イベント閑話:正月のやつ
(あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。
せっかくの土日年越しなのでイベント更新です。尚前回の正月SSはクリスマスのと同じ頃の活動報告。
年越しの瞬間? オフトンで横になってたよ)
ワタルのクリスマスプレゼント、上級風魔法『トルネードのスクロール』は一旦ネルネの手に渡ったのち、ソトが食べ、その複製品をネルネが使っていた。
……まぁ、その方がスクロール使い放題になるし当然なんだけど、折角のプレゼントを躊躇することなくソトに食べさせるネルネに相変わらずのドライさを感じるクリスマスであった。
(俺達から渡したクリスマスプレゼント、中級時空魔法『回収のスクロール』も同様なので、ワタルの好感度が低いわけではない様子)
さて、そんなこんなでクリスマスから約一週間程が経過したわけだが……
珍しいことに、ワタルがまだゴレーヌ村に居た。
「なぁワタル、なんか今回は滞在が長いじゃないか」
「フフフ。実はハク様から冬休みをいただきましてね! 新年、お正月もゴレーヌ村で過ごす予定なんです」
ドヤァ、と得意げなワタル。
どうやら大きな因縁があった10番コアを倒したことで、ハクさん側の方でもだいぶ余裕が出来て大型休暇を適用できるようになったらしい。
……聖王国からのチョッカイががくんと減ったそうだ。
おそらく、そのチョッカイは教皇であった10番コアが主導していたのだろう。
ついでに今は次期教皇を決めるために選挙中。(ナリキン調べ)
なおさら帝国にかまってる余裕がないと思われる。
「お餅つきましょうお餅。あ、もち米じゃないとお団子になっちゃいますかね」
「お餅かぁ……」
俺も久々に食べたいので、特別にもち米がドロップするようにしてやろう。
あんこで食べたい。
「いつぞやかは門松とかがトラップになってましたし、それも回収して飾りましょう! きっとすごく正月っぽくなりますよ!」
「文化の押しつけはよくない……が、勇者由来だと大体受け入れられるんだよなぁ。はぁー、ワタル主導で勝手にやる分には好きにしていいぞ」
冒険者が多い、いわゆる冒険者村なここゴレーヌ村は、特に勇者由来文化に対し非常に器が広い。クリスマスも結局普通に受け入れられてたしなぁ。
「俺も親から少し聞いて知ってるが、詳しくはないからな」
「ふむ。ではまずお正月といえば、という定番をお教えしましょう!」
「それはネルネ達とやってくれ。俺は寝るから」
と、仕事をワタルとネルネに押し付けて、俺は寝ることにした。
* * *
「アケマシテオメデトウゴザイマス。ご主人様、おとしだま、というのがあるそうですね?」
「アケオメコトヨロ! お年玉ちょーだい! です、パパ!」
「……おはよう二人とも。ワタルに聞いてきたな?」
おのれワタル。余計な事をしてきたな。
まぁ幸いお金に困っていないので、イベントお小遣いってことで別にいいんだが。
えーっと、ニク達くらいだと銀貨1枚くらいが妥当か?
