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幼馴染み姉妹は僕に何を思う  作者: 佐古昭博
12/19

藍の異変

 峰岸さんにlineを送って、学校での昼休みのご飯を週に三回となるように承諾を得た。


 水曜日の朝。

 三人で登校していると、凛が僕に聞いてきた。


「ねぇ。今日の昼休み、連はどっちと食べるんだ?」

「え?」

「確かにそこまでは決めてなかったわね」

「私か?」

「私よね」

「いや私だね」

「いやいや私よ」

「昼休みの時間まで考えとく」


 そして昼休み。僕が鞄から弁当を取り出していると、二人がドドドと競り合いながら来た。


「さぁ連ちゃん(連)! どっち!?」


 最近シンクロ率が高いな~。


「まぁ、まずは藍ちゃんと食べるよ」


 藍は嬉しそうにガッツポーズをし、凛は落胆して俯いた。

 こいつらどんだけ僕と一緒に食べたいんだ?

 そして弁当を開けようとしたら、藍は、ちょっと待ってと制止させた。


「ちょっと付いてきて」


 僕は藍の後ろを付いていった。そしたらあまりひとけのない場所だった。


「あまり景色はよくないけどここで食べましょ」

「え、うん」

「また眺めの良い風景を探しとくから」

「分かった」


 こうしてご飯を食べながら、二人で喋り合った。

 好きな人と一緒に過ごす。

 ただそれだけが例え小さなことだとしても、幸せな一時だ。


「もう連ちゃんたら。口の横にご飯付いてるわよ」

「えっ、どこ?」

「取ってあげる」


 藍は嬉しそうにそのご飯を取って食べた。

 僕はついドキッとした。

 僕の口の横に付いていたご飯を食べるなんて。

 そんなことするってことは僕のこと好きなのかな。

 けど……それは多分……男としてじゃなくて……。


「なぁ、藍ちゃん」

「ん? 何?」

「僕は藍ちゃんと一緒にご飯を食べれて楽しいよ」

「!」

「やっぱり僕は……」

「……」

「君の様な幼馴染みを持って幸せと思うな~」

「……」


 僕は笑いながら藍を見ると、彼女は複雑な顔をしていた。嬉しい様で、哀しそうな顔だった。

 一体どんな気持ちなのか読み取れない……。


「私も連ちゃんといるのは楽しいよ」

「うん」

「けど……私は……」

「私は?」

「私は……」

「?」

「……いや、何でもない」

「ん? そう?」

「それより連ちゃんにとって幼馴染みとして……だけ?」

「えっ?」

「私は幼馴染みとしてだけ幸せなの?」


 体を寄せて、そこにはぐいぐい来た。

 え? え? ちょっと待って。僕に一体何を言わせる気だ?

「それは~……」

「それは?」


 彼女の目はいつになく真剣だった。じーっと僕の顔を見る。

 参ったなぁ。正直に言うべきか? そうだな。どうせ嘘はバレるし。


「幼馴染みとしてだけじゃ……」


 その時予鈴が鳴った。一応時間を確認すると、後5分で授業が始まる。


「もう時間だ。そろそろ教室に戻らないと」

「分かったわ……」


 そして僕達は教室に戻っていった。

 放課後。僕はふと藍の方を見ると、グループ仲間と楽しく話していたが、皆どこかぎこちないように見えた。

 僕はこの時、まだ気づいていなかった。

 まさかこういう事態になっていたとは。


 木曜日の昼休みはいつものように峰岸さんと学食で食べる。


「映画楽しみだね」

「うんうん」

「映画の後どこ行く?」

「うーん。僕はあまり女子とどっかに行かないからさぁ」

「伊坂さん達とはどこに行くの?」

「えっとー」

「遠慮しなくていいから」

「カラオケとかかな?」

「他には?」

「ボウリ……いや、そう言えば、神社や仏閣に行けてないな」

「神社仏閣?」

「僕、神社仏閣好きなんだ」

「そうなんだ。例えば」

「伏見稲荷とか、鹿苑寺金閣とか」

「京都が多いわね」

「あ、いや地元の神社仏閣でも大丈夫だよ。流石に地元で有名なところだけど」

「なら映画見に行った後、神社に行く?」

「えっ? いいの?」

「良いわよ」

「ありがとう」


 こうしてこの土曜日のデートプランは立った。

 そして教室に戻ると、凛は楽しそうに友達と話していたが、藍の方のその関係はどこか不安定で頼りない感じだ。


 部活終わり。家に帰ると、藍はいつものように勉強をしていたが、なんか凄い集中していた。

 近づいて見ても全然反応しない。

 少々驚かしてやろう。


「わっ!!」

「キャッ」


 大きい声を出したら、やっと反応した。


「どうした? 藍ちゃんいやに集中しているな。模試近いの?」

「え、いや、そんなことないけど……」


 ん、なんか少し元気がないな。


「どうしたの? 藍ちゃん。何かあった?」

「えっ? いや、なんにもないわ!」


 彼女は少し強い口調で言って、また勉強に集中した。

 しばらくすると、たっだいまーと凛が帰って来た。


「凛ちょっと」

「な、なんだよ?」


 凛を部屋の外に呼び出た。昔から双子だからか、感情面はよく似ている。どちらかの気持ちが気になることがあったら、もう片方にその内容を聞いている。


「藍ちゃんなんか元気がないぞ。何かあったのか?」

「私も気になっていたんだ」

「そうか。何かあったか分かるか?」

「うーん。分からん!」


 こいつは相変わらず馬鹿だ。全く頼りにならないな。

 仕方ない自分の力でなんとかするか。僕だけでも藍の力にならないと。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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