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魔国へ向けて

(あ、エイプリルフール企画でだんぼる短編投稿してました)



 帝都に到着してからは早かった。


 まず城についてすぐ、皇帝に謁見。今回は1日も待たされずに到着素通しだ。

 ……これ、ロクコの影響かなー、とか思いつつも、まぁあっさりと謁見と挨拶を済ませる。

 謁見はライオネル皇帝、「存分に学んでまいれ」って一言言ってこっちは頭を下げるだけ――あ、ロクコ? ロクコはハクさんとお茶してたよ。


 で、その日のうちに魔国方面へ向かう使節団の馬車に乗せて送られることになった。スピード出立である……なんというか、ほんとね。


「というか、俺達だけじゃないんですね、留学するの」

「ええ。魔道具の技術者とかを留学させたりもするわ。帝国(うち)もアイディ以外の受け入れもしてたわよ」

「あ、そうなんすか」


 そして俺達の馬車にはハクさんが乗っていた。

 というか、俺達がハクさんの馬車に乗っていた。馬車は俺とロクコとハクさんの3人乗りである。ニクとイチカは別の馬車だ。

 ……さすがにこれで膝枕はできないよなぁ。というか、俺とロクコが隣合って座ってて正面にハクさんってのがなんともプレッシャー以外の何物でもないというか。あ、ちゃんと手すりのある立派な椅子だから間40cmくらい離れてますよ? 揺れた拍子にぴとっと触れたりする距離じゃないんで大丈夫っす。そもそもこの馬車ぜんぜん揺れないし。


「そういえばアイディも、自分が遊びに来たのは他のオマケみたいなところって言ってたわね」

「そうだったのか」

「ええ。あちらはあちらでこちらの経営方法とか色々学んでいきました。冒険者ギルドが主な見どころといったところですね」


 そういえば、魔国では冒険者ギルドの代わりにハンターギルドってのがあるんだったっけな。一応Bランク冒険者の俺達はそこでもそこそこの立場に相当するんだとか。

 ……もちろん強さを求められるハンターギルドでは、その分喧嘩を吹っ掛けられたりする可能性も高いから適度になんとかしてね、とのことで。ええ、特に見た目が弱々しい俺とかロクコとかまさに狙い目だとかなんとか。


「というか、冒険者ギルドって他国にはそのまんまので無いんですか?」

「ダイードや聖王国、ワコークなんかは冒険者ギルドがあるわよ。でも聖王国ではまた別枠でダンジョン攻略者ギルドみたいなのもあったかしら」

「あ! そういえば前に聖女アルカってのが来てたわね、アレも聖王国のそのギルドに?」

「ええ。ロクコちゃんの言う通り、そこの最上位――ウチのSランクに相当するのが聖女ね。あれはもうウチの国には入れないつもりだけど」


 なんでも、『欲望の洞窟』周りで色々強引な事をやったから入国禁止とかにしたらしい。丁度良かったそうだ。……仮に聖女アルカに再会するのであれば俺達が聖王国へ出向くか、密入国してくるかという事になりそうだ。


 つまりあのメチャクチャで話の通じない聖女とはもう会わないな! ありがとうハクさん!


「で、ロクコちゃん。今更だけど、本当に魔国へ行くの? 引き返すなら今が最後のチャンスよ?」

「行きますよ姉さま。アイディがこっちに来たんだから、今度はこっちがアイディの所に行くのが友達ってものじゃないですか」

「あら嬉しそう。……ふふ、ロクコちゃんにお友達ができるとか、感慨深いわね……でもあまり仲良くし過ぎてもダメよ? 一応、魔国と帝国は戦争をしたりもする間柄なんだから」

「はーい」


 ……ところで魔国に着くまでずっとこのポジションなんですかね? 畏れ多いので他の馬車に移動してもいいですかね? え、ダメ? ダメかぁ……


「ところでハクさん、この馬車って寝たりできないんですか?」

「ああ。寝るならその椅子、背もたれを倒せばいいわ。毛布もつける? それとも『神の寝具』があるから要らないかしら」

「いやまぁ、『掛布団』も『毛布』もロクコのなんで。普通のをお借りします」

「あらそう。そういえばケーマさん個人が持ってるのは『目覚まし』だったわね」


 そう言って、指をパチンと鳴らすとどこからともなくクロウェさんが毛布をもって現れた。どこに控えてたんだ、と思いつつ毛布を受け取ると、クロウェさんは再びどこかへ消えて行った。……馬車に隠し部屋があるんだろうか。さすがハクさんの馬車だ……


「それじゃ、俺は寝るので。ロクコは存分にハクさんと語らうと良い。留学中は会いたくてもそうそう会えないだろうからな」

「そうね。……姉さま、そっちの椅子に一緒に座ってもいいですか?」

「え? でもこの椅子一人掛けなのよね……残念なんだけど」

「じゃあ、姉さまの膝の上に座っても?」

「……!? い、いいわよっ? お、おいで?」

「はい、失礼します姉さま」


 おおう、攻めるなぁロクコ。最近攻撃力でも上がった?

 まぁ、俺はそんなロクコがハクさんの膝に座るのを見届けつつ、椅子を倒して寝ることにした。ハクさんの前で寝るのは非常に怖い所で寝たふりするだけのつもりだったが……そういやクロウェさんサキュバスなんだよな。俺が指輪サキュバスのネルを手元に置いてるのと同じような理由で、ハクさんの夜の護衛なんだろうけども。


 クロウェさんが居るとなると下手に寝たふりしてたら寝てないのがバレるかもしれん。ここはしっかり覚悟を決めて寝るしかないな……ロクコが身をもってハクさんを止めてくれているので多少は安心できる、かな? 頼むぞロクコ、そこんとこよろしく。


 ……この際、野営ポイントまでぐっすり寝ていくとしよう。そんじゃ、オヤスミナサイ。



(10巻とコミック1巻も出たし、ようやくのんびり水曜更新とかできるのでは――そう思っていた時期が私にもありました。


 あ、N-Starで連載してる異世界ぬいぐるみ無双の方もよろしくね。こっちは今の所、毎週月曜12時更新だったかな)

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