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幼馴染み姉妹は僕に何を思う  作者: 佐古昭博
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攻める姉妹

「連ちゃん、あのね。昼ご飯一緒にどう?」


 火曜日。

 僕達は登校していると、藍がいきなりこんなことを言ってきた。

 そして凛も、わ、私も!と付け加えた。


「え、でも最近僕は峰岸さんと食べるんだけど」

「分かっているわ。けど……一緒に食べたくて……。駄目……かな?」


 彼女は少し躊躇いながら言ってきた。そんな顔されると断れない……。

 僕は好きな子と食べれるから素直に嬉しかったが、峰岸さんのことを考えると複雑だ。

 彼女は僕のことが好きだ。そして好きな男子が仲が良いからって他の女子と一緒に食べるのは不満だろう。

 僕は悩んだ。


「すぐに答えを出さなくていいわ。昼休みに聞かせて」


 昼休み時間。弁当を鞄から取り出して、


「阿坂君。一緒に学食へ……」


 峰岸さんが近づいて来て僕に言った時、藍と凛が弁当を持ちながら近づいてきた。


「どう連ちゃん? 決まった?」


 そして峰岸さんは不思議そうな顔をしていた。無理もない。状況把握出来てないんだから。


「えと、何の話ですか?」

「私達も連ちゃんと一緒に食べようと思って」

「えっ!?」

「どうかな?」


 彼女は困った顔になっていた。

 そして僕は朝から考えていたが、妙案が浮かんでいないし、二人のそれぞれのグループがこっちを見て不満そうだ。

 ええい、南無三!


「僕は峰岸さんと食べるから、二人は各自で食べてくれ」

「えー、なんでよ!」

「そんな連ちゃん。一緒に食べたくないの?」

「そんなことはないが……」


 僕は峰岸さんの方をちらりと見る。なんか不服そうだ。


「あの伊坂さん」

「はい。何か?」


 二人は同時に反応した。最近シンクロ率が高いな。


「小説は好きですか?」

「あまり読まないわ(ほとんど読まない)」

「私達は小説が好きだから、よく小説の話をします。単なる()()()()がその話で楽しめますかね?」

「ねーさん」

「おほん。あぁ、連ちゃんの小説()()の峰岸さんね。いつも連ちゃんがお世話になってます。そうですね。けど話題は小説の話だけでなくてもいいのでは?」

「それはそうですが、阿坂君は楽しみにしていると思いますよ。ねっ、阿坂君?」


 峰岸さんはにこやかにこちらの方を見る。

 目は笑ってないから怖いんですけど。


「えっ? う、うん」

「私達は共通の趣味を共有し合う関係なんです。趣味の違う方がわざわざその関係に入らないでほしいものです」

「分かりました。なら二人のその話を私達に聞かせて下さい。それなら良いでしょう?」

「……」

「どうですか?」

「私達と貴女達とは学校でのグループ層が違う。だからあまり学校では関わらない方が良いですよ」

「ご心配なく。幼馴染みはそのグループ層に影響しない絆がありますから」

「ご自身の友達関係も大切にした方が良いですよ」

「……」

「分かった。こうしよう」


 僕はこの空気に耐えきれず叫んだ。


「今日のところは峰岸さんと食べて、明日はら……二人と食べるでどうだ?」

「まぁ、そこが妥協点ね」

「……分かったわ。そうしましょう」


 そして一応の決着がつき、峰岸さんと学食に行った。


「ゴメンな。うちの幼馴染みが迷惑をかけて」

「……ううん。別に気にしないで」

「気を取り直して、色々話そっか」

「そうね」


 そして僕達は話をした。


「小説を読まない時は何しているの?」

「う~ん。よく友達と話しているかな?」


(よくよく考えたら最近、一人でいないなぁ)


「どんな話?」

「他愛もない話だよ」

「例えば?」

「惚れた腫れたの話を聞いたりするかな」

「へぇ。阿坂君ってそういうのに興味あるんだ」

「いやいや、学校の人間関係を知る上での参考として聞いているだけだ」

「あ、そうか。成る程」

「うん」


 彼女は思案しているようだった。


「伊坂さん達以外に仲の良い女子っているの?」

「まさか!? いないよ!」

「そ」

「……」

「あのね。阿坂君」

「ん? 何?」

「私には隠し事しないで」

「えっ?」

「どうせその友達って伊坂さん達でしょ?」

「……う、うん」

「確かに妬いちゃうけど、貴方の事を知る上でそれが重要になるから」

「そか、分かった」

「宜しくね」


 僕は部活を終え帰宅すると、藍が勉強していた。


「ただいまー」

「お帰り~」

「なぁ、藍ちゃん」

「ん? 何?」

「学校での友達も大切にしないと駄目だよ」

「……そうね」

「僕に関わりすぎて、二人の友達がいつか離れていかないか心配だよ」

「……」

「だから、僕に……」

「……分かったわ、連ちゃん」

「?」

「週に一回だけでいいから。昼休み、私だけと一緒に食べてくれない?」

「凛は?」

「日を分けて別々にして欲しいの」

「う~ん」

「駄目……かしら?」


 僕は考えた。それなら藍が学校での友達と距離が離れる可能性は減るし、僕とも食べれるし、日にちは減るが峰岸さんとも食べれる。


「分かった。良いよ」


 凛にも言って承諾を得た。

 こうして藍と凛は僕と一緒に学校で週に一回ずつ昼ごはんを食べることになった。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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