「靴下を丸めるように脱いで玉になったヤツください!」
「おいソト。なんだそのお年玉。それもワタルに聞いたの?」
「私が考案しました!」
だよな知ってた。
俺の娘に自重を覚えさせたいんだがどうしたらいいんだろう。
「お年玉は大人しく小遣いをせびっておけ。ほら銀貨1枚あげよう」
「ちぇ。でもありがたく受け取りますね!」
ソトに銀貨を渡すと、「これで靴下を買って……」とか漏らしていたが、まぁお年玉の使い道は自由だ。口を挟まないでおこう。
「わたしは肉団子を所望します」
「むしろ銀貨の方が肉団子何個分かになるだろうな」
「なら銀貨で」
はいはい。あけおめあけおめ。ニクにも銀貨を渡した。
「うむ。さて、それじゃあお正月というなら寝るかな。寝正月だ」
「あ、パパ。キヌエさんがオセチ作ってましたよ」
「ほう、おせち」
正月にごろごろするべく、多少日持ちするオカズを重箱に詰め込んだアレである。
三が日をおせちだけをつまんでのんびり寝る、それは実にオフトン教の理念にかなっている気がする。
ついに仕事中毒のキヌエさんも正月にのんびりすることに屈したのかもしれない。
「オゾーニもあるそうですよパパ」
「ワタルが無事もち米を手に入れてたもんな。よしよし、計画通りだ。んじゃちょっと見に行くかな」
「……ご主人様が寝ることより優先するとは。ちょっと衝撃です」
ニクや。俺だってお腹は空くんだぞ。
* * *
「おーい、キヌエさん。おせち作ったんだって?」
「マスター。アケマシテオメデトーございます。はい、マスターもおひとつどうぞ」
「おう。ありがとう……って、同じヤツを何個も作ったんだ?」
「はい! サンガニチはオセチを作って過ごします!」
ワタルから聞いたおせちのオカズを再現してみたところ、オセチを勇者弁当として売ってくれと大好評をいただいているとかなんとか。
……そこに正月を休むという発想はなさそうだ。一番大事なところなのに。
「おせちは三が日に作るもんじゃないぞ? まぁいいけど」
「ワタルから聞いたオカズが、どうにも日持ちしないモノも含まれていまして。エビとかの海産物ですね、パヴェーラから仕入れましたが……」
現代日本の輸送技術・冷蔵技術ありきなオカズじゃ仕方ないな。ワタルの現代っ子め。
おかげでキヌエさんは元旦にもかかわらず生き生きと仕事している。
「あ、オゾーニをはじめとするオモチ料理もありますのでご賞味くだされば幸いです」
「それはちょっと食べたかった」
まぁ、サービス業、特にホテルや旅館みたいな所はお正月も働くもんだしね。
むしろ稼ぎ時といってもいい。休めとは言わないでおこう。
「レイもハツモーデのために教会を開けていますしね」
「なるほど。初詣のためならしかたないのか……」
神社とかも正月は稼ぎ時だからなぁ。仕方あるまい。働き者が多いなぁ……
「ちなみにネルネは?」
「ワタルと共にオセチを開発するのに協力してもらったので、今は休んでいます。全てのオカズに呪術的要素があるとかなんとかで張り切ってくれました」
「あー、健康長寿とか祈ってる感じなんだっけ。おせち」
エビは腰が曲がるまで長生きできますように、とかそういう感じの。
「栗きんとん入ってる? あれ結構好きなんだよね」
「メロンパンなら入ってます」
なぜに?
「メロンパンの網のように皴が入るまで長生きするように、です」
「こじ付けっぽいなぁ」
「そうですね、ロクコ様は皴とか入りませんものね」
……ロクコの好物だから入れたんだろうなぁ。ロクコ自身はいつでもメロンパン食えるというのに。
「他はエビとか貝とか昆布とか……ふーむ。よくこんなにあったな」
「イシダカレシピ関連で研究されていたようで食材は簡単に購入できたようです。食神のおかげといってもいいかもしれませんね」
勇者イシダカ、おそるべし。ちなみに買出しはワタルがネルネとのデートを兼ねて行ってくれた模様。
ちゃんと食材の費用は出したんだろうな?
「ちなみにこの靴下の形に切られたイカかな? これにはどんな理由をこじつけたんだ?」
「……その、ソト様が本物の靴下を入れようとしてたので……私どもには食べられませんと嘆願した際の折衷案で……ええと。靴下のように長生きできますように?」
「よく歩ける健康な体でいれますように、とかの方が良いんじゃないか?」
「なるほど、そのように致しましょう」
作ってから由来変えちゃうのかぁ。まぁいいけど。
「来年は先ほどマスターの言っていたクリキントンをオセチに入れてみせましょう」
「そうだな。『金の布団』という意味もある金運の縁起物だし、オフトン教っぽさもあっていいと思うぞ」
「ますますメニューに入れねばならないと決意しました。マスター、勉強のためにDPカタログにクリキントンがあればいただいても?」
「そうだな、俺も食いたいし出すか」
栗きんとん美味しいよね。是非頑張ってくれ。
尚、お雑煮は普通にお雑煮だった。適当に余った野菜を切って入れたベースにおもちをいれたもので、普通に美味しかった。
(正月はいちゃらぶイベントじゃないからな。のんびりするもんだぞ。オフトン教的には寝正月推奨。
そして、コミカライズ8巻が今月、1/25に発売です! よろしく!
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