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閑話:そのころの『欲望の洞窟』ダンジョン

(本日2投稿めです。ロスタイムったうえにちょっと短かったのでな)

 ケーマ達が出かけるにあたって、ダンジョンの事を託されたレイ。

 しかし実際やることといえば普段の業務が『人手が減ったのでちょっと忙しくなったな』という程度だった。

 冒険者のまとめ役のゴゾーが居なくて村のいざこざが何とかなるかって? 副村長のウォズマが何とかしてくれる。というか、ゴゾーやケーマのBランク昇格でお祝いムードがずっと続いていて、わざわざ問題を起こそうというフキゲンなやつも居ない。


「……っはー、マスターとロクコ様、それにニク先輩やイチカ先輩も居ないのに全然問題なく日々が過ぎていく……」

「いいことじゃないですかー?」


 従業員控室、出しっぱなしになっているコタツに足を突っ込みつつ、レイはくたりとその天板に頬をぷにっと乗せた。先客のネルネが、キヌエの淹れた緑茶を飲みつつのんびりとしている。

 熱の入れてないコタツは、これはこれで良いものだ。今の時期は薄布団くらいがちょうどいい感じになる。


「……冒険者たちもなんも問題ないし……村も順調だし……教会もサキュバスも何の問題も起きない……」

「いいことじゃないですかー、こっちも研究が順調に捗ってますよー?」

「…………問題が起きないのは良いんだけど、問題が起きてそれを解決してこそ私の有能さが示せたりしないかしら。どう思うキヌエ?」

「確かに問題解決した方が印象には残りますが、実際は何も問題を起こさない方が有能ですよね。現に、マスターはそのように判断するのでは?」

「うぅ、でもマスターに私をアピールしたいです……二律背反……! 光と闇……」


 ぶつぶつとレイがぼやく。実際にレイはケーマから高く評価されている。それは、強化のためのDPを貰ったことがあることからも明らかだ。問題は起こさない方が良いのも間違いない。

 ……尚、ケーマ本人は何らかの問題をホイホイ起こしては解決している気もしなくもない。


「ちょっとだけただいまー。何か問題起きてないか?」


 と、そこに(くだん)の人物、ケーマが顔を出した。ケーマは、キヌエがさりげなく差し出したぬるめの緑茶を一気にクイッと飲み干し、湯呑だけを返す。


「ま、マスター!? え、あれ、もう帰っていらしたんですか? まだ予定期間の半分では?」

「少しだけな。すぐまた帝都の方に戻らなきゃならん」

「あ、そっか。帝都からなら『白の砂浜』経由で戻ってこれるんですね」

「【転移】も覚えたからそれなりに帰ってこれると思う。代わりにこれからマッサージ椅子作らんとならんけどな。……というかハクさんにダンジョンバトル関連の厄介事を押し付けられた。あーやだやだ働きたくない……」


 はるか上位ダンジョンのハク相手に取引や頼まれごとをしているらしいケーマ。レイとキヌエは何げないその発言に畏敬の念が湧き上がるのを感じる。

 そして【転移】と聞いてネルネの目がきらきらと輝いていた。


「ま、マスター、【転移】ってあのー、そのー」

「……ああうん、時空魔法。……でも教えられないぞ。ネルネが1人で使おうとしてもマナ枯渇は間違いないからな。俺でもごっそり減る感じだし、少なくとも今のネルネの魔力量だと死ぬんじゃないか」

「う、うぐぅー……そんなー」


 がっくりとうなだれるネルネ。改めてケーマはレイに向かって尋ねる。


「それで、何か問題でもあったか?」

「いえ! こちらは特に何も!」

「……むしろレイってば何も問題起きなくて暇ーってぼやいてたくらいですよー」

「なっ、ちょ、こらネルネ!? 何言ってるの!」


 レイとネルネのその言葉にケーマは「ふむ」と笑う。


「そうか。それなら良い、暇でなによりだ。このまま任せるぞ、レイ」

「はっ! 頑張ります!」

「キヌエはレイを支えてやってくれ」

「はい、かしこまりましたマスター」

「あ、ネルネ。これ旅の道中で思いついた魔道具のアイディアだ。あったら便利的な」

「おおぅー……これはまた研究課題が山積みになりそうですねー、時間かかりますよー?」

「ま、急ぎでもないし、できない奴はできないって言ってくれればいいよ。んじゃ、あっち戻るわ」


 そう言って、ケーマは嵐のように去って行った。


「このまま問題なく行くわよキヌエ!」

「……レイは本当に調子がいいわね。まぁ、そこが良い所でもあるのだけど」

「はー、私の方は一気に忙しくなりましたねー……魔力総量上げる訓練もしないとー。お給料もボーナスも全部マナポーションにつぎ込みですねー……じゃ、研究室戻りますー」

「ネルネ。ご飯はサンドイッチがいい? オニギリがいい?」

「オニギリ……いや、サンドイッチお願いしますー。具はお任せのホットサンドでー」


 残された面々は、士気がぐんと上がっていた。

 ただしやることはネルネ以外特に変わりはないので、上がった士気をぶつける先が無いのだけが玉に(きず)だけれども。



(今日でGW終了……働きたくないでござるぅ……)

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