程々で止まってくれますよーに
(あけおめましてー)
……いや、その。
よく考えたら実現不可能な話ではないんだよな。
ただ、ひたすらに面倒なだけで……!
だって言ってしまえば撮影用ダンジョンの内容を実装して、本物のダンジョンを用意すればいい、って、それだけなんだから。
ダンジョンマスターならダンジョンを作ることはできるし、DPだってカリソト区の分有り余ってる。
ただそう。ひたすらに面倒なだけで……!
「……でも作るしかないんじゃない、ケーマ?」
「それは……ああうん、それはそうなんだが……」
「最近ダンジョンもあんまり思い切った拡張できてなかったし、丁度いいわよね!」
コッソリ帰ってきてすぐ、同じく帰ってきたロクコにそう言われた。
ロクコも小鳥に『憑依』してたから事情の理解度は同じ。
……そうか。ロクコからしたらダンジョンの拡張だからご褒美なんだよな。
「出入りの問題についてはソトに協力してもらって適切な場所に聖王国内でダンジョンの入り口を繋げてもらうとして……ダンジョンの作成はナリキンの攻略配信を見返して同じものを用意しなきゃならんな……」
「そうね! 今度はハリボテじゃなくてしっかり作ってよね?」
「…………よし、部下に作らせよう!」
そう。別にダンジョンマスターの俺が全部を作る必要はないのだ。
ベースや基本的な所を部下に作らせて、最後の調整くらいを俺の方でやれれば……楽ができるのではないか? と。
「となると、やっぱりレイ達に任せたいところだが」
「あら。ちょっと待ってケーマ? それなら別に、私が作っても構わないのよね?」
「ん?……それはそうだけど」
「じゃあ私に作らせてよ。私のダンジョンなんだからいいでしょ? ね?」
と、ロクコが上目遣いでずいっと迫ってきた。
……まぁそうだよな。元々ダンジョンコアはロクコであり、ダンジョンはどこまでいってもロクコのモノといって過言ではない。
なら、その持ち主であるロクコが作るのに何の問題があろうか、いやない。
……ないんだけど。
なんか嫌な予感がするのは気のせいだろうか?
「……ダメ? ケーマぁ……」
「うぐっ!」
ジャージを小さくクイと引っ張りつつの上目遣い。あざとい。いつの間にこんなあざといテクニックを覚えたんだ……俺が寝てる間か。漫画めっちゃ読んでたもんなぁ。
「あとでケーマの好きなコトなんでもしてあげるから……ね? いいでしょ?」
「……な、なんでも……!?」
「うん、なんでも」
といってロクコは今度は俺の頬に手を伸ばし、すりすりと触れるか触れないかで撫でてきた。
上目遣いのまま、ちろりと舌を出して唇を舐めるロクコ。
「まぁダンジョン作ってからだけど……」
「お、おぅ」
「どうしても先払いが良いなら、それでもいいけど?」
人差し指で胸をつついて来る。そのまま、ぐるぐると円を描いてくすぐってくる。
そして左手が。そっと逃げられないように腰に手を回してきているのだ。何この追い詰め方、知らない。
「えーと、この後はどうするんだったっけ……」
「ちょっとまてロクコ。こんなおねだりの仕方、どこで覚えてきたんだ?」
「オフトン教のシスターよ? 男の人には効果抜群だって聞いたわ」
「あのサキュバスシスター共め……!」
「とりあえずジャージの中に潜るわ」
「まてまてまて。服をめくるな。服の中に入るんじゃない。こら入るなって。入るなってば!」
「うーん。それはおヘソ舐めてから考えるわ」
「やめなさい!?」
うぉ!? 思いの外力強い! いやこれゴーレムアシスト使ってるな!?
「分かった、ダンジョン作っていいから! ロクコに任せるから!」
「やった! 言質とったわよケーマ!」
と、ジャージの中から返事するロクコ。いや出て? 鼻息お腹に当たってるから!
え? それとこれとは別? いや別じゃないハズでは?
その後こちらもゴーレムアシストを使いつつジャージの外にロクコを出すことに成功する。……無駄に疲れた……あとヘソは舐められた。ホントに舐めてくるかよ、にゅるってしてくすぐったかったわ。んもう。変な声出たわ。
「……じゃ、じゃあ俺はナリキンに時間稼ぎするように言っとくよ。どれくらい時間が欲しい?」
「やったわ、フフフ……じゃあそうね、1週間……いえ、1か月くらい頂戴。いけるわよね?」
「分かった。それなら機材を一旦返してしまったからまた借りるのに少し時間がかかる、くらいの言い訳でいけるな」
「ありがとケーマ。すっごいの作って見せるわ!」
ぐっとこぶしを握ってやる気満々のロクコ。
「その、程々で頼むぞ? ナリキンが攻略できる程度で」
「すっごいの作るから期待しててね!!」
程々で……と言ったのだけど。程々で済みそうにないな?
目をキラキラしているロクコを止める事は今更出来なさそうなので、ナリキンが攻略できる程度で済むように神に祈っておくことにした。
……しまった、そういえばオフトン教に神は居なかった。
代わりに闇神に祈っておこう。ロクコが程々で止まってくれますよーに。
(そういやコミカライズの方も更新されてましてよ!!)





































