レイドダンジョンバトル(5)
(完結したら買うって言ってた人、この17巻で完結だからちゃんと買うように)
結局、メインパイロット同士の戦いに勝利したのはニクだったので、レイは休憩に入った。
……ネルネとキヌエも休憩中のためサブパイロットはどうなるんだという話なのだが、ここで名乗りを上げたのが――
「……やりますね、フェニ。わたしの操縦についてこれるとは」
「ぴぃ!」
――ロクコのペットたちであった。今は不死鳥のフェニがサブパイロットとしてゴーレムを動かしている。
確かにお前らネームドモンスターだったし権限は余裕であるわけだけど、あからさまに動物型のペットたちがしれっとゴーレムを操縦しているのは地味に不思議な光景である。
「あら、私達だって人型なのにネズミとか動かすじゃない」
「……そういう問題か?」
「同じような事よ。ミカンのとこだってウサギがモンスター動かしてんのよ?」
言われてみたら何にもおかしくないな。
「にしても、十分戦える腕前っぽいなぁ」
「いっそフェニ達に個別の専用機でも作ってあげたら? 私も喜ぶわよ」
「検討しておこう」
ペット達へのプレゼントであると共に、ロクコの防衛戦力にもなるわけだしな。作る価値はありそうだ。
* * *
さて、そんなわけで順調に攻略は進む。
周りと足並みを揃えたのんびりペースだが、先輩方にとっては違うらしい。
『どこのコアか分からないけど、ダンジョンをすごい勢いで攻略してるところがあるわ。マップがすごい広い』
『そうだね、このマップがあれば攻略も早くなるのは当然だけど、これが普通と思わない方がいいよ。……いやでも、これができるコアが派閥入りしたってことなら、今後はこれが普通になるのか?』
「あ、それ俺の部下だぞ先輩方」
『マジか。あ、さっきゴーレムからネズミ放ってたけど、あれか』
おっと、ゾンビだ……ゴーレムタックル! 四肢がバラバラになったところを先輩方が丁寧に魔法でトドメ! よーしどんどん進むぞー。
『後輩が頼もしすぎて先輩として立場がないな』
『まったくね』
「それにしても先輩方。こういう討伐みたいなのはよくあるんですかね?」
『ん? そうだな、10年に1回とかそのくらいか。でも相手が10番コアとか上位コアなのは初めてだよ』
そのくらいのペースで裏切者が発覚しては討伐されるらしい。ダンジョンを攻略しつつ雑談で情報収集。こっちも話すから情報交換かな。
うーん、相手が10番コアという一応強敵なハズなのにほんとお気楽だなぁ。
おっと、スケルトン。生意気にも武装してる……ゴーレムタックル! 砕け散った破片を先輩方が丁寧に魔法でトドメ! よーしどんどん進むぞー。
『あ、毒の沼。さすがにここはゴーレムじゃ進めないんじゃない?』
「いやぁ、ゴーレムとスライムだから毒効かないんだ、これ」
『それは便利ね。って……深さ大丈夫?』
『お、余裕そうだ。乗って良い?』
どうぞどうぞ、と先輩方をゴーレムの上に載せて毒の沼も進んでいく。むしろゴーレムが足場の橋を渡してやった。よーしどんどん進むぞー。
『しかし、モンスターにDP持たせて現地でモンスター出すとかいいアイディアだね。今度から真似させてもらおう』
『マイコニドのは後輩の真似をして恥ずかしくないの? まぁ私もするけど。……ねぇ、実はかなりのベテランコアだったりする?』
「いやぁ、新米のダンジョンコアなんだけどね。600番台だし」
『へー、600番台かー……まじで? ガチ有能じゃん君。へこむわー』
あははー、と笑いながらそういう犬先輩。先輩達は300番台とか200番台とからしい。個人情報を伏せてるからこのあたりが情報交換のギリギリのラインか。
おっと、動物系のゾンビだ。熊じゃん。……ゴーレムタックル! ちょっと討ち漏らしたけど先輩方が丁寧にトドメ! よーしどんどん進むぞー。
「まぁ俺はコアじゃなくてマスターなんだけど」
『あ、そうなんだ? マスターの腕前かぁ。マイコニドのもだけど、マスター持ちはやっぱり違うわね。まぁ後輩の方が凄そうだけど』
『吸血鬼の。それはうちのマスターへの嫌味かな? 喧嘩なら買うよ、次の敵を先に倒した方が勝ちと言う事でどう』
『あ、敵』
ゴーレムタックル! 連続じゃなかったらゴーストでも関係ないな。マジックガントレットで轢き殺せる。
『ちょっとゴーレムの。今のはこっちのために敵を残すところじゃなかった?』
『それほどでもない』
「はっはっは、綺麗に轢き殺せたよ。喧嘩なら次のにしてくれ先輩方」
『というか、功績を持ってかれ放題だなぁ。ま、楽でいいけど。別にハク様の報酬なくても困らないし。目を付けられて討たれたらいやだから参戦はするけど、楽に済むならそれに越した事はないね』
そんな風に俺達は気楽に10番コアのダンジョンを難なく進む。変わり映えしないアンデッドだらけのダンジョン。
休憩を挟みつつ、俺達は50階層のボス部屋へとたどり着いた。
『……ここらが最深層かな? すごいな、一番乗りじゃないか?』
「え? もう? 特に困難らしい困難がなかったけど……?」
『いやいやいや、こんな簡単に行くのおかしいから』
『俺達には色々あったように思えたんだが……特に意識しないで突破してたのか。後輩が頼もしすぎる』
一般的には、50階層とかになるとそういう認識らしい。
……そういやイッテツも50層くらいだったな。
(ガルドコミックのコミカライズの方も更新されました!!
無料公開の方はついにネズミレースだぞ。
そして……
2022年6月25日
絶対に働きたくないダンジョンマスターが惰眠をむさぼるまで完結17巻!
コミカライズ版7巻! 同時発売!!
両方書影でましたー!(活動報告かページの下の方参照)
あ、ゲーマーズ有償特典のえっちいウェディングタペストリー、大人気です。
入手したい人はご予約をお早めに。前回のとかは普通に売り切れたからな……?
(活動報告参照)
それとこのWeb版はまだ続くけど、新作準備があるので隔週更新は続行です)