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作者: 匿名希望のS

貴女と貴方の踊るステップが、私の脳を激しく刺激し、今日もまた、流れる水の音に苦しめられる

 深夜零時を過ぎた頃、匿名希望の私は悶えるような苦しみを覚え、カルキの味がする水道水を、ただがむしゃらに流し込んだ。僅かな温もりを求め自分の体温が残る布団へと足を運ぶが、消し去った筈の記憶がノイズとしては自分の脳にこびりついている事に邪魔をされる。

 すでに世の中から消えつつあるブラウン管越しにみた、あの日の記憶。数々の女がすり抜けていったあの路地裏、静寂という爆音が流れる公園、全てが嘘であってほしい衝動に駆られながら、私は再び倒れるように眠った。


 気がつけば何時でも、排水溝を走り回るネズミのように何かに振り回される日常。悲しみという歓びを求める人間達は今もこの瞬間に多くの命を産み落とし、儚さの欠片もなく散っていく。たった一人のシルエットすらも人の記憶からはいとも簡単に消えていくのだから。

 匿名希望の私は本日今日、手術台に縛り付けられた如くいとも簡単に自由を奪われ世間一般に前ならえの一兵卒として生きていく。

 ゆっくりと息を吐き、再び排気ガスと共に吸い込んだ空気が血中酸素の濃度をあげていく。衝動的な焦燥感、悪意に満ちた人の笑顔、優しさに溢れた詭弁と空論全てが同列に語られまるで宇宙の真理のように伝搬する。

 私の見ている世界が正ならば、何が一体真実なのだろうか。

 

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