閑話:おソトでおデート
(さすがにレオナでも可哀そうという意見があったので、幸せそうな所を置いときますね)
「一週間の自由を満喫しおわったとたんにコレだものね」
「デート楽しいですね、レオナさん!」
「そうねー」
レオナは遠い目をした。尚、手足は拘束されている。これは果たしてデートなのだろうか? と首をかしげたくなるが、そんなことをしたら首も拘束されそうなのでやめておいた。
まぁ場所はカフェとかのようだけど。目隠しで見えないものの。
さすがに口枷だけは外してもらえたけど。
「せめてこの拘束服は着替えさせてくれない? あと目隠しも」
「ダメです」
「……窮屈なのだけど。逃げないから。ね? ソトちゃんの可愛い顔見たいわ」
「いや、それパパとの約束なんで。レオナさんが余計なことしないようにちゃんと対策してならお外でデートしていいっていう」
「…………ちなみにこれ、ケーマさんに確認はとったの?」
「レオナさんの専門家は私ですからね! パパも信頼してくれてます!」
うん、それつまりこの明らかに犯罪臭しかしないヤバい見た目は全く確認してないということだ。
匙を投げているとも言う。
そしてこの絶対逃がさない拘束はソトの趣味であると。
「でも、レオナさんが私のためにオシャレしたいっていう気持ちはとっても嬉しいので、アクセサリーを買いましょう! チョーカーなんてどうですか?」
「わぁ素敵。でも指輪とかいいと思わない? ペアリングで」
「ブレスレットやアンクレットもいいですね、チェーンがつけられるやつ!」
「拘束が強いわねぇ……」
と、カフェの椅子に座って拘束されたまま紅茶を飲むレオナ。両手は封じられているので甲斐甲斐しくソトが紅茶を口に運んでいる。カップで。
尚、こんな格好だが一切騒ぎになっていないのは、レオナがそういう認識偽装する魔道具を使っているからである。
今のこの凶悪犯の護送シーンにしか見えない姿だが、なんと他の人には『ごくありふれた姉妹の微笑ましいシーン』に見えているのだ。このデートの為だけに作り上げさせられたトンデモ魔道具である。
ソトのお願いのままに作り上げ、お願いのままに使って、お願いのままに今に至る。
……普通にデートしてくれるならいくらでも付き合うのに、とレオナはため息をつく。
まぁ普通じゃなくてもどうせこうして付き合うことになるわけだが。
「ロープで引っ張るのも重いでしょうに」
「私の愛の重さに比べたら羽毛ですねっ」
「うーん。なんでソトちゃんはそんなに私の事が好きなのよ?」
「まず前提ですが。私のこの愛を受け止められる人がレオナさんの他にいると思いますか?」
居ないだろうなぁ、とレオナはもう納得した。
まず物理的に。こんな風に拘束されるというのなら誰でも逃げるだろう。レオナも逃げるが、なりふりを構う余裕はある。そしてちゃんと戻ってきてしまう。
ポーションを量産できる腕前も必須だ。よく齧られて血が出るので。
そして精神的にも依存や束縛が激しすぎる。端的に言って、ヤンデレだと思う。
「私の愛を受け止められる頑丈な器の持ち主、っていうのが理由の一つではありますね。全力で注ぎますよ愛を。そして受け入れますよ、愛を」
にこっと笑いかけるソトに、レオナはドキッとときめいた。見えなかったけど。
これでときめくのは自身でもおかしいという認識はあるが。それはそれでお似合いなのだろう。
「レオナさんも、私に負けず劣らずなの知ってますもん。遠慮しないでくださいね、私、ぜーんぶ知ってますから。昔は人に混じる努力してたことも、愛されたくて忠実な種族を産み出してみたことも、トイシリーズを研究した理由も」
「……そこまで言ってたかしら?」
「うふふ。恋する乙女は好きな人の事をなーんでも知りたいんですよ?」
ちろり、と唇を舐めるソト。完全に捕食者の目である。
「もちろん、見た目やら性格やらニオイやらも全部好みですし。食べちゃいたい。よし食べるか、ここで。カフェって美味しいものを食べる場所ですし丁度いいですよね?」
「さすがにお店の人に迷惑かかるからやめましょうね? ね?」
飲食店に食べ物の持ち込みはダメなのよ? と斜め下な説得をするレオナ。
だがソトはそれに納得した。
「ちぇ。しかたないですねぇ。貸し1ですからね」
「うんうん、そうね。なんか一方的に貸しが積み重なってる気がするけどもう数えきれないから気にしないわ」
「愛ですね! 好き!」
「話の繋がりって言葉知ってる? あ、知ってるならいいのよ。知ってて無視してるだけよね」
もう、ソトちゃんったら。とやれやれと肩をすくめる。拘束された範囲内で。
「あ、それじゃあダンジョン跡公園行きましょう。あそこなら暗がりもいっぱいあるって話ですし、デートスポットですし」
「ダンジョン跡公園……ああ、懐かしいわね。この町のだと、私がまだ人間だった頃に攻略したやつかしら」
「では当時の思い出も聞かせてくださいよ。私には知る権利があります!」
「もう昔の事だからほとんど忘れちゃってるわよ?」
「なら現地を見れば色々思い出すかもしれませんね、れっつごーです!」
と言って、口枷を取り出すソト。
「口枷してたら喋れないのだけど」
「今日は私以外と喋らないんだから、不要ですよね? 念話もありますし」
「あの、むしろ現地を見たいから目隠しも外して?」
「レオナさん。目隠ししてても口枷出したってわかったのはなんでですか?」
「……」
「大丈夫、たとえ見えてなくても、私が事細かく説明してあげますからね。はい、口枷つけましょう」
「……もぐ」
大人しく口枷を付けられるレオナ。そしてカフェでの支払いを終え、二人は公園へと向かった。
もちろん、ロープで引き摺って。





































