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ダンジョンバトルの準備(1)


 ダンジョンの幹部を集めての幹部会議、INマスタールーム。

 俺、ロクコはもちろん、ニクとイチカ、レイとキヌエとネルネ、そしてソトが集まっていた。無駄に円卓を用意してある。マスタールーム勤務であるダンジョン管理妖精エレカが気を効かせてお茶を淹れてくれた。

 ちなみにナリキンも幹部ではあるが、聖王国にいるので不参加だ。


 幹部会議の議題はもちろん、ハクさんに要請されたダンジョンバトルについてだ。


「というわけで、ハクさんから要請があったわけだ。どういう準備が要ると思う?」

「えっ、マスターが決めるのではないのですか?」


 俺の言葉に反応したのはオフトン教聖女、攻撃力0のレイだった。


「レイ達にもダンジョンバトルの経験を積んでおいてほしいからな。ナリキンに『憑依』すれば村にいながらにして旅行もできるけど、本当に不在の場合にダンジョンバトルを吹っ掛けられてしまう可能性もある」

「なるほど、万一に備えて、と言う事ですね」


 それに、レイ達がダンジョンバトルをこなせるのであれば、今後ハクさんから同様にダンジョンバトル参戦の要請があっても丸投げできる。本拠点の『欲望の洞窟』ではなく、サブダンジョンの『白の浜辺』で、とすれば別に負けたとしても取り返しがつくし。

 ……むしろ『白の浜辺』が無くなればハクさん達の不意の訪問も少なくなる可能性すらあり得る……?


「多少は口出しもするけど、主にレイ達に考えてもらいたい。いずれはダンジョンバトルを全て任せられるようになるのが理想だな」

「マスター……! そこまで私達の事を……! このレイ、マスターの期待に応えるべく奮闘することを誓います!」

「私も、同じく。マスター、今後ともどうかよろしくお願いします」

「私もー、マスターのために頑張りますよー!」


 レイの誓いにキヌエさん、ネルネが続いた。やる気と忠誠心があってダンジョンマスターとしてはとても喜ばしい。でも奮闘、といっても前線に出る仕事じゃないからね。そこは間違えないでね。

 と、ここでソトが俺の袖をちょいちょいと引っ張った。


「ところでパパ。私は参加するんでしょうか?」

「ん? あー、ソトは確かに参加しろとは言われてないな、ハクさんからは」

「でもお手伝いくらいはできると思うんですよね! ほら、私の『【収納】ダンジョン』って色々便利じゃないですか?」


 確かにソトの『【収納】ダンジョン』は便利だ。

 【収納】なだけあって、神属性の無い者が相手なら、侵入すると同時に強制的に時間停止状態にすることもできる。雑魚相手では恐らく圧勝できる。とはいえ、ダンジョンコアは亜神。さすがに相手コアが出張ることは滅多にない――魔王派閥を除けば――だろうが敵には対応できる相手が必ずいるというのも事実。


 それに今回は侵略戦。相手を【収納】に入れるのではなく、こちらから攻め込み10番コアを落とす戦いだ。そう考えるとソトは俺達の庇護を受ける新米ダンジョンに過ぎず、戦力として期待するのは難しい。

 『【収納】ダンジョン』はハクさんに秘密にしていることが多々あるのであまり使いたくないというのもある。


「うーん、ソトは便利すぎて奥の手にして隠しておきたいからなぁ……ニクをコボルトに『憑依』させて参戦するくらいにしといてくれ」

「むむ、わかりました。微力なお手伝いってやつですね」

「うんうん、そういうことだ。ありがとうな」


 頭を撫でると、にへっと笑うソト。

 ニクもやる気満々にこくりと頷いている。


「報酬は靴下でおねがいしますね、パパ。今くれても良いです」

「うん、お駄賃目当てなのは分かってたよ? イチカ、靴下脱いでくれてやれ」

「え、ウチ? しゃーないなー。ほらソト様」

「わーい! イチカお姉ちゃんのメイド白ニーソ!」


 メイドらしく丁度後ろに控えていたイチカに頼み、脱ぎたて靴下を一丁。

 まったく誰に似たんだこの変態娘……俺か。


「レイ。ダンジョンバトルは『白の浜辺』から仕掛ける。準備を整えてくれ。それで今回の予算は100万DP。ハクさんが経費で落としてくれるらしいから、帳簿を付けておくように」

「……帳簿ですか」


 自信なさげに反芻するレイ。うん、四則演算まだ怪しいのかな。電卓ゴーレム作っといてやるから……


「まぁ、準備は50万DPくらいで留めて残りは当日のためにとっておく、というのでもありだ。とりあえず50万DPを使えるようにしておくから足りなくなったら言ってくれ。そもそも今回は相手のダンジョンに攻め込むのが主な目的で、ダンジョンの改装はあまり要らないからな」

「なるほど、分かりました。主にはモンスターの用意ということですね」

「ああ、でも――」


 ネズミで使う人海戦術に使う分はとっておいてくれ――と、言おうとして、止める。どうせ1万DPもあれば山ほどのネズミが出せる。餌代を考えると当日分を使うのでもいい話だった。


「でも、なんでしょうか?」

「いや、なんでもない」

「待ってケーマ、なら私から一言言わせて。……レイ、自分を強化して前線で戦うっていうのはナシよ? 幹部は幹部らしく、モンスターを操って戦いなさい」


 俺の取り消した発言を、ロクコがそう言ってつなげた。

 そういえばレイには、部下を呼ぶのに使えと渡したつもりのDPを自分の強化に使った前科があったっけな。


「……はっ、了解しました」


 ……言わなかったらやってたかな? これは。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 派閥そのものの存亡がかかってて今までのダンジョンバトルの中でも一番重要そうだけどこんな適当で良いのかね [一言] これはロクコの忠告がなければ50万DPが無駄になってたかもしれないな
[気になる点] 「聖王国潜入」編はもう終了では? ちょっとモヤモヤします。
[良い点] 大変楽しく読ませていただいております 既に三周以上 [気になる点] 最近、妄想(脳内再生)でキャラたちに声が… [一言] ケーマ:杉田智和 ロクコ:桑原由気 ニク:水瀬いのり イチカ:…
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