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幼馴染み姉妹は僕に何を思う  作者: 佐古昭博
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そんなことある!?

 次の日。

 僕は学校に登校すると、少し異変があった。

 いや、かなりの異変だった。

 藍と凛が僕の席を陣取っていたのだ。


「何してるのよ、ねーさん。ここは連の席よ。退きなさい!」

「そっちこそ。ここは連ちゃんの席なんだから、二人もいると邪魔でしょ!?」


(何をやっとるんだ二人は?)

 学校の人気者の二人が地味男子の席で争っているのを周りの連中が異様な目で見ていた。

(あ~、周りの目があっちを見ているーっ)

 僕は焦った。これでは僕が変に目立ってしまうでないか。あの悪夢が蘇る。

 僕はドアの前で呆然と立っていると、


「連!」

「連ちゃん!」


 二人の呼び声を聞いてビクッとした。

 周りを見ると奇異の目のままで僕を見ていた。それに峰岸さんも。


「連ちゃん遅かったじゃない。そら凛。連ちゃんが来たじゃない。退きなさい」

「ねーさんこそ退くの~っ」


 二人は僕の椅子に座りながら肩と尻をぶつけ合っていた。

 僕は頭を抱えながら、とりあえず二人に近づいた。


「あの席に座りたいんですが」

「なに敬語になってるの連ちゃん。私達仲良いじゃない」

「そうよ、連。なに気を使っているのよ」

「……」


 どうしたものか。この状態ではあまりにまずい。


「まっ、とりあえず自分のところに戻りませんか?」

「そうよ。凛、行きなさい」

「ねーさんこそ戻りなさいよ!」


 ん~、とチャイムが鳴るまで二人はいがみ合っていた。

 休み時間。

 僕が本を取り出そうとすると、ドドドと二人がこっちに来た。


「な、何??」

「連ちゃん!」

「連!」

「お話ししましょう(しよう)」

「話って、何話すんだ??」


 二人は黙ってしまった。

(こいつら考え無しに来たのか)


「そうだ。勉強の話をしましょう。今回の積分について」

「ちょっと! 私がついて行けないんだけど」

「僕も勉強の話は……」

「この前のバスケ見た? ボブ・ラッパーのダンクシュート!!」

「スポーツ興味ないの知ってるでしょ?」

「僕もない……」


 僕達はしばらく黙ってしまった。ふと僕は周りを見る。

 ちらちらと周りの集団が僕等を見てくる。

 特に藍と凛のグループはそれぞれがそこから抜けたから不満そうだった。

(まずいな。このままだとクラスカーストのバランスが崩壊する)


「おい、二人とも自分のグループに行けよっ。お前等の友達がこっちを見てるぞ」

「関係ないわ! ねぇ、ねーさん!」

「そうよ! 連ちゃん。そこまで柔じゃないわ」


(こいつらは分かってない。人間関係の闇というものを)

 ちょっとしたことが原因でトラブルが起きる。

 そう。ちょっとしたことが嫉妬になる。

 僕は意を決して怒鳴った。


「二人共! いい加減にしないか! 話ないんだったら席に戻ってくれっ!」


 二人はビクッとした顔になり、渋々自分達のグループに行った。

(……これでいい)

 ただ、藍の辛い顔を見るのが辛かった。


 次の休み時間。

 クラスの友達、岸が近づいてきた。


「おいおい、阿坂。この学校の高嶺の花とどういう関係なんだ?」

「……たんに幼馴染みなだけだよ」

「そうなんだ。けど気をつけろよ。あの二人を狙っている男子は沢山いる。お前を敵の目で見る奴も出てくるだろう」

「……分かってる」


 それから、休み時間ごとに気を張り詰めていたが、特に何も起こらなかった。

(流石に高校生にもなると違うか)

 しかし、一人で本を読んでいると二人がちらちら見てくる。

(……気になる)

 そして部活終わり。僕は校門を出て、いつもの癖で伊坂家に向かおうとしたら、


「阿坂君!」


 と背後から声が聞こえた。振り向くと峰岸さんだった。

「やぁ、峰岸さん」


 彼女は僕に近づいて、


「伊坂さん達とはどういう関係なの?」

「……ただの幼馴染みだよ」

「……そか」

「うん……」

「一緒に帰らない?」

「えっ、でも」

「何か用事があるの?」

「うん。まぁ」

「いつなら空いてる?」

「うーん。基本19:00以降は……」


 僕ははっとした。


 ……二人とも! いい加減にしないか!!


 そう言えば、藍達に気まずいことを言ったんだ。


「ううん。大丈夫。一緒に帰ろう」


 とは言ったが、僕達の家の方向が逆だった。


「あはは。逆だね」

「だねっ」

「じゃっ」

「あっ、待って阿坂君。」

「ん?」

「昼休みは空いてる?」

「昼休みは空いてるよ」

「じゃあ、その時一緒に話ししない?」

「うん、分かった。いいよ」

「ありがとう」

「じゃっ」

「私、貴方の相応しい彼女になるから」


 僕は何も応えずに伊坂家に向かった。


 伊坂家に着くと、藍の部屋は既に電気がついていた。

 部屋に入ると、藍だけだった。


「凛は?」

「まだ部活じゃない?」

「そかっ……」


 気まずい……と思っていたが、それはどうも杞憂だった。いや、杞憂どころかビックリする方向へ向かった。


「連ちゃん」

「何?」

「いつ会える?」

「? もう会ってるじゃん」

「学校で」

「えっ!? 学校で?」

「うん」

「学校では会いたくない」

「……」

「……」

「………足んない」

「えっ?」

「連ちゃんといる時間が足んない!!」

「えっ!?」


 僕は仰天した。


「それってどういう………」

「そうだ。母さんに相談しよう」


 と言って階段を降りて行った。しばらくして、藍は部屋に戻って来て、


「言質取れたわ」

「?」

「私、連ちゃん家で住む!!」

「!?」


 藍が発言するのと僕の携帯が鳴るのとほぼ同時だった。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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