予選大会開始
(書籍化作業がひと段落したと思ったが、まだ残っていた。な、何を言っているのか(ry))
武闘大会、予選大会当日。いよいよこの日がやってきた。
俺達はその舞台となる闘技場へやってきていた。俺達が練習で使っていた闘技場の4倍以上の広さがある。小学校の運動場と陸上競技場くらいの違い、といったところか。
「それにしてもすごい人だな」
「数年に一度のお祭りだもの」
魔族の大会は毎年行われるものの、こちらは4年に1度。そりゃ盛り上がらない訳がなかった。大通りには屋台がずらっと並び、リザードマンやらハーピー等のモンスターに近い(実際モンスターかもしれない)人々も各々祭りを楽しんでいた。……うお、デカいカブト虫が二足歩行してる。え、あれ虫人族? へぇー……
「これで予選よ。本戦は、ここで勝ち上がったら首都で行われるわ」
「ワタルも出るのよね?」
「そうよロクコ。あの勇者については予選免除されてるわ。戦うなら本戦になるわね。是非勝ちあがって私達の大会に参加してほしい所だけれど」
尚、同じ場所(帝国枠)からの出場に当たるため、俺とニク、そして参加するというワタルは最大限当たりにくい組み合わせになっている。
予選でも別ブロックで、全勝しても俺とニクは当たらない。ワタルと戦うことになるとしても、本戦で、決勝か準決勝あたりになるだろうとのことであった。
「ん? そうなるとセバスは本戦で俺と当たってもワタルと当たっても優勝できなくなるよな。上位大会には参加できないんじゃないか?」
「そこで負けたら私のマスター枠で上位大会に参加ね。色々と情けないけれど、相手が勇者なら仕方ないとでも慰めてあげましょうか」
「生憎だがお嬢様。反則野郎はさておき、俺はぬるま湯に浸かっているような甘ちゃん勇者に負ける気はさらさらないのだが?」
「あらマスター。勇者ワタルは武闘派で有名よ?」
「ワタルはニクより強いのに、ニクに負けつつあるセバスが勝てるのかしら?」
アイディとロクコの口撃に対し、反撃の糸口が見つからないセバス。あわれ。
……というか、ワタルって武闘派なんだ。へらっとした笑顔しか思い出せないんだが。
「にやけ面の悪夢とか、笑顔の殺戮者なんて呼ばれてるわね」
「何その二つ名。戦場でも笑ってるのか、逆に怖いな」
「異世界人、勇者にはよくあるのだけれど……勇者ワタルは格が違うわ。命を命と思わないで遊んでいるお子様とは違い、きちんと理解した上で殺戮するのだから」
「……その上で笑顔なのは本気で怖いな」
そういえばワタルが「僕はもう日本には帰れないですよ」と寂しそうに言っていた事を思い出す。……うん、ネルネにもうちょっとワタルに優しくしてあげるよう口添えしてもいいかもな。
「ケーマ、とりあえずサクッと勝ってね」
「あー、うん」
俺はロクコに激励されつつ、闘技場に入った。
*
そして、予選大会が始まった。開会式をさらりと流し、早速バトルである。
俺はマントのように『神の毛布』を巻き、入場する。
『神の毛布』はある程度見た目を好きに変えられるようなので、一見ただの厚い布に見えるようにしてもらっているが……まぁ、毛布である。
とりあえず、予選大会では何回戦って何回勝てばいいんだろうか。……トーナメントならそんなに多くなくていいよな? と思いつつ、アイディに聞いても「とりあえず目の前にいる敵を倒せば良いだけでしょう?」と笑顔で言われるのみで答えてくれなかった。
……『神の毛布』使ってるからハンデということにしておこうか。
ともかく、1対1で戦うようだ。闘技場は4分割されており、一度に4試合が行われていた。
「ふっ、来たか。……なんだ、弱そうなヤツだな、この俺の剣と牙でズタズタに切り裂いてくれる」
「あー、よろしく? でも人を見かけで判断するのは止めた方が良いぞ?」
最初の相手は、ピンク色の鱗を持ったサハギンだった。自前の魚鱗に加えてしっかり金属の防具を装備している防御力の高そうなヤツだ。武器は自身で言った通り剣と、そのピラニアみたいな牙らしい。
試合開始。
と同時に、俺は【エレメンタルショット】を放つ。まずは牽制――
「ぐふっ!?」
「えっ、当たるの?」
「ま、参った……」
「えっ、もう降参するの?」
――バカな。まだ膝を抉っただけなのに。セバスなら嬉々として斬りかかってくるしそもそも初見の時から当たらなかったというのに。
まぁ俺なら降参するだろうけど。むしろ痛みでのたうち回るだろうけど。
「ケーマ・ゴレーヌ選手初戦突破! 続いて第二試合! そのままお待ちください。すぐ次が来るので」
「えっ、連戦なの?」
レフェリーが言うので待ってると、今度は豚獣人の男が現れた。身長が俺の1.5倍、横幅は3倍以上ある。大質量だな、しかもこれが全身鎧の完全防備ときたもんだ。
「くくく、この俺様の防御は貫けまい!」
「あー、よろしく? ……防御抜けたら俺の勝ちとかどう?」
「よかろう! かかってこい! わっはっは!」
というわけで第二試合でも開幕【エレメンタルショット】。急所にならなそうな、お腹ど真ん中を貫いてみた。あ、一応後ろを壁にしてもらってるから他の試合に迷惑かけたりしてないぞ?
