そして報告。
(前回の話ですが、消さなくても良いんじゃないかというご意見も多数いただいたのでとりあえず残しておきます。色々ありがとうございました)
ハクさんに報告にやってきた。例によって砂浜でのお茶会なのだが、ソトも一緒だ。
本当は連れてきたくなかった。何やらかすか分からないし……今のところは大人しいけど。またハクさんのタイツを要求したりしないだろうな? だめだぞ?
「というわけで、クロマクに怪しい施設があり、その中には黒いダンジョンコアと、恐らく神具が動力源になっているかなという巨大魔道具がありました」
「……なるほど」
ハクさんに【超変身】の事は知られているので、実際にどういう魔道具かを簡単に調べる事まではできた旨を話す。
完全な解析をすることは諦めたが、中央の部屋――動力炉と思われる場所に、試しに手持ちの『神の寝具』を突っ込んでみると、魔道具が起動した。これによりあの神々しい光はほぼ間違いなく神の作った道具が入っていたと推測できる。
あわよくば、あそこに『神の下着』か『神のナイトキャップ』でもあればといったところだが……そもそも『神の寝具』以外の神具である可能性もあるか。
実際に何かを作るには色々情報も足りな過ぎたが、何を作る場所かの推察と施設の形状やらモニターで撮影した結果と併せて報告していく。このためにハクさんが遠距離モニター代を負担してくれてたわけだな。
「人造勇者、という推察は面白いですね。そして、結果としての管理されたダンジョンという存在ですか」
「ええ。光神の力だったら勇者を造れたかもしれませんが、『神の寝具』等であれば闇神の力。出来上がるのはダンジョンになるんじゃないかと」
「……人造勇者のなりそこない、となると、レオナが噛んでいる可能性も高いですね」
「はい。トイもその可能性ならあり得る、と」
ふむ、とお茶を一口飲むハクさん。
「納得のいく話です。ケーマさん、その施設についてはこちらで今後の対応を引き取りましょう。では報酬を――」
「いえ。折角なので、俺がやります。……神具も欲しいですからね、聖王国やレオナへの嫌がらせも兼ねて神具は盗んでおこうかと」
「ふむ。……まぁ、良いでしょう。であれば、ケーマさんにその施設の破壊工作も頼みます。対処に失敗したら私の方で引き継がせていただきますが、お手並み拝見と行きましょうか」
「はい。失敗したらその時は宜しくお願いします」
「できれば追加で情報を仕入れてくださいね」
「まぁ、できれば」
魔道具に『神の寝具』を入れて動かしてみた時、逆にどうすれば回収できるかも把握している。あとは、どこまで破壊できるかどうかと言ったところだろう。
聖王国でこの施設に勤めてる連中には悪いが、ここはひとつ盛大に破壊してしまおうじゃないか。うん。とりあえずあの黒いダンジョンコアを破壊してみるか。
「ちょっとケーマ、大事な話が抜けてるわよ」
「ん、なんだロクコ?」
「報酬よ報酬。姉様、この作戦が成功したら、聖王国でウチに暗殺者を送り込んでる連中の始末を頼んでもいいかしら。成功報告から1ヶ月以内に」
……! そういえば、元々暗殺者を送り込まれててそれに対応するために聖王国へナリキンたちを送り込んだんだった……娘ができたりしたもんだからすっかり忘れてたな。
「わかったわロクコちゃん。調べはついてるし、こちらできっちり片付けてあげる。ケーマさん、いいかしら?」
「……はい、ありがとうございますハクさん」
「これでゴレーヌ村に滞在してる姉様の部下を返してあげられるわね!」
「あらロクコちゃん。別にそのまま護衛戦力として村に置いといていいのよ? それに、ゴレーヌ村勤務って結構人気なのよね。温泉あるし、ご飯も美味しいし。本当は私が行きたいのだけど――」
ちらり、と執事服で後ろに立つクロウェさんを見るハクさん。
「お嬢様。お嬢様には国母や冒険者ギルドのグランドマスター等々としての仕事がございますので、長期間空けられると困ります」
「と、こういう有様でね」
