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『欲望の洞窟』視察 2

(はい、今週はロスタイムしてません! ほめて!

 三連休に書籍化作業に集中するために平日仕事帰りにコツコツ書いたの!)


 ダンジョンコア3名、ハクさん、アイディ、そしてロクコが『欲望の洞窟』前に集まっていた。これに俺が同行してのダンジョン見学ツアーとなる。

 楽しみでうきうきしてるハクさんとアイディにくらべ、ロクコの動きはどことなく硬い。


「……なんか緊張してきたんだけど」

「まぁ、ロクコは見学される側のダンジョンだからな」


 保護者(ハクさん)留学生(アイディ)が見るって、授業参観的な気恥ずかしさがあるのかもしれない。

 というわけで全員集まったので、早速ダンジョンに入って行こう。


 まずは入口、冒険者ギルド員が受付をしているゲートを通る。

 ここもギルドが来た当初は柵だけだったものだが、人も増えてた影響かいつの間にかギルドから補強人員が入って受付ができていた。入る時は受付で冒険者カードを見せて通るのだ。

 ここは冒険者でない人間(ランク不足含む)だけで入ろうとしたりするとさすがに止められるが、俺もロクコも一応Bランク、ハクさんに至ってはAランク。アイディは……まぁ賓客扱いだし、そもそもギルドの頂点(グランドマスター)のハクさんが居るんだ、冒険者じゃなくても問題ないだろう。


「ねぇ。アイディも一応冒険者になるのかしら?」

「魔国でのハンターランクと対応したランクの冒険者として扱ってくれるそうだから、Bランクになる――だったかしら? ハク様」

「ええ、それで問題ないわよ。あ、ハンターっていうのは魔国版の冒険者といったところね」


 なるほど、ということはこのダンジョン見学チームは最低ランクB以上とかいう一流冒険者パーティーに相当する感じか。いやぁ贅沢だね。

 というわけで受付を通過する――


「お疲れー。んじゃ、お客さん連れて入るぞー」

「そ、その、村長さん? そちらの方って」

「……ハクさんか? ああ、細かいことは気にしない方が胃に優しい、そうは思わないか? 君はただ規則通り仕事をするだけで問題ないんだから」

「……さ、サインもらえたりしませんかね?」


 俺達の会話が聞こえていたのだろう。ハクさんが寄ってきた。

 そしてハクさんは胸の谷間から万年筆を取り出し、受付の服の袖にさらりとサインを書いてやった。あ、帝都で売ってた永久万年筆君だなアレ。あとどこから出してるんだよと。


「騒がれたくないので、サインを上げたことは2、3日の間は秘密にしておいてくださいね」

「は、はい! ありがとうございますっ! 家宝にします! お通り下さいっ」


 最敬礼する受付を横に、俺達はダンジョンに入って行った。


「あの、サイン上げても良かったんですか?」

「まぁ、これくらいは慣れたものですよ、ファンサービスというものです。ケーマさんも要ります?」

「じゃあ色紙に書いてもらって宿の受付に飾らせてもらいますか。今更ですが、宿の後ろ盾にハクさんが居るいいアピールになりますしね」

「おっ、それは良いわね! 姉さま、是非お願いします!」

「うふふ、50枚くらいで良いかしら? それとも100枚?」


 この人ほんとロクコ好きだな。1、2枚で良いんだけども、色紙用意したらいくらでもサインしてくれそうだな。


 ともかくギルド員の待機してる入口を通過すれば、石畳の敷かれた玄関エリアだ。


「へぇ……ロクコは洞窟型なのね。可愛い。私は屋敷型だから興味深いわ」

「あぅ。恥ずかしいからそんなまじまじ見ないで欲しいんだけど……」

「そういえば大きくなってからのロクコちゃんの中に入るのって初めてですね?」

「お、お手柔らかにお願いします」


 何か言い方に卑猥なものを感じるのは、このダンジョンがロクコの身体(ほんたい)で、ダンジョンコア同士だからだろうか。

 ロクコにとっては、ハクさんとアイディに2人がかりでじっくりと身体測定されるような感覚だろうか? うん、そう考えるとかなり恥ずかしいかな。


「あ、アイディ。そこ落とし穴あるから気を付けてね」

「あら? ……気付かなかったわ。ふぅん」

「ここの落とし穴……うん、もはや懐かしいわね」


 そういえば初めてのダンジョンバトルではよく引っかかってくれてたな。石タイルの床の中に紛れさせた、薄い板のっけただけの落とし穴。ゴブリンはかからない程度の重さだったから逆に効率よくダメージを与えられてたっけ。