「な、なんという貫通力……ぐふっ、参った……」
「……おう」
豚男は担架で運ばれて行った。まぁあの傷の大きさなら回復魔法ですぐ塞がるだろう。……ざわざわ、と俺の試合を見ていた観客が騒ぐ。豚男、優勝候補だったとかだろうか? まさかな。
「ケーマ・ゴレーヌ選手、第二試合突破! 引き続きお待ちください」
「えっ、まだ連戦するの? まって、どのくらい戦えばいいの俺?」
こういうのって普通休憩とか入れてくれるもんじゃないのだろうか?
「スポンサーの粋な計らいですね。あ、トーナメント表はこのようになっています」
「……おい、なんか俺以外全員シードになってないか?」
見ると、そのトーナメント表は明らかに不正のニオイしかしない代物だった。
俺の名前が左端にあり、勝ったら次の試合だが相手はシードでいきなり俺と対戦。それが全員分続いていた。
最後のやつなんて一試合勝てば予選突破になるぞオイ。
「なあ、これ明らかに俺が不利なんだが!?」
「ああ全くもって羨ましい! こんなに戦えるだなんて、どんなコネを使ったんですか? それとも力尽くですか? いいですね力尽く! はっはっは!」
「……あ、そういう。この右端のヤツと代わってあげても良いんだけど?」
「そういう不正は行えないようになっています」
なんだよもう!? トーナメント表自体には不正するくせに!
「きゃー! ケーマ、どんどんやっちゃってー! み・な・ご・ろ・しー!」
「ロクコ、はしゃぎ過ぎよ? もっと優雅に観戦しましょう」
と、観客席の最前列にロクコとアイディが居た。いつからいたのだろう。
「っておいこらアイディ! このトーナメントはどういうことだ!?」
「ロクコの為に手配したの。活躍の場を増やしてあげたのだから、何か一言、お礼を言ってくれてもいいのよ?」
「お前……ありがた迷惑って言葉知ってるか?」
「ふふ、どういたしまして」
ダメだ言葉が通じてない。これが異文化ってヤツか。
結局、俺が練習相手として戦っていたセバスは相当強かった模様。大体の相手は開幕【エレメンタルショット】を撃つだけで勝て、無事トーナメントを制覇、予選突破してしまった。
一応後半になると初撃を避けてくるヤツも居たが、2、3発同時に撃つだけで勝利した。『神の毛布』のチート防御力以前に、こちらに攻撃されるまで行かなかった。
……あー、うん。どうせ『神の毛布』で安全なんだし、もっとこう【ピットフォール】とか【ストーンパイル】使って戦っても良かったかなぁって思ったんだけど……まぁ、手札1枚で勝てたんだから良いか。
(ラノベ人気投票『好きラノ』(https://lightnovel.jp/best/tw/)の〆切は14日24時だそうです。
入賞とかしたら報告しますが、そういうのなかったら「あっ(察し」してください。
あと『異世界ぬいぐるみ無双~俺のスキルが人形使い~』の方が今月25日に2巻発売です! それに伴ってなんかこう、Web版の方も佳境っぽいですよ? 下にランキングタグでリンクあるからみてってね!)






































