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幼馴染み姉妹は僕に何を思う  作者: 佐古昭博
2/19

意見の相違

 告白された。

 人生始めての告白をされる。

 嬉しかった。


「ありがとう。嬉しいよ」


 しかし……


「ごめん。僕には好きな人がいるんだ」


 そう。藍というかけがえのない人が。


「そうなんですか……」

「ごめん。だから、君とは付き合えない」

「分かりました……」

「だから……」

「では、こうしませんか?」

「?」

「貴方の好みのタイプを教えて下さい」

「どうして?」

「頑張って貴方の好みの女性になります」

「成る程」

「そして貴方は私のことを知っていく」

「ふむふむ」

「だからまずはお互いのことを知っていく関係から始めませんか?」

「う~ん」


(悪い条件じゃないが……)


「駄目ですか?」

「いや、駄目じゃないよ」

「それなら……」

「どうしてそこまで君はしたいんだい?」

「それはいつも貴方が読書をしているから……」

「?」

「シンパシーを感じて」

「成る程」

「それに……私の好みのタイプだから」

「……」


 それも素直に嬉しかった。こんな地味な僕を好きになってくれる女性がいるなんて。

 こんなチャンスは滅多にないかも知れない。

 藍の様な理想を追うような恋愛じゃなくて、もっと自分の背丈に合った女子との恋愛を。


「自分によく似ている人と出来るだけ長く一緒にいたいんです」


 僕は彼女の言葉にドキッとした。

(よく似ている人と一緒にいたい……か)


「そうだよな。よく似ている人と一緒にいたいよな……」


 僕はつい心の声を漏らした。


「そうですよ。自分とあまりにもかけ離れている人との恋愛は大変ですよ」

「かけ離れている……」

「だからたとえそれが地味だとしても、自分とつり合った相手といる方が楽しいですよ」

「……」

「私は芸能人とかを追う恋愛よりも現実的な恋愛がしたいのです」


 彼女のその言葉が僕に刺さった。


 ……つり合った相手といる方が楽しい

 ……現実的な恋愛


「ど、どうですか?」

「……分かった。いいよ。まずはお互いのことを知っていこう」

「本当ですか? ありがとうございます!!」


 そして予鈴が鳴ったので彼女はその場から去って行ったが、僕は本鈴が鳴る直前まで立ち尽くしていた。


 部活を終えいつものように藍の部屋で雑談をした。


「それでさ……」

「うんうん」

「……なるわけよ」

「……だよね~」

 僕の耳に二人の声があまり聞こえない。

「……ちゃん」

「……ん!」

「……んちゃん!」

「ん?」

「連ちゃん!」

「連!」


 僕は二人から呼ばれていることに気づき、はっとした。


「どうしたんだよ、連。ぼーとしてさ」

「連ちゃん、熱でもあるの?」

「あっ、いや大丈夫」


 凛はまじまじと、藍は心配そうに僕を見ていた。


「それでさ聞いてくれよ連」

「どうした?」

「ねーさんがさ、また告白されたって」


 僕はギクッとしながら、藍の方をまじまじと見た。


「丁重に断ったわよ~!」

「相変わらずモテるなー、ねーさんは」


 呵呵と凛は笑った。


「あんただってモテるじゃないのよ!」

「連も見習えよ~。そうでないと女子から告白されないぞーっ」

「連ちゃんはモテないから良いんじゃないの」

「確かにそれはそうね!!」


 ははは、ふふふと笑った。

 むっと来た僕はつい今日のことを話してしまった。


「ご心配なく。僕だって告白されたことあります」


 お菓子を食べる二人の手が止まった。


「いつ!?」

「誰に!?」

「今日……。峰……名前は誰でもいいだろう?」

「……そうか。だから教室に戻って来るの遅かったのね(か)……」

「?」

「ちゃんとその子を断ったのよね(な)!??」


 二人の声が珍しくハモった。


「う、うん。断った」


 そしたら二人はほっとしているように見えた。


「だよなっ。そりゃそうだよ!」

「連ちゃんには恋愛なんてまだ早いもの……」

「早くないよ、僕だって恋愛したい」

「うっ……」

「連が恋愛ねぇ。そうなんだ」

「……」

「それより連に告白した相手の気がしれないわ」

「どういう意味だ?」

「こんな地味で冴えない男のどこが良いのやら」

「こ、こら凛。そんなこと言っちゃ駄目でしょ!!」


 またムッと来て言ってしまった。


「僕にシンパシーを感じたんだと。だからまずはお互いのことを知っていこうという関係になった」

「そ、そんな……」

「何でそうなるのよ!!」

「えっ?」

「なんできっぱり断らなかったのよ!!」

「そうよ、連ちゃん! それじゃあまるで彼女とまだ可能性あるみたいになるじゃない」

「うっ……」

「きっぱり断らないと相手に失礼よ!」

「藍ちゃん……」

「そうよ。ねーさんの言う通りよ」

「このままだと向こうも可能性があると期待をしてしまうわ」

「……」

「ね。連ちゃん。しっかり断りましょう。ねっ?」

「でも……」


 ……現実的な恋愛をしたいです


「お、お前等には関係ない」


 と僕が言って、ちらっと二人を見ると、藍は悲しそうで凛はむくれていた。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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