果樹園の調査
(新年あけましておめでとうございます。
……明日から仕事初めの人、がんばってください。私もです。(´・ω・`))
うーん。金の力ってほんとすげー。
「ほう、これが防虫・防鳥の魔道具。これひとつで果樹園をカバーできるのか」
「ええ。そういう形で調整しています。勿論、これは人の手によって作り出された魔道具ですからね、優秀ですよ」
と、俺とロクファは果樹園の中央、魔道具管理室まで案内してもらっていた。
……いやぁ、うん。金があれば何でもできるって気になるわ確かに。金が万能手形すぎる。なんか農夫統括とかいう役職の人に銀貨5枚渡したら普通に見学許可貰えちゃったし。
これは聖王国が隙だらけなのか、それとも人間の欲によるものなのか……まぁいいか。
ちなみに魔力視で見てもここ、あるいはこの付近がダンジョンかどうかは良く分からない。おそらくこの防虫・防鳥の魔道具の効果範囲になっているのが影響しているのだと思われる。
「こちらが、特定範囲の気温を一定に保つ魔道具です」
「……ほう」
そしてあったよビニールハウス――と同じような効果を持つ魔道具が!
いやうん。まぁビニールハウスってやってることわりと単純だもんね。高級品とはいえガラスだってある世界なんだし、季節でない果物を作ることも不可能ではなかったわけだ。
もしかして本当にここはただの果樹園で、今回の事は勘違い、そして金の無駄遣いだったのか?
なんて、そんな風に思ったりもしたけれども――
「それで、お客様は何をどのくらい仕入れたいと?」
「うむ。そうだなぁ、おい、どれをどのくらい欲しい?」
と、応接室のテーブルについたところでロクファに念話で指示を飛ばす。
「メロンを500個! 私、吐くほどにメロンを食べたいわ旦那様。買ってくださる?」
「だそうだ。後ほど商業ギルドを通して注文させてもらうが、すぐに500個用意できるか?」
「……ええ、と、メロンは現在旬ではないのでお高くなりますし、その量ともなるとさすがに……」
「金貨何枚だ? 20枚程で足りるか? 足りないなら言え」
「!!……しょ、少々お待ちください。えー、ああ、はい。まぁ、なんとか用意できるんじゃぁないでしょうかね。ええ、ええ」
――見せてもらった温室メロン畑では明らかに足りない量を注文してみたが、用意出来るらしい。へーぇ。
……2千万円分のメロンとか正直食べきれる気もしないし無駄遣い過ぎる気がしてならない。
「お値段については商業ギルドで確認していただくことになりますが、金貨15枚程で十分足りるでしょう、ええ、ええ」
「だそうだ。よかったなロクファ」
「やったぁ! ありがとう旦那様!」
と、ロクファがナリキンの頬にキスをする。そこまで指示してないよ!?
「あら旦那様ったら顔真っ赤」
「お、おい、ハハハ。うむ……ま、まぁなんだ。喜んでもらえて何よりだ。な!」
「ええ、まったくで。いやはや、さすが二級市民様でいらっしゃる。奥様のためにとは、金の使いどころというのをご存じだ」
露骨なリップサービスだが、大口注文の顧客となればまぁそんなもんだろう。
「では手配を頼む」
「流石に量が量なので、注文を頂いてから収穫となりますが……」
「ならばここで注文と支払いを済ませてしまいたいな。注文を代行してくれないか? 妻のためにも、できるだけ早く受け取りたいしな」
「ははは、構いませんよ。確実に払っていただけるのであればすぐにでも手配しましょう」
「……一応聞くが、ちゃんと食えるものを用意してくれるんだろうな? ゴミを売られても困るぞ」
「その点はご安心を。うちの果樹園の設備を見たでしょう? 要望に適う最高のメロンをお届けしますよ」
もちろんこのやり取りの間に銀貨をチップとして渡している。ナリキンの名前に恥じることない豪快な金の使い方。札束に火をつけて『どうだい明るくなったろう』の勢いだ。
「そうだな。では、すぐに持って帰れるなら、金貨1枚をチップにしようじゃないか。何か問題はあるか?」
金貨16枚をテーブルに置く。いやー金をばらまいてる感半端ない。毒を食らわば皿までの勢いでここまで使っちゃってるけど、小市民としては胃が痛くなる。
あー、もう。というか、なんで俺こんなに金使ってるんだっけ……? これでハズレだったら本当に目も当てられないぞ。
「……ええ、多少前後しますが、ギルドとの契約を鑑みても全く問題ないでしょう! 今すぐ、総出で手配いたします!!」
……あー、用意できちゃうんだー、今日。500個も。最高のメロンとやらを。へぇー。
さっき見たときはせいぜい5個くらいしか売り物になりそうなメロン生ってなかったのになー。へぇぇー。
ロクファがそっとマップを表示すると、農夫が一か所に集まっているのが分かった。
……さっきのメロン畑と違うよな。うん、こりゃここに『何か』があることは確定だろう。そう、例えばDPを使えばいくらでもメロンを作ることができる、ダンジョンのような何かが。
これはハクさんに情報を売れば金貨16枚の元も取れるんじゃないかな? まぁ、元がとれなくても別にいいんだけど。金には困ってないし。
「ところであなた、500個もメロン買っちゃってどうするの? メロンパンいっぱい作れそうだけど」
と、ここでロクファが俺にいちゃつくふりをして聞いてきた。
「……メロンパンは別にメロン入ってないぞ」
「えっ。メロン果汁とか入ってないの?」
そりゃ、入ってるのもあるけどもさ。……メロンソーダなら使ってるし、ハクさんに送り付けるべきだろうか? むしろこっちの方がつぎ込んだ分のお金が戻ってくる気がする。
「食べるにしても大変よね。みんなに配ろうかしら」
「そうだな。ま、【収納】を使えば保存も利く。十分持って帰れるだろうし――」
……っと。あまり余計なことは言わない方が良いか。今は人がいないとはいえ、どこに目や耳があるか分らないからな。
壁に耳あり障子に目ありとは日本のことわざだが、もしここがダンジョンだとしたらモニター機能で監視し放題だからな。俺だったらそうする。
「とりあえず食べきれない分は、【収納】を使える冒険者に依頼して家に送っておけばいいだろう。使用人達が食べるさ」
「使用人、あ、うん。そうね。それがいいわ。ウチにはよく食べる子もたくさんいるしね。お隣さんとかも」
「ああ。そっちに土産として渡すのもいいな」
使用人、まぁイチカ達の事だけど。ロクコも俺の言い回しをちゃんと理解してくれたようだ。
ソトのダンジョンを使えば輸送も保管も可能だしな。場所が足りないならDPで部屋増やしてもいい。ほんとチート性能だよソトの【収納】ダンジョンは。
(ダンぼる14巻もノミネートされてる『好きラノ』2020年下期の投票が始まりました。
投票〆切は1/10(日)24時だそうな。
とのことなので、ツイッター投票用のページのURL貼っときますね(ダンぼる検索済み)
https://lightnovel.jp/best/tw/?q=%E9%AC%BC%E5%BD%B1
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……打倒このすば!())





































