4/20
諦めました。 4
[ 4 ]
わたしは、執事が出て行った扉を呆然と見つめる。
分からない事が多すぎて、頭が着いていかない。
深呼吸を1度してから、改めて部屋を見回してみる。
広い部屋だ。1部屋なのに、昨日まで自分が暮らしていたアパートよりずっと広い。
窓に駆け寄り、外を覗くと、ここは3階のようだ。
(あかない。あいたとしても、飛び降りるのはムリか…。)
窓を叩き割るのは最後の手段にしよう。
わたしはそう心に決め、今度はドレッサーをゆっくり開けてみる。
中には、真新しい服がいくつも入っていた。
執事は着替えろと言っていたが、とてもそんな気分にはなれない。
しかし、わたしはシワだらけになったスカートを掴みながら思案した。
(…この服に害は無さそうだし、ここは大人しく従って、様子を見る…か?)
正直、かなり抵抗はある。でも、協力的な姿勢を見せれば、何か聞き出せるかも知れない。わたしはなるべく動きやすそうなワンピースを手に取り、素早く着替えた。
スマホは念のため隠し持っておく事にする。
…電波が入って来る場所が見つかれば良いが。




