愛トークが始まる。

 誰が付き合う、誰が別れる、惚れた腫れたの話をする。

 僕はこういう話に疎く、興味もないが、お陰でそういう話については普通の学校の男子より情報通である。

 人間関係の参考になるから、一応話を聞いている。

 僕は二人が楽しそうに話しているのを見るのが楽しい。

 二人の空間にいるのが落ち着くのだ。

 僕がこの空間に浸っていると藍が凛に目配せをして、


「そう言えば連。昼休みどこに行ってたんだ?」

「えっ。あぁ食堂だけど?」

「峰岸さんと?」

「えっ、あっ、うん」

「ふーん」

「……」

「何だよ?」

「何の話とかするの?」

「彼女も小説好きだから、その話で盛り上がるかな」

「小説かぁ」

「成る程、その線ね」

「よく見てたな」

「べ、別にあんたのことなんか気にしてないけどさ。た、たまたま視界に入って珍しく女子と話しているのを見たからさ。『あー、この子かぁ』と思っただけなんだからっ!」

「はぁ、さいで」

「確かに連ちゃんも共通の話が出来る()()がほしいわよねっ」

「……うん、まぁな」

「私も小説読もうかしら」

「私も小説読もうかな」

「えっ、なんて?」

「なんでもないわっ」


 そしてポケットからlineの音が鳴り見てみると、噂していた峰岸さんからだった。

最後まで読んでありがとうございます。

評価、ブックマーク頂き励みになっております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