聖王国のお土産(直輸入)
(ちょっと面白そうなWebマンガに気を取られて遅れました!)
ナーナに気付かれないようにネルネへのお土産用アクセサリーを一通り買っておいた。
展示品を全部買っても金貨1枚しなかったからお買い得だね!……うん、金使い荒くなっちゃうな、気を付けよう。
また【超変身】で魔道具に変身して調査してもらうという手もないわけではないが、あれは俺の身体をいじくられることになるのであまりやりたくない。
金がないわけでもないし。そういう性癖があったら別だっただろうけど。
【収納】からのソト運輸でお手元に最速お届け、送料は靴下。
で、そうして手元に来たアクセサリーを早速ネルネに見せてみた。
「魔道具としてはー、あまり強くない性能のものばかりですねー。あくまで実用にも使えるアクセサリー、って感じでしょうかー」
「アクセサリーとしての価値の方が強いってことか」
帝国では身に着けていても魔道具ってバレにくいって利点もありそうだ。一応魔石も見せてるから分かる人には分かるだろうけど。
「これも気休め程度の爆発が起きる感じでしょうしー、こっちの水魔石のネックレスもしゃぶれば喉を湿らせるくらいでしょうかー。……まぁー、無いよりは全然いいかとは思いますがー」
「へぇ。砂漠とかだと神アイテムだな、このネックレス。ティアードロップ型でいかにも水っぽいのもいい感じだし」
「えー? 魔法でも水は出せますよー。まー、多少の節約にはなるかとー? どちらかといえば聖王国らしくダンジョン向けかとー」
ダンジョン攻略なら水を持ち込むより軽装で、普通に魔法を使うより節約になるか。
「この風魔石のイヤーカフと指輪は【エアボイス】の再現でしたかー? もっといい魔石を使えば効果範囲伸びますよー……ああ、なるほどー。魔石への刻印を魔道具に接する裏側のみにすることで表側は宝石のように磨いても問題ないようにしてるんですねー。……んんー?」
「どうしたネルネ?」
「いやー、これだと指輪に話しかけたら効果範囲内のイヤーカフ全部に声が届くことになるんじゃないかとー……? 自分以外、って指定なんですよー」
「パーティー全員での使用を前提にしてるのかもな」
「ああ、なるほどー!」
ファミレスとかで使う連絡用のインカムに使えそうだな。……キヌエさんに渡して食堂で使ってもらうのもいいかもしれない。風属性で緑色なのも丁度いい。
「この火魔石のイヤリングはロクコ様へのお土産なんですねー」
「ああ。ロクファでも買ってたけど、ロクコにも似合うと思ってな」
「とてもよろしいかとー。爆発物ではありますがー、色々と保険がかけられているようですしー。喜ばれると思いますよー」
火薬と違って、爆発に際して色々と条件を指定できる魔道具ならではの安全措置があるとか。どうやら叩き壊されたりしても暴発したりはしないらしい。そりゃ、戦闘中に壊されて顔が抉れましたなんて事になったら大変だもんな。
「そうだ、他の連中にもやるとして、ネルネもひとつどうだ? この黄色い石の腕輪とか似合いそうだぞ?」
「これは地属性のー……ははぁ、目つぶし用の砂を出せる防犯用具ですかー、面白いですねー」
護身用としては中々便利そうだ。
「レイには何が良いでしょうねー? 折角だからマスターの見立てで選んでくださいなー」
「ん? この中から選んでもらう方がいいんじゃないか?」
「マスターが選んでくれたーって方が喜びますよー」
ふむ、そういうもんか。ダンジョンモンスターの性質だとしたら同じくダンジョンモンスターであるネルネの言う通りだろうし。
「ネルネと同じ腕輪……いや、レイがつかったら目つぶしにならなそうだな」
「攻撃力0ですからねー、目に入ってごろごろした違和感はあるかもですが痛みは皆無ー、みたいなー?」
「それはそれですごい、なんかこう、あれだな? 気持ち悪くなりそうだ」
同じく火属性のイヤリングもレイでは体を強めに押される程度の爆発になるか。
俺が作ったレイ専用のゴーレムクロスボウならゴーレムに命令を下して撃たせるという作りにすることで攻撃力0の特性を回避できるが、魔道具に魔力を入れて発動させるとなるとレイが直接攻撃しているようなものだし。
「生活に便利そうなアイテムの方がよさそうだな」
「ならばー、このおしゃぶりネックレスにしますかー?」
「おしゃぶりて。……聖印と合わせて首に下げるのは少し邪魔かな?」
他によさそうなものは……
「マスター、こちらのペンダントはどうですかー? 光りますよー」
「【ライト】代わりか。自分から輝くペンダント……吸血鬼に?」
「夜目が利きますから不要説ありますねー」
なんかLEDを仕込んだ玩具みたいだな、と思ったがネルネには通じなさそうなので言わないでおいた。えーっと、そうなると……
「闇属性のはどうだろ。このピアスはどんな効果だって言ってたっけかな」
「ピアスですかー? マスターが穴をあけてあげてくださいねー?」
「やめとくか」
人のピアス穴をあけるとかなんか怖いし。ちなみに効果は自分に対する薄い目隠しで、サングラスのような効果が得られるといったものだった。……アイマスクには丁度よかったか?
いや、そもそも寝るときにはアクセサリー外すか。
「この腕輪なんてどうだ? 風属性でキヌエさんのと被るけど」
「そよ風の出るものですかー、焚き付けに使えそうですねぇー」
「暑い時に自分に向かって風吹かせるのも良いと思うんだ」
「ほほうー、いいのではー?」
携帯扇風機みたいで便利そうだ。ダンジョンで出せるようにしたら案外流行るかもしれない。
「でー、次はニク先輩とイチカ先輩の分ですねー? あ、ソト様の分も要りますかー」
「……え、全部選ばなきゃダメ?」
「仲間外れはよくないかとー? でもー、適当に選んでもいいと思いますよー」
「……ちゃんと選ぶよ、うん」
結局、レイの他にも魔道具アクセサリーを選ぶことになった。
(25日、15巻発売! もう並んでるところもあります。
書き下ろし率はもういつもの通りですし、あとがきも見どころですよ!)