閑話:シルキーズの乱
(シルキーズにお土産ないのかというコメントへの回答回です)
「メイド長ばっかりずるいぞー!」
「「ずるいぞー!」」
「我々にもお土産をー!」
「「おみやげをー!」」
「すとらいきだー!」
「「だー!」」
というわけで、シルキーズがストライキを起こした。
遊戯室にゴレーヌ村の村民たちと共に立て籠もりを敢行したのだ。ゴレーヌ村初の立て籠もり事件である!
……いやまぁ、ストライキと言いつつしっかり今日の分の掃除仕事は片付いてるからいいんだけど。
「ケーマ、それストライキって言葉で合ってるの? 私の【日本語】スキルだとよくわからないんだけど」
「いやまぁ……辞書引いてみないと俺にも分からん。違う気もする」
というかどこでストライキなんて言葉を覚えてきたのだろうか。俺はてっきりロクコが教えたのかと思ったんだけども。
まぁいいか。遊戯室は遊ぶ部屋だから、あれも遊びのひとつという事で。
ウチの村人たちはみんなノリがいいからな、シルキーズに付き合って遊んでるだけだろうこれ。
「ロクコ、何かお土産残ってる? というかシルキーズにはあげなかったのか?」
「幹部未満にまでお土産あげてたらキリがないからあげてないわ。ネルネ以外の幹部連中のはイチカとニクに用意させたけど」
……まぁうん、それなら仕方ない?
いや元はと言えばお土産を買い忘れてた俺も悪いんだが。
「というか、なんで村民まで巻き込んでるんだ?」
「お土産欲しかったんじゃないの、村民も」
なるほど、確かにキリがない。ロクコの言い分も分かるな。
「故郷の親が嘆いてるぞとでも言ったらいいんだろうか」
「シルキーズの親って私達になるのかしら」
「それだと親ならお土産くらい買ってこいとか言いそうだなぁ」
実際、シルキーズは宿で活躍してくれてるわけだしお土産あってもよかったかもしれん。抜かった。
「ご主人様! ここはウチらにまかせてぇな!」
「部下の不始末の責任は私がとります。お任せを」
と、イチカとキヌエさんが名乗りを上げた。
「というわけでご主人様、例の小麦粉を出してほしいんやけど」
「ん?」
「ほら、ウドンの。ご主人様、たくさん買ってたやろ」
いやいやそんな事実はない。イチカじゃあるまいし――と、ここで気付いた。
そう、キヌエさんならウドンを作れるのだ。
そしてうどん粉はこっそりDPで交換可能なので、それをあたかもあらかじめ買っていたお土産のように出してキヌエさんに調理してもらおう、と、そういう企みのようだ。
「ああ、買うだけ買ってたんだよな。ちょっと待ってろ、倉庫に置いてあるんだ」
「了解や。聞いたかお前らー! 今ご主人様のお土産の小麦粉で、キヌエがウドンっちゅー魔国料理をたーっぷり作ってくれるからなァ!」
と、立て籠もっている遊戯室に向かって叫んで伝えるイチカ。頷くキヌエ。
俺は倉庫へ行き、DPでうどん粉を交換。これの中身をこの世界の小麦粉用の袋に詰め替えて……詰め替えた袋を改めて【収納】に入れて……っと。
……面倒なことをしてるなぁ俺。もうキヌエさんにこっそり渡して作ってもらいましただけで良いんじゃないかコレ。……まぁいいか、客にキッチン覗かれても安心だということで。
「持ってきたぞー。キヌエさん、料理頼む」
「はい。レシピはイチカ教官から頂いておりますので、すぐ作ってき――ました」
俺が小麦粉を渡すと、キヌエさんは一瞬のうちにウドンを完成させてきた。
【料理人】スキル。
料理する間、自分以外の時間を止め、客にできたてを即座に提供するというロクコが以前ガチャで出したスキルの効果だ。
時間停止系なのでとても強力なように思えるのだが、時間を止めている間は料理以外のことはできないという制約がある。
……魔国レシピならトレーニングも兼ねたものになるんだろうか? 生地をサンドバッグにして殴ってこねるんだよね確か。
「とりあえず皆さんに行きわたるであろう量のウドン玉、それとウドンを用意しました。ハンナ、ナコル、ピオ。出てきなさい」
「「「はーい! メイド長!」」」
あっさりと立て籠もりは解除され、シルキーズの3人は飛び出してきた。
「これがウドン! 不思議な食感で美味しい! スパゲッティに似てるけどもっともちもちしてるわ!」
「オウドン! オウドンよハンナ! くにゅっとした噛み応えがあって気持ちいいわね」
「オウドンとオフトン……よく似ている。温かいという共通点もある……」
そして、うどんを食べるシルキーズを見て、続いて立て籠もりに付き合っていた村人もぞろぞろ出てきた。
「村長! 俺達は信じてたよ!」
「ああ、村長は俺達にもお土産をくれるってな……!」
「というわけで一杯ください」
と、キヌエさんが作ったウドンを求めて手を伸ばす村人たち。だがここでイチカがニコリと笑って立ちふさがった。
「おう村人共。貴様らは有料やで?」
「なん……だと……?」
「お土産が有料とか……まぁ妥当だよね」
「そうだな。魔国とか普通に生きてて行かねぇもんな。金払ってでもお土産貰えるならいいや。というわけで一杯ください」
「はいまいどまいど、今日は特別価格や。1杯銅貨10枚なー」
そしてイチカは銅貨10枚(日本円にして約1000円)で素うどんを売り始めた。
ちなみに魔国では1杯銅貨2枚で売っていたような代物だ。これはさすがにボッタクリ価格すぎるだろう。
そう思って止めようとしたところ、
「まぁそんぐらいだろ」
「だよね、ツィーアでは作ってない貴重な小麦粉なんだろ?」
「よーし魔国料理食べたって他の連中に自慢したいから早く売ってくれ!」
「はいはい慌てんなや、ちゃーんと皆の分あるからなー」
村民たちは全く腹を立てたりもせず、問題なく売れた。
……魔国料理、というのは俺が思っている以上に付加価値が高いようだ。
「ねぇケーマ。食堂でウドン出すのもアリじゃないかしら」
「あー……そうだな。これを見てると1杯銅貨15枚くらいでもそこそこ売れそうだ」
「なぁご主人様ー、これウチの取り分にしてエエかなぁ!?」
ロクコとちょっと相談していると、イチカがそう言って売り上げの入った袋を持ち上げて見せてくる。
……まぁ、今更銅貨数十枚もはした金だし、許可しておこう。
「キヌエさんと山分けにしろよ」
「うっひょう! 言ってみるもんやな! ご主人様愛してるぅ!」
そう言ってウドン売りに戻るイチカ。やれやれ、とため息をつくと、俺の袖をロクコが小さく引っ張った。
「ん? どうしたロクコ」
「……私の方が愛してるからね?」
そういう不意打ちは止めてくれ。キュンキュンする。
こうして無事、ゴレーヌ村初の立て籠もり事件は解決した。
……そもそも事件になってないか。うん。
(うどんを作るたびにキヌエさんのマッスルが鍛えられる……?
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