表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幼馴染み姉妹は僕に何を思う  作者: 佐古昭博
5/19

初めての共同生活

 僕は自分の部屋で本を読んでいた。

 いつも慣れている場所で読んでいるはずなのに、落ち着かない……。

 理由は分かっている。

 僕の部屋に藍と凛がいるからだ。

 凛は制服のまま僕のベッドの上で足を崩してスマホをいじっている。

 一方、藍は僕の机で勉強している。

(ら、藍ちゃんが僕の机を使ってべ、勉強を)

 二人にバレないように興奮してしまったが、僕はベッドの近くに座っていたので、凛に気づかれた。


「なに息荒くしてるの、キモ」


(キモッ……)


 凹んだ。そして僕はふと、

(僕が藍ちゃんの部屋に居る時、藍ちゃんはどういう気持ちだったんだろう……)

 と思った。

(ま、小さい時からその部屋で集まってたから、気にしてないか)

 自分で打ちひしがれていた。


「なぁ、連」

「ん? あんだよ?」

「……なんでもない」

「?」


 凛の奴、少し顔を赤らめて、いつもにも増していごいごしている……。

 は! さては!


「凛」

「な、何よ」

「お前、我慢はよくないぞ」

「えっ?」

「お前のことなんてお見通しだ」

「え!? ちょっ、な、何言っているのよ」


 凛は顔を赤くして、目線を反らした。


「自分の心に正直になれよ」

「えっ!?」

「お前の心の内を言ってやる」

「えっ!? ちょっと待ってっ!」

「凛、お前は」

「えっ、ちょっと、ここで私が貴方のこと好……」

「……トイレしたいんだろ? なら、階段を越えてすぐ左だぞ」

「……は?」

「お前がもぞもぞしているのって、トイレを我慢してるからなんだろ?」

「は?」

「早く言ってこいよ」


 そして彼女は赤く顔を染め、ぷるぷると震えてから大声で言って部屋を出た。


「この馬ーー鹿っ」

「わ、うるせ」


 近くで叫ばれたもんだから、耳がきーんと鳴った。そして僕は藍の勉強の邪魔をしたかなと思いふと彼女の方を見ると、じーっとこっちを見ていた。


「何? どうした?」

「別にっ!」


 なんかツンとしている感じに見えるが、気のせいか。


 そして宿題終わった、の声が聞こえた。


「お疲れ~」

「じゃあさ姉ーさん」

「宿題見せて(よ)」

「だーめ。宿題は自分でするの。ほら見てあげるから」


 僕と凛はぶーっと言った。


 そして僕達は宿題を終え、21時を迎えていた。


「さて凛、風呂入りましょう」

「うぇ~い」


 二人は風呂に向かった。

(藍ちゃんが風呂、藍ちゃんが風呂……)

 もやもやと妄想が膨らむ。

 彼女がお湯に浸かる。白い柔肌を手でなぞる。目を瞑ってごしごしとシャンプーをする。その姿を想像してしまう。

(藍ちゃんって風呂上がり良い匂いするんだろうなぁ)

 わくわくしていると、気づいたら自分の部屋でゴロゴロしていた。

(これではまずい! 本を読も、本)

 そして没頭して本を読んでいると、


「……ちゃん」

「?」

「連ちゃん、風呂出たよ」

「わっ!?」

「ちょっと、何びっくりしてるのよ~っ?」

「えっ、あっ。ゴメン」


 藍に声をかけられたから彼女を見ると髪が少し長いので、まだちょっと濡れていた。

(良い匂い……)

 僕はその姿と匂いでドキドキした。そして風呂に入り、藍が入ったお湯を漫喫した。


 そして部屋に戻ると、二人はパジャマ姿でくつろいでいた。


「二人は何処で寝るんだ?」


 当然の疑問が出てくる。

 その時、こんこんとノックの音が聞こえる。

 僕はビクッとして出てみると、母だった。


「布団持ってきたわ」


 んしょとベッドの近くに敷いた。


「母さん。二人はどこで寝るんだよ?」

「どこってあんたのベッドよ。大きいから大丈夫よ」

「さ、三人で!?」

「何言っているの? あんたは持ってきた布団で寝なさい」

「あっ、そう……」


 母さんが部屋から出て行って振り返ると、二人は僕を見てシラーッとしていた。


「えっ、何?」

「なんで三人でベッドに寝るのよ。普通に考えてあり得ないんだけど、キモ」

「連ちゃん。もう少し頭使ってよ」


 普通ってなんだっけ?


 僕はこうして激動の一日を終える。

 って、寝れねーよ!!


 朝起きると、案の定寝不足だった。そしてベッドの方を見ると、凛が寝ていた。

(あれ? 藍ちゃんは?)

 ふわぁと欠伸をしながら1階のダイニングに行くと、キッチンで母と藍が料理を作っていた。


「あっ、おはよう連ちゃん!」


 彼女は制服に着替えていて、その上にエプロンをしていた。

 とてもよく似合っていた。

(こ、これが同居というものか……)

 僕は少し興奮した。

 そしてちょっとの間ここの椅子に座って、スマホをいじっていたら藍に、


「もうすぐ料理出来るから、凛を起こして来て」


 と言われたので、僕は二階に行ってドアを開けた。


「おい、凛。起きろお!??」


 凛はパジャマを脱いで、制服に着替えている最中だった。

 ブラもパンツも薄い黄色だった。

 僕は赤面しながら青ざめた。


「あの、料理が出来たそうです……」

「このっ、部屋に入る時はノックしろーーーっ」


 と僕に枕を投げつけた。


「ここは僕の部屋なんですけどね!??」


 そして凛はむくれながらごはんを食べた。

 彼女は気まずい空気を出し、僕はしょぼくれながら食べたが、朝ごはんは美味しかった。

 味噌汁に、ご飯、卵焼きと非常にシンプルだが、丹精込めて作られていた。

 卵焼きはいつもと味が違っており、砂糖多めだった。これは藍が作ったのだろう。彼女は甘い卵焼きが好きだからな。


 そして僕達は朝ごはんを食べ終え、学校に登校する。

 けどなぜか嫌な予感しかしない。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

評価、ブックマークして頂ければ励みになっております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