表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
諦めました。  作者: コトリ
8/20

諦めました。 8

[ 8 ]



…これが、夢物語であったなら。

主人公は才能があって。

強くて。仲間も大勢いて。


そして、何よりも(特別な)存在なのだろう。



しかし、自分はどうだろう。

(この人はふざけているんだろうか。)

私は、もう一度本を開き、白紙のページをめくりながら問いかけた。


「この世界では、ニンゲンは神様みたいな存在なんですか?

消滅したモノを元に戻すなんて、そんな事出来るとは到底思えませんが。」


彼は一瞬目線を落としたが、すぐに答えた。

『もちろん、ニンゲンには無理だよ。

どんな特別なニンゲンだろうと、無理だ。


…でも、君はやり方を知っている。

つまりは、』


わたしは思わず、彼の話を遮る。

「わたしが人間じゃないって言うんですか!

冗談じゃない、そんな事ありえないです!」


(絶対ありえない。だって、今まで普通に生活していたんだから。)

…普通の学生生活。普通の家族。

今までの記憶が、嘘なわけがない。


『君は。ここに住んでていた事があるんだよ。しばらく暮らせば、少しずつ思い出すんじゃないかな?』


「わたしに、消えたモノを元に戻せって言うんですか?…そんなの、無理です!」



『いや。……俺にとっては、そんな事どうだってかまわないんだ。

ただ少し、君に思い出して欲しい事があるけど。だから、いろいろ探索して欲しいな。』


『どのみち、君がいくら(帰りたい)と望んだとしても、無理だよ。

…第一、俺がさせないから。』


「…そんな…いえ、わたしは諦めません。

ここに来れたという事は、帰る事が出来るという可能性があるはずですから。」


わたしは、手に持っていた本をぐっと彼につき返そうとした。


『それは、君が持っていた方がいい。

…この(象牙の塔)を理解するヒントになるかもしれないからね…


さて、君とずっと話していたいけど、

まだやる事があって出掛けるんだ。

夜には戻るから。昼食の時間になったら迎えを寄越すから、自由にしてて。


それじゃあ、またね。』



彼はそう言って、出て行ってしまった。

扉の閉まる音が反響する。



➡︎ 9


申し訳ありません、途中で1度投稿してしまいました。



彼女は、まだ諦めていない様です。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