一緒に住む!!
僕はポケットからスマホを取り出すと、母さんからlineがきていた。
内容を見ると、
『これからウチで藍ちゃんを預かります
少し早いけど孫の顔が見れるかしら??』
と余計なことを書いていた。
(母さ~ん)
僕はどうしたらいいものか混乱していた。
「連ちゃん」
「はい」
「不束者ですが、宜しくお願いします」
「えっ、いや。その、こちらこそ」
「連ちゃん」
「はい……」
藍は僕をじーっと見つめていた。僕はドキドキしながら彼女を見たので、恥ずかしすぎて目を反らしてしまった。
少ししてから見ると、藍はむくれていた。
「もう……ぇたれなんだから」
「えっ?」
小声で何を言ったかは分からなかったが、何か機嫌が悪そうだった。
「まぁ、いいわ。私、服の準備するから少し部屋を出てってね」
「えっ、あっ、うん。分かった」
そしてしばらく部屋を出てスマホをいじっていると、藍達のお母さん、優さんが上がって来た。
「おばさん」
「連ちゃん。しばらく藍のこと宜しくお願いね」
「いえいえ、こちらこそお世話になります」
「急に言い出すからビックリしちゃった」
「こっちもです」
「あの子に何か予期せぬ事態があったのね」
「? 予期せぬ事態?」
「ふふっ、こっちの話よ。それにもしかしたら凛も……」
「凛が何か?」
「ふふっ、別にっ。これは面白くなってきたわねっ」
ふんふんと言いながら優さんは降りていった。
僕は優さんの言ってる意味が分からなかった。
「行きましょうか」
藍は大きい旅行鞄を持って部屋から出てきた。
「何? 旅行でも行くの?」
「ち、違うわよ。女の子は色々大変なのよ」
と言うわけで僕達は自宅に向かった。
(藍ちゃんと一緒に住む……!? こ、これは一体どうなるんだぁ!?)
ドキドキとムラムラが止まらない。
「連ちゃん」
「う、うん?」
「二人っきりで歩くの久しぶりね」
「えっ、あっ、うん。そうだねっ」
「ねぇ、覚えてる? 小学生の頃、私がかくれんぼで迷子になった時、真っ先に見つけてくれたの」
藍は僕の方を恥ずかしそうにチラッと見た。そして僕は素直に答えた。
「覚えてない」
彼女はまたむくれて、そっぽを向いた。
女心難しい……。
(けど僕は中学の頃、プレゼントを渡したら、凄く喜んでくれたのは覚えているよ)
そして家に着いて、ドアを開けると、母さんがそわそわしながら玄関に来た。
「藍ちゃーん。久しぶり~」
僕は眼中にないようにドカッと退けられた。
一応あなたの息子なんですが。
「おばさま。お久しぶりです」
「見違えるほど綺麗になって。もうウチの息子には勿体ないわっ」
「いえ、そんなっ」
「とにかく上がって。さぁ。ご飯出来ているから」
こうして僕らは上がりご飯を食べた。
「やっぱり、おばさまの料理美味しいです」
「あら、そう? ありがとう!」
「ねぇ、連ちゃん?」
「えっ? あっ、うん。そうだねー」
いつも食べている味だから実感が湧かなかった。
つい棒読みで言ってしまったので、
「この子は当たり前になっているから、良さを分かってないのよ」
母はため息をつきながら言った。そして3人で和気あいあいと食べていると、母さんに電話がかかってきた。
「はい、もしもし? どうしたの? うん。 あら、そうなの! ok~」
電話を切り、ニコニコしながらご飯を食べ始めた。
ウチの家は両親とも仕事をしており、母は在宅ワークである。そして、父は会社勤めで朝は早く夜は遅いから、家でいてもほとんど会わない。だから母と二人で暮らしているような状態だ。そして部屋は少ないが広めだ。一階は玄関とダイニングとテレビ兼親父がくつろぐ部屋。二階は僕の部屋と両親の寝る部屋と物置部屋である。
ピンポーン。
おっと。誰か来たようだ。僕はご飯を終わっていたので、玄関に向かった。
母がニヤニヤしているのにも気づかずに。
「はーい」
僕はドアを開けると、
「何で私を置いて行くのよ!??」
僕はバタンとドアを閉めた。
(ん? 目の錯覚か? 誰か見たことあるような気がしたが)
もう一度開けた。
居た。半泣き状態で立っていた。
「な、何しているんだ!? 凛!???」
「“何”じゃないわよ! これから、あんたんとこで住むのよ!」
「はっ? 何で?」
「それはねーさんに負けたく……じゃなくって、とにかく上がらせなさい」
「えっ、やだよ」
「はあ!? 何でねーさんには上がらせて、私には上がらせないのよ」
「いや、何となく」
「ひどっ!! 女子を外で放置させるなんて!! 男子のやること!? もうこうなったらここで騒いでやる!!」
「分かった、分かった。入れよっ」
こうして凛も家に入ってきた。なんでこいつが来たんだろ??
そして母さんは凛を向かい入れて、
「凛ちゃん久しぶり!」
「久しぶりです。お母さん」
「どういうことだよ。母さん?! なんで凛がウチに来たんだ?」
「鈍いわね、あんたは。凛ちゃんもしばらくウチに住むの!?」
「へっ??」
「今日からこの子もウチの子よ」
「えーーーっっっ」
僕は声を出して驚き、藍は頭を抱えた。
「まさかとは思ったけど、おばさまに電話がかかってきたのは母からですか?」
「あったりーっ。優ちゃんからでーす」
本日、僕は展開が早すぎてついて行けない。藍が住んで、凛も住む!?
なんでこうなる訳??
僕は混乱したまま部屋に戻ると、二人も入ってきた。
「狭い部屋ね」
「こら凛。失礼なこと言わないの」
「? なんで二人が部屋に入ってくるんだ?」
「あの、その~」
「お母様曰く、物置部屋は狭いし、片付いてないからここで寝てくれって」
「え!? なら下のテレビの部屋は……親父が使うのか……」
「そう、だからっ」
「この部屋私達も使うから!」
「……へ?」
僕の処理能力は既に超えていた。
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