藍の危機!
久しぶりに投稿しました!
「お疲れ様」
藍はむすっとした顔で出迎える。
「た、ただいま」
僕は何か気まずかった。
そ、そんなに怒らなくても……。
「ねーさん。そんなに怒んなくていいじゃん」
「別に怒ってないわ」
藍は顔をぷいっと横に逸らした。
「あのさ藍ちゃん」
「何?」
「お土産」
「?」
「近くにクレープ屋が出来ていたから買ってきた」
「え?」
「そうだぞ、ねーさんの為にイチゴチョコ買ってきたんだぞ!」
「え? そうなの?」
「そう(!)」
凛とシンクロした。
「あ、ありがと……」
藍は満更でもない顔でクレープの入ったビニール袋を貰った。
「ご飯出来てるから食べましょ」
急に声が柔らかくなった。
「食べる食べる!」
凛は無邪気に言いながら、藍とダイニングに向かった。
そして月曜日。
晴れやかな天気が続き、暑い日が多くなる。
熱中症が出て来る時期だ。制服も薄着になる。
「暑い」
登校中日差しが当たるので暑くなるのは、当然であるがそれだけじゃない。
藍がやたら僕に物理的にぐいぐい来るのだ。
薄着でめっちゃ密着して色んな所が当たって気持ち良いつーか歩きにくいつーか、汗がやばい。
「昨日のクレープ美味しかった。ありがとう連ちゃん♪」
「え? うん……」
凛はいつも通りなのだが、藍やたらいつもより凄い密着してくるから色々尋常じゃない。
「私もそのクレープ屋さんに行きたいなぁ」
「じゃ、じゃあ一緒に行こうよ」
「連ちゃん♪」
「な、何?」
「今日の朝ご飯美味しかった?」
「美味しかったけど?」
「とくにどれが美味しかった?」
「うーん、卵焼きかな?」
「やっぱり? 今日は連ちゃん好みに作ったんだ~」
「あ、ありがとう……」
嬉しいけどなんだろう。この違和感は???
はっと横を見ると凛が睨みつつ、不思議そうな顔をしていた。
「どうしたねーさん!? なんか変だぞ!?」
「そんなことないわよ。いつも通りよ!」
少し怒りながら言った。
耳の近くで言うもんだからうるさい。
そして少なくともいつも通りではない。顔もなんかいつもより紅い気がする。
熱に当てられてしまったか?
しかし何か藍の方からアルコールの匂いがする気が……。
まさか……。
「藍ちゃん。お酒飲んだ?」
「え!?」
「の、飲んでないわよ。何言ってるの。連ちゃん!!」
藍は妙にあたふたしている。僕はじーと見る。
彼女はかなり目が泳いで、しばらくしてコクンと首を下に下げた。
「な、何の酒を?」
「りょ、料理酒……」
まさかの料理酒か。確かに藍ちゃんなら料理酒を口にしても不思議ではないが、そこまで酔うか??
「かなりの量を飲んだの?」
「まさか、ちょっとよ!」
少し感情的に言ったが、真剣な目で僕を見ていたから多分間違いではないだろう。
それにしても密着して暑い。ま、それは置いといて、
「ど、どうして飲んだの?」
「そ、それは……」
藍は言葉が詰まる。
あまり言いたくない内容か?
もしかして、昨日凛とデートしたから?
しかしどっちにしてもこのままでは学校に連れて行く訳には行かない。
「帰ろう。藍ちゃん」
「え!?」
「このまま学校には行けないよ」
「そ、それは……」
藍が困った顔をしていた。
どうしたんだ??
「それは少し困ったな連」
少し暑そうにしながら僕と軽く腕を組む凛が言った。
「凛」
「実はねーさん今まで無遅刻、無欠席なんだ」
「えっ? ま、まさかいわゆる……」
「皆勤賞というやつだ」
「そ、そうなんだ」
「それに保育所から生真面目に皆勤賞で」
「まじか」
「病気ならまだしも、サボりはねーさんにとってかなりの傷物と感じるだろうな」
「え~……」
しかし、
「このまま学校に連れて行く訳にもいかないだろ?」
「酔いが完全に覚めたらねーさんかなりショックを受けるかも」
「……」
僕は考えた。
今までの藍との数々の思い出を思い出す。
僕が何か失敗すれば、藍ちゃんはほとんど助けてくれた。
偶には藍ちゃんに報いなければ。
「学校にバレたらやばいぞ」
「そうだな」
「それでもやるか?」
凛はコクンとした。
「藍ちゃんの皆勤賞を守るために我々が藍ちゃんを助けるぞ!」
「おー」
藍が陽気に叫んだ。
いや、君の為にするんだけどね。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
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