「ロクコ。解説はしてくれないのかしら?」

「した方が良いかしら、ケーマ?」

「いくら賓客といえどダンジョンの裏側についての詳細は話せないな。解説できるのは冒険者が気付く事程度だ。それ以上は自分で分析してくれ」

「だって。ごめんねアイディ、そういうことで」

「致し方ないわね。少し時間を頂戴。……ふむ、気配があるのとないのとが混じって、余計分かりにくいわけね。虚実……いえ、両方実だから光と影かしら? 参考になるわね」


 石畳の落とし穴をぺたぺた触りつつ、アイディは真面目に分析していた。……アイディの言う気配があるのはダンジョンの機能で作った落とし穴で、気配がないって言っているのは俺が自作した落とし穴だ。

 ……もしかして、ダンジョン機能の罠は何かしら信号みたいなものを発信しているのか?


 俺がそんな事を考えていると、ロクコが赤い顔してアイディの肩を揺さぶった。


「……は、はい! おしまい! 次行こ次っ、ほら、恥ずかしいからそんな見ないでよぅー」

「あらあら。ロクコのここ、手触りもいいし可愛いじゃない。ねぇハク様?」

「そうね、同意してあげる。やっぱりロクコちゃんの石畳は一味違うわね……」

「ひゃぁあ! ハク姉さままで何言ってるんですか、もー!」


 身悶えるロクコ。あれか、人間でいうと口の中まじまじと観察されるようなもんか。……もっと奥なら胃カメラで観察されるような感じになるんだろうか?


 たっぷりロクコの入口()を観察した後、さらに奥、迷宮エリアへ入っていく。

 ちなみにモンスターは素通りだ。平均Bランク越えのパーティーとかにゴブリンが勝てるわけもないから避けるのは当然だよね。気配を察して遠巻きにみてるだけになるが、これについてはダンジョンコアである二人にも説明は不要だろう。俺達に襲い掛かってきてもただのDPの無駄使いだ。


「それでここは迷宮エリア――なんだが、今日は特別にほぼ直通できるこっそりルートを作っておきましたのでこちらへどうぞ」

「あら残念。マッピングできるかと思ったのに」

「ダメ、ダメだからね!? ダンジョンバトルでもダンジョン攻略(アタック)でもないのに!」


 そこ恥ずかしがるんだ。いやまぁ、俺も見せたくないけど。恥ずかしがるポイントなんだ。へぇ。そしてダンジョンを正当に探索するので見られるのはいいんだ。へぇ。……ダンジョンコアの感覚って分からん。


「私、ロクコのダンジョンの名前の由来となった『強欲の罠』が見たかったのだけれど」

「私も見たいわ。あれは確かこの迷宮エリアってところにあるのよね? ケーマさん」

「はいはい、直通ルートで寄っていけるように手配してますよっと」

「抜かりないわねケーマ!?」


 『強欲の罠』はうちの名所とも言える。これの紹介を外すのは、京都に修学旅行に行って金閣寺や清水寺を見ないようなもんだからな。さすがに予想済みだ。


「……うー……ま、まぁ、見てもいい、わよ?」

「うふふ、ロクコの素敵な所、じっくり観察()させてね?」

「ロクコちゃんのチャームポイント、楽しみだわ」

「では行きますか。こちらです」


 添乗員(ツアーコンダクター)の気分になるな。手旗でも持ってくりゃ良かったかも。

 そういうわけで、俺はダンジョンの最も特徴的で目玉といえる施設へ一行を案内した。


(本業とか色々忙しくてちょっと書籍化作業が遅れ気味なんだけど。

 これ10巻が締め切り間に合わない可能性でてきたんだけど。この三連休でどこまでいけるか……?

 まさか当初は余裕と思われていた10巻がこんなことになるだなんて……!)

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