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破壊活動をしよう!(3)


 俺は順調に破壊活動を進めていった。


 そうして時間をかけて破壊した結果、既に十分ボロッボロだ。天井や床にも穴が空き、廃墟の様相を示している。

 もしこの状態の巨大魔道具を直せとか言われたら「1から作った方が早いです」と答えるだろう。


「さて、帰るとしようかな……っと、最後にあの黒い奴を壊さねば」


 俺は廊下に転がしておいた兵士を再びわきに抱えてお米様抱っこ。こいつ、ぐっすり寝ていてまだ起きないようだが……ちゃんと生きてるよな?


 黒いダンジョンコアのある部屋に入り、【エレメンタルバースト】で攻撃。びしりっと表面にメロンのようにヒビが入る。

 中々頑丈だな、1発だと壊れないか。もう一発【エレメンタルバースト】だ。


「うおっ!? なんか出てきたっ」


 ぷしゅうっと黒い煙が噴き出す。凄く体に悪そうな煙に、俺はとっさに距離をとって部屋から出た。……抱えていた兵士を落としちまったが、助けに行くと煙に巻かれそうなので諦めておく。連れてきたの俺だけど、そこまでする義理もないし。


 黒い煙はまるで意志を持っているかのように室内に留まり、落とした兵士に吸い込まれていく。何が起きてるんだコレ? 兵士はピクリとも動かない。

 煙は全て兵士に吸い込まれて、煙を吐き出し終えた黒いコアは細かく砕け、ザラザラと砂利の山ができた。


「……とりあえずダンジョンが崩落する気配もないな、よし」


 ダンジョンの通路が元々ある程度頑丈な形状だったのか、補強が効いてるのか、はたまたしばらくはダンジョンの力が残るのか。とりあえずすぐに崩落するという気配はない。

 俺は兵士をそこに放置しておくことにした。ダンジョンが崩れないならここに放置してもいいだろう。

 ……なにより、あの黒い煙が吸い込まれた相手に近づきたくない。ゾンビとかになってて運んでるときに噛みつかれたら嫌だしなぁ。


「そこまでです、侵入者。逃がしませんよ」


 帰りの道――入ってきた道だったが、そこに立ちはだかる敵がいた。

 見覚えのある人物。緑髪の神官服な女性。


 光神教の聖女、アルカだ。

 従者を連れずにたった一人、通路に立ち塞がっている。……そういえば、光神教繋がりだもんなぁ。


『あら、見たことある顔ね。聖女、わざわざここまで来たのかしら』

『ロクコ様。このクロマクは光神教の宗教的な本拠地らしいので、我々の方が聖女の拠点にわざわざやってきた、という感じではないかと』


 ロクファ(ロクコ)トラン(ナリキン)の会話が聞こえる。ここって宗教的な本拠地だったんだ?


「……聖女アルカ。一人だけか」

「私を知ってますか。では大人しく投降していただけると手間が省けて良いのですが……ここを突破しても兵達が道をふさいでいます。逃げ場はありませんよ」


 そう言って短剣を両手に構える聖女。以前は別の武器を使ってたと思ったけど……まぁ通路で人間が相手ということなら短剣の方が良いのか。

 こちらも【収納】から魔剣ゴーレムブレードを出し、構え――ようとしたところで襲い掛かってきた。ゴーレムブレードを掴んで【収納】から引っこ抜き攻撃を受ける。

 ナリキンの身体では受け止めるのが限度か。


「剣を抜いたからには、もはや問答無用です。手足を切り落とし拘束します」

「それは勘弁願いたいな」


 後ろに退きつつ、聖女相手にどうしたもんかと考える。


「――【スリープ】!」

「効きませんよっ!」


 とりあえず眠らせようとしてみたが、そりゃ聖女ともなれば耐性スキルも持ってるか。さて、勝てないまでもどうやって逃げるかな……聖女を何とかしても兵士が待ち構えてるってなら、死に戻りの方がいい、かな?

 しかしわざわざ進んで死にたくはない。


 あっ、そうだ。

 俺は距離をとる。そして、【収納】から寝たままの兵士を引っ張り出し首に剣を突き付ける。


「動くな。こいつがどうなっても良いのか?」

「……! 人質とは卑怯な……!」

「ふふふ、何とでも言うが良い。こいつが死んだら、聖女様と違って生き返らないよなぁ?」


 完全に悪役だな俺。まぁ、今回は俺、完全に破壊工作してるテロリストだしな……?


「しかし、兵となった以上……死ぬ覚悟はできているでしょう……!」

「マジか。あっさり見捨てるんだな聖女様」

「そもそも他にも人がいたはず。既に彼らを殺している以上、貴方の言葉に耳を傾ける理由はありません!!」

「あ、言っとくが、俺は誰も殺してないからな? 寝かせただけだ」


 まぁ、そのうち兵士1人は無事かどうか怪しいんだけども。


「……もう一度言ってみなさい」


 聖女の目が赤く光る。嘘判別の魔法だろうか。俺は堂々と答えてやる。


「俺は誰も殺していない。今のところはな……! 俺を無事に逃がすというなら、この兵士は傷つけることなく解放してやろう」

「くっ、し、しかしっ……!」

「分かった分かった。じゃあちゃんと人質を解放するという証拠に、あっちで伸びてる兵士を持って行っていい」


 そう言って俺は道を開ける。どうぞ、と奥へと促してやると、聖女は俺を警戒しつつ奥へと入っていった。



 そして俺は、聖女が奥へ行ったところで急いで【クリエイトゴーレム】で天井に穴をあけ、【ストーンパイル】で足場を持ち上げ地上へと逃げ出した。マップ機能で丁度上に建物が無いことは確認済み。脱出と同時に【クリエイトゴーレム】で穴をふさぐ。


「はっはー! 馬鹿め、通路が兵士でふさがってるなら道を開ければいいだけだ!」


 あ、サービスで人質にした兵士は地面に転がして置いておいてやろう。俺は人を騙しても嘘は吐かないことに定評があるんだ。情報を聞き出すには研究員だけいればいいし。

 あばよ聖女、と俺が調子に乗って言おうとした時。


「炎よ、弾となりて敵を穿て、【ファイアボール】!」

「おおっと」


 火の玉が俺の顔を掠めて飛んでいく。

 俺が塞いだ穴から聖女が追いかけてきた。ちっ、土で塞いだだけじゃダメか。


「よくも工房を破壊しましたね!? 一体どうやったのですか!!」

「正直に答えるわけないだろう?」


 広い場所に出たからか、聖女の武器も短剣から槍へと変わっている。

 やはり聖王国が誇る聖女。簡単に逃がしてくれそうにないな。もう少し頑張るか。


(私事ですが、ワクチン2回目打ったので褒めて。

 あとホロライブのもちどるが買えなかったの……おかころ揃えて欲しいの……通販希望っと)

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新作、コミカライズお嬢様ですわー!!
TsDDXVyH
― 新着の感想 ―
[気になる点] 収集の中に逃げ込めばよくね?手の内を見せたくない感じ?
[一言] そういえばアルカさんってスパナ先生が好きな緑髪ヒロインですね。メシマズ無双のナクラもデフォルトの緑髪ヒーラーだったらキャラかぶってましたね。
[良い点] ウザいキャラだけど嫌いじゃないので使い込みで処刑されてなくて良かった [一言] 何度も読み直してるので久々といった感じはしないですが、アルカの登場は5年ぶりくらいなんですね アルカと親分と…
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