仲直り
「う……」
彼等はたじろいだ。それはそうだろう。彼女への思いやりが足りなかったのだから。
「連ちゃん……」
僕の名を呼ばれたので彼女の方を見ると、目をうるうるさせて、嬉しそうな顔をしていた。
「分かった……。少し我々も浅はかだった。彼女のことをもう少し信用しよう」
「みんな……」
「伊坂君」
「いーちゃん」
「ゴメンなさい。私も少し皆と関わらなさすぎたわ」
「あまりにも阿坂君に干渉しているから私達も少し嫉妬妬いたのかも知れないわ」
「そうよね。だから皆もう一度仲良くしてね」
「勿論よ」
「有難う皆……」
こうして彼等は友情を取り戻した。
僕はホッとした。
(良かった、良かった。これで藍ちゃんも落ち込まないだろう)
「阿坂君」
「は、はい」
「確かに君の言う通りだよ。彼女をもう少し信用しないといけなかった」
「いえいえ」
「そこで聞きたいことがあるのだが良いかな?」
「何でしょう?」
田中君は僕に近づいて、僕の耳元で囁いた。
「君は伊坂君のことが好きかい?」
僕は彼から急いで距離を置いた。そして、つい目線を反らしてしまった。
「そうか……君もか……」
君も? まさか……彼も?
「よく分かった。有難う。……やはりしばらく君とは仲良くなれそうにないな」
と彼は言って、グループへ戻って行った。
……君もか
僕は彼等と仲良くなれないことに気づき、しばらく彼等を見ながら立ち尽くしていた。
部活を終えて帰宅したら、藍が部屋で鼻歌交じりで勉強していた。
「ただいま」
「お帰りなさい♪」
「藍ちゃん」
「何?♪」
「少し良いかな?」
「どうしたの? 改まって?」
「君も君だよ」
「えっ?」
「僕にばかり関わって、大切な友達をないがしろにするのは良くない!」
「う……そうね。いたく反省します」
「だから学校では友達を大切にしなさい」
「はい……」
「学校の友達はまだ浅い関係なんだから、すぐ離れていくよ」
「はい、気をつけます」
「学校ではあまり僕に関わらないこと。いいね!」
「う……うん」
「以上です」
「あのね。連ちゃん」
「何?」
「学校では一緒に居られない分、家ではいつもよりくっ付いて良い?」
「えっ? 別に良いけど」
「あっ、そうだ! 少し外で待ってて」
「えっ、あっ。うん」
そして僕は部屋の外に出た。
しばらくして藍に呼ばれたので、部屋に入ると、
「じゃーん。お帰りなさいませ。ご主人様~」
「え? あっ? えっ?」
藍はメイド姿になっていた。頭には白のカチューシャを付けて、黒のメイド服に白のエプロンで、ミニのスカートだった。
それはもう男好みの格好である。
僕はつい彼女に看取れてしまった。
「えっ、どうしたの?」
「一日、連ちゃんのメイドさんになるって約束したじゃない」
「確かに約束したけど……」
「だからほら。今日のお礼代わりに連ちゃんを尽くさせて。お願い」
「えっ。う、うん。分かった」
こうして彼女は僕の一日メイドになった。そしてやけにくっ付いている。
「何なさいますか、ご主人様?」
「そうだな、うーん。いきなり言われても……。そうだ。まずは体をマッサージしてくれないか?」
「分かりました~。ご主人様」
まず藍は僕の肩を揉んでくれた。
そんなに力は強くないが、まあまあ気持ち良かった。
「うん。気持ちいいよ」
「ありがとうございます。ご主人様」
しばらく揉んでいると疲れたのか、
「ふう。次はベッド横になってくださいませ」
「はい」
そして僕はうつぶせになり、腰を揉んだ。
彼女の体重をかけて押すから意外と効いた。
「どうですか? ご主人様?」
「うーー。気持ちいいー」
そして裏側の脚を体重かけて揉んでから、次は仰向けになり、藍は表側の脚を体重かけてしかし配慮した力加減で、もみもみし始めた。
(あーっ、気持ちいいーなー。おぼつかない所は多少あるが、丁寧に揉んでくれて、有難いなぁ)
「どうですか?ご主人様~」
「あぁ、気持ち……」
藍に言われたので、彼女の方を見ると、白い下着が見えた。
(!??)
僕は焦った。藍は一生懸命揉んでいるせいか、気づいてない。
僕はどうしたら良い? 伝えるべきか、眺めるべきか?
ええい、伝えよう!!
「あの、藍ち……」
「たっ、だいまー!! って何してるんだ!?」
「!?」
「お帰り。凛」
なんか最悪のタイミングで凛が帰って来た気がする。
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