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絶対に働きたくないダンジョンマスターが惰眠をむさぼるまで【コミカライズ12巻 発売中!】  作者: 鬼影スパナ
留学という名のなにか

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本戦大会(3)


 さて、そんなこんなでベスト4が決まった。

 まずは俺。帝国留学生枠の勝ち残り、ケーマ・ゴレーヌ。


「帝国からの刺客、ケーマ・ゴレーヌ! 予選から一貫した堂々たる戦い方で、安定した戦いを見せています! 近接が不利な魔法職がこの戦いでここまで勝ち残るとは、私も驚きが隠せません! その強さはここまでの戦いをご覧になっている皆さまならお判りでしょうが、いままで開始位置から一歩も動かずに勝利を収めていると言えば伝わりますでしょうか!? その底知らずの魔力、一体どこまで突き抜けるのか!」


 次に同じく帝国枠の本戦シードから、ワタル・ニシミ。


「数々の異名を持つ、帝国が誇る勇者ワタル! 相手の戦いをすべて引き出し、その上で上回るという圧倒的余裕、圧倒的強さを見せつけてくれています! 相対する敵に合わせて戦法を変える、万能剣士! 果たして決勝ではどのような闘いを見せてくれるのでしょう!? 勇者の力はこれほどのものか! これでこそ我らが宿敵、勇者ワタル! 勇者の剣は、この魔国をどこまで切り裂くのか!」


 そして、安定のセバス。


「人間牧場5の52番! 普段は魔族のお嬢様にお仕えする血塗れ執事だ! だがその血は全てが返り血! 今予選大会では片腕を縛っての戦いを行っていましたが、本戦ではその戒めが解かれ暴れまくりました! 戦法は速攻魔王流! 斬り裂け! 貫け! ぶっ殺せ! サキュバスの魅了すら睨み返して跳ねのける! さぁさぁ帝国の連中にデカい面させるんじゃねぇぞ! はい、応援してます! 頼むぞ人間牧場5の52番!」


 最後に、アスラ。


「ギガングリード地区、6つ腕のアーチャー兼剣士、アスラ! ハーフジャイアントの巨体にして、4腕で2つの弓矢を同時に放ち、2腕で剣と盾を操る実質3人という驚異の戦士! しかし先の戦いでは弓矢を捨て、4剣2盾を駆使する四刀流にスイッチ! 魔王流を駆使する名無しの剣士を見事うち破りました! その変幻自在の戦法と怪力であらゆるものを薙ぎ払え! あとやっぱり帝国の連中に優勝もってかせるんじゃねぇぞ! 頼むぞアスラ!」


 ……うん。

 564番負けてんじゃねぇよ! 全員身内でもう楽勝! とか思ってたけど、まさかの敗退だよ! くそう、交渉損……! 二足歩行で6つの腕を持つアラクノイドという種族の母と、成人は平均5mくらいというジャイアントの父を持つ、ジャイアントアラクノイド。身長3mで6腕を持つ、両親の良いとこを受け継いでいるこのアスラさん。

 そしてそのアスラさんに普通に負けた564番コア。


「いやぁニンゲン。あの6つ腕は中々手強いぞ、精々気を付けるがいい」

「で、なんでお前はここに居るんだ? 負けたんならさっさと帰れよ」

「む、俺様は貴様のセコンドであるぞ? 俺様がついたからには優勝間違いなしだ!」


 ……そして負けたくせに俺のセコンドだと言って残った564番コア。

 つかなくていいから。お前自分が優勝するって言っときながら負けたくせに……もう信じない。いや、最初から優勝までは信じてなかったけどさ。

 というかニクの方が休憩時に愛でることができる分よっぽどいいのに、なんでニクは貴賓室の方に送られてしまったのか。そしてなぜ564番コアの言い分が通ってしまったのか、それが分からな……え、ニクに564番コアが勝ったから? 勝った方の言い分を尊重するのが当然? 文化だねぇ。


「……こうなったら普通に戦いで準優勝を狙うしかないな。えーっと、ワタルが他2人に勝つとして、セバスはアスラ選手に勝てるかどうか……」

「ふっ、あの小僧が俺様に勝つ程の実力者に勝てるはずがなかろう?」

「そうか。564番が言うなら勝つんだろうな。ありがとう参考になったよ」

「はっはっは! そうだろう、礼には及ばぬ――ぬ?」


 というわけで、俺以外のところではワタル2勝、セバス1勝、アスラ0勝、となるところ。ここで、俺は俺以外の誰かを優勝させつつ準優勝に納まるには――


「……ワタル以外に勝てばいいのかな」


 というわけで、俺の方針は決まった。

 というか、これなら仮にワタルが他2人に敗北しても2勝だから優勝は優勝決定戦に持ち込めるのでそこで敗北すればいい。まぁ、ワタルが全勝なら他2人のどっちが一勝一敗だろうと変わらない。