「部下を引き揚げたら、また月に1度くらいお忍びで泊まるくらいは可能じゃないかしら。クロウェも優秀なんだしそのくらいの調整できるでしょ?」
「……ええ、できます。最近は派遣している分の仕事がお嬢様に回って忙しくなっていたのですが、それが帰ってくるなら問題なく。それに、ソト様のダンジョンに入ってからロクコ様に移動させていただけるのであれば大した負担にもなりませんね」
確かに、ロクコとソトが全面的に協力するなら、宿から帝都へ通勤することも全く問題なく行えるだろう。ゴレーヌ村から砂浜はロクコ達が移動させ、あとはハクさんのダンジョン機能で移動してしまえるし。
ただ、ソトのダンジョンに入る=俺の【収納】に入るということでもあるけれど。……まぁそこは無視だな。俺はタクシーの運転手、【収納】ダンジョンは車。ロクコは車ごと俺達を運ぶフェリーのようなもんだ。
「なら……まぁ、引き揚げても良いですね」
「最近姉様が宿に来てくださらなくて、少し寂しかったんですよ」
「クロウェ、急ぎ手配なさい。成功報酬を先払いするわよ」
「はっ、かしこまりました」
うん、成功報酬の先払いってもうそれただの前払いなのでは?
と思ったが、ツッコむのはやめておいた。でも失敗するわけにはいかなくなったな……
と、ここでロクコが【念話】を飛ばしてくる。
『……ケーマが委縮するから姉様を村に近づけないでおいてってクロウェに頼んでたんだけど、姉様でなくても監視が常にいる状態じゃケーマがヘタレるしやっぱり月一くらいの訪問の方が良いわよね』
『おいロクコ!? ゴレーヌ村の四天王滞在ってお前の仕込みだったの!?』
驚愕の事実である。ハクさん相手にそんなことを……その腹心の部下と……!?
『まさか暗殺者も自演とかじゃないだろうな』
『さすがにそこまではしてないわ。ケーマやレイを狙った暗殺者は本物よ』
『そうなのか』
『というか、監視が滞在するなら姉様が来なくても変わらないじゃない。クロウェめ、承りましたとか言っといて私の事もハメたのよ! ハク姉様から圧を緩めないようにとか言われてたに違いないわ!』
そう【念話】で話しながらもにこやか笑顔のロクコ。腹芸ができるようになったなぁって喜ぶべきなんだろうかこれ?
そして、だとすればクロウェさんはハクさんの要望を満たしつつロクコの要求を叶えるがどちらにも不満が出るという悪魔みたいな所業を……サキュバスだったわ。悪魔の一種だし、なんならハクさんの不満解消のために夢でロクコに会わせますよみたいな感じでお仕事捗らせてた可能性があるわ。恐るべし。
ともかく、次の目標はあの妙な施設を破壊することだ。
俺達はまたハクさんから情報料として別途報酬を受け取り、その目標に向けて作戦を練ることにした。
(今回はちょっとお知らせが多いです。4件です。活動報告にも載せてます。
●コミカライズの更新のお知らせ。
コミックガルドにて32話無料公開&33話先行公開されてます。
https://comic-gardo.com/episode/3269754496431102963
あ、若干のNTR注意?ですかね?
●グッズアイディア募集のお知らせ
OVERLAPSTOREでこの作品でこんなグッズがあったら、という意見を募集中。
9月30日まで!
https://forms.gle/H6iDTEJPpxW4kZRx8
ニクの抱き枕とか添い寝ぬいぐるみとか欲しくない? 私は欲しい。意見がたっぷり集まれば出るんじゃないかな。
●『このライトノベルがすごい!2020』の投票始まってるよのお知らせ。
だんぼるもエントリーされてます。ルールを守って投票しよう!
http://blog.konorano.jp/archives/52076461.html
●ついでに『メシマズ無双オンライン』のコミカライズも更新されてます。
https://www.123hon.com/polca/web-comic/msmz/
ついに料理してしまうって本当ですか……?
というわけで、あとがきのお知らせでした)