ネズミ達、地下通路を行く。
(すみません。前回、通信にかかるDPコストのところ忘れてたので少し修正しました。
簡単いうと、コストかかるけど今回はハクさんが経費払ってくれるから大丈夫! です。
……聖王国編が今書いてる16巻と被ってるのに話の展開全然違うもんだからね、混乱するんよ。隔週にしてるのもそれが主な理由で。ホントごめんね)
換気口から小屋の中に入る。中には床下収納のような下り階段の入り口だけがあった。
壁に武器がかかっていたりするが、テーブルやイスも見当たらない。中央になんとも露骨に下り階段のみ……というか、この小屋自体が下り階段を隠す目隠し以外の何物でもないといわんばかりだ。
「ただの地下室、って可能性もまだあるけど……これは怪しすぎるな。手すりすらないってことは普段は蓋してるのか?」
『でしょう。しかしそれであれば丁度今開いているのが不思議でもありますな』
「都合は良いが、罠も警戒したいところだ」
「あら。別に罠でもいいじゃない、何のためにネズミ使ってるのよ」
「……それもそうだな。ガンガンいこうか」
ロクコの言う通り、罠にかかったところでネズミだもんな。目立たないよう7匹だけにしたが、なんだったらおかわりを送り込めばいいだけだ。というわけでネズミ達を1列にして階段の奥へ走らせる。
階段の向こう、地下1階は白い壁の通路になっていた。……特に光源がなくても暗くないように見えるのはダンジョンの特徴の一つである。
「ダンジョン……だな? やけに整備されてはいるけど」
「そうね。実際に見ないと確実には言えないけど」
ダンジョンブッ殺主義の聖王国でダンジョンがある、これだけでも結構なスキャンダルなのではなかろうか。それも小屋で隠されているとか。
『完全に管理されているなら別、ということでは?』
「隠してるってことは後ろめたいんだろう」
じゃなきゃ小屋で囲うように隠さない。それこそ観光名所のようにして練習用ダンジョンとでもして公開すればいいだろう。
……それはそれでダンジョンブッ殺主義を揺るがす存在になるかな?
『このまま奥へと進めていきますぞ』
「ああ。……どこまで続いてるんだ、この通路?」
「マップも一緒に開いてもらえるかしら、ロクファ」
『はい、かしこまりました』
地下通路としてはダンジョンは優秀だ。地面のすぐ下を通しても崩落の心配は殆どない。壊れてもすぐ修正できる。
ロクファが開いたマップを見ると、クロマクの中央の方へと向かっていた。
「……露骨に中央に向かってるけど、ここは何があるんだ? マップだと良く分からないが」
『失礼ケーマ様。私がお答えしましょう。……光神教教会区画です』
トイがにこっと割り込んできた。
クロマクの町にあって、黒布がかけられた建物の無い特別な場所。宗教的な区画。
『この地図の通りに進むとなると、さらにその中心。教会本部の下に行きそうですが――おっと、分かれ道のようです。どうしますか?』
一旦止まり、直進通路に直角の横道が伸びているのを確認する。
横道は牢の出入り口のような鉄格子の扉で仕切られており、人間は鍵を持っていなければ通れなさそうだが――まぁネズミには好都合、素通りだった。
「2手に分かれよう。ハーメルン5以降は直進。残りは横道だ」
『はっ。ロクファ、ハーメルン5以降を頼む』
『ええ、了解しました』
7体のうち3体を直進させ、残りは横道を調べていくことにする。
……こちらも石張りの床に白い壁が続いている。モニターに映る直進された方もだ。
「下手な建物より整備されてるわね。ダンジョンっていうなら、これは聖王国の誰かがダンジョンマスターになってるに違いないわ」
「そうだな。管理されてるってことはそういうことだろう」
ハクさんが裏切り者とか言われてるけど、聖王国に味方してる奴の方も裏切り者だよな? と思う俺。
「ケーマ、何かあるわよ」
「おっ、部屋だな」
ダンジョンらしい扉の付いていない小部屋。覗くと、そこには黒いダンジョンコアがあった。
「うわっ、なにこれキモ」
ロクコが不快そうに漏らす。
本来のダンジョンコアは白く光るバスケットボール大の球である。それが、このダンジョンコアはなにか黒く、しかも何本ものケーブルのようなものが繋がれていた。天井や壁、そして手前にある石板等と繋がっている。石板は特に何か彫られているわけでもなく板なんだが……なんだこれ。
「……ロクコ、これってダンジョンコア、でいいのか?」
「うーん、まぁ、そう、みたい、なんだけど……すごく気持ち悪いわ。なにこれ」
モニターに映るコレが、ダンジョンコアであるとハッキリ言いきれない程に違和感と嫌悪感を感じているらしい。
「にしても、こんな何でもない通路、それも一番最初に見つけたところにコアがあるなんて……どういうことだ? ダミーコアか?」
「ううーん、上手く言えないんだけど、そうじゃなさそうな感じ」
……ダンジョンコア本人が言うなら、違うんだろうか。本体のコアが、こんな入口に近く何の障害も無い場所でこんなことになっているって? 色々おかしいな。
『マスター。ハーメルン5以降、通路の反対側に到着しました。地下室のようです。上り階段があります』
ロクファの方は地下を進んで、教会の地下へと到着したらしい。マップで見ると教会の地下。……地下通路で区画の外と繋がっているのか。避難経路か何かか?
「とりあえずマップに印をつけておけ。別途地上からも確認できればいいけど、教会に入り込むのは難しそうかな? 一般人でも入れるんだったらいいんだが」
『了解しました。……ここで行き止まりのようです。これ以上は扉がついていて進めません』
教会の地下の上り階段の先は、鉄格子の扉と普通の木扉があった。ネズミでは木扉が開けられないな。
「ハーメルン7を置いて残りは俺達に合流してくれ。7は、その扉が誰かに開けられたら通り抜けてみるか。それまで身を潜めさせておけ」
『はっ、了解しましたマスター』
ロクファに指示を出し、2匹のネズミをこちらに合流させる。……現状は直線通路1本に横道、そして部屋が一つだけだが、順調にマップが埋まっている。引き続きこの謎のダンジョンを調べて行こう。
(ダンボる15巻がノミネートされた
『第22回好きラノ』2021年上期、投票開始されてました!
https://lightnovel.jp/best/2021_01-06/tw/?q=%E7%B5%B6%E5%AF%BE%E3%81%AB%E5%83%8D%E3%81%8D%E3%81%9F%E3%81%8F%E3%81%AA%E3%81%84
投票〆切は7月24日(土)。アニメ化したいので応援よろしくお願いします!
同じ作品への重複投票は集計されませんので、投票は1回のみですよ!
あ、10作まで投票できます。他作品に投票する場合はまた別途検索して投票してください、弟子のジェノサイド・オンライン3巻もノミネートされてたりします)