 警戒すべきはワタルが他2人と引き分けになるケース。ワタルが1勝2分け、他が1勝1分けか0勝1分け、そして俺が2勝で優勝してしまう可能性がある。


「なぁ564番。この場合はどうなる?」

「うむ。決勝が4人総当たりというのは珍しい事態だが、まぁ2勝の者が優勝となろう。……というかお主、自分が絶対に勝てるという前提で話をしておらぬか? 相手は俺様に勝った6つ腕であるぞ?」

「あー、まぁ、防具が優秀だからな」


 まぁそうなった場合は仕方がない。交渉でどうにか賞品を交換してもらえないか頑張ってみよう。……あ、いや、力づくで交換を成立させればいいのかな? 魔国だし。564番がニクを封殺したように。

 そんなこんなで、何故かセコンドとして564番が俺の側に控えつつ、しかし誰も文句を言わないという状況で4人総当たりの決勝が始まった。


「いいか! 俺様がついてるからには優勝させてやる!」

「いや俺がしたいのは準優勝なんだが」

「ガハハハ! 遠慮するな、勝ちたくない訳があるまい!」

「俺『神のパジャマ』が欲しいって言ったよね?」

「優勝した後、準優勝したやつから強奪(もら)えばよかろう?」


 うーん、文化。でもワタル戦では初手降参するからね。



  *


「降参する!」

「……認めましょう」


 ワタル戦、初手で俺は降参を宣言した。会場からのブーイングは激しいが、知ったことか。俺は準優勝がいいんだ。


 で、そのまま次の俺VSセバスの戦いになったわけだが、


「……降参だ」

「えっ? あ、うん。わかった」


 セバスが一撃だけ俺に攻撃した時点で、セバスは降参を宣言した。2連続の即降参には、会場のブーイングが鳴りやまない。「ちゃんと戦えー!」とかもっともだとは思う。決勝でこんな戦いを見せられたら誰だってそう思うはずだ。


「ブーイング半端ないんだが……」

「お前が先にやったことだろう? 俺は気にしないから問題ない。お嬢の言いつけでお前には負けて良いことになっている。どうせ勝てないなら力を温存するのは当然だしな」

「まぁ……そうだな?」


 そして次はアスラVSセバスなので一旦控室に戻る。本来は回復魔法で回復してもらうところなのだが、俺は無傷。回復係の人も苦笑いを浮かべていた。

 あと564番が「フン、まぁ1勝1敗ならまだ取り返せる。次は勝てよ」とか適当な事を言っていたが聞き流しておく。もはやこいつの言葉は聞く価値がないのでは? 何でいるの? 暇なの? 帰れよ。



 で、セバスVSアスラだったが――これはセバスが勝った。

 結構ギリギリの戦いだったので、セバスの温存策は正解だったと言えよう。接戦で時間もたっぷりかかったので、今度こそ観客は満足する内容だっただろう。

 俺もしっかり休んだ(休憩が必要だったかと言われるとアレだけど)ところで、次の試合は俺の番なので再び会場入りする。

 564番は視界に入れないでおいたので知らん。


 サクサクと次、俺VSアスラ。改めて闘技場入りすると、回復魔法ですっかり回復したアスラ選手が仁王立ちで待ち構えていた。直前のセバスとの戦いの傷は、しっかり癒されているようだ。

 ……改めて対峙すると凄い威圧感である。


 がッ! ダメッ! アスラ選手がいくら俺に攻撃しても『神の毛布』はそれを完全無効化! さすがは神製品、地上の民の攻撃などそうそう効きやしないということか。掴もうとしてきたが何故かすっぽ抜ける。それが『神の毛布』……ッ! そしてこの決勝では場外もないッ!


 俺は手も足も出せないアスラ選手に、【エレメンタルショット】を乱射して、危なげなく2勝目を得た。

 さて、これで後はワタルがセバスとアスラに勝って優勝すれば、俺は準優勝である――



 ――が、次のセバスVSワタル戦において。


「降参です」

「……は?」


 ワタルは笑みを浮かべてセバスに降参を告げたのだった。



(564番なんで出てきたの? という疑問に私も首を傾げざるを得ないのですが、ニクの564番のブロックはパラメータを加味した上でダイスを振って勝敗を決めたため、実はニクが決勝に出る可能性もあったりしてました)

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