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ダンジョンコアの集会 (2)

(ちょっと落書き(全裸のためR-18)してて遅れたけどロスタイムでセーフだよね?

 まぁ、その。急いで書いてたから書き直す可能性も無きにしも非ず)

 666番コア。魔王派閥の寵児――アイディと名乗る、ロクコの『お友達』。

 赤いヴァルキリードレスが今回の会場である城によく合ってる気がする。


 ロクコは敵対派閥にあるはずの――いやまぁ大体すべて敵対派閥だけど――アイディに対してにこやかに挨拶した。

 その笑顔には、ハクが6番コアに向けるような影や裏の感情は一切ない。


「ロクコは今来たところ?」

「うん、さっきね。アイディは違うの?」

「私は(じじ)様と一緒に来たから」


 爺様、というのは魔王派閥のトップである6番コアのことだ。というか、番号次第で呼ばれる順番が変わるのだろうか。初耳だ。


「そういえば、丁度ハク様から手紙が来てたようだけど、ロクコは何か関与してる?」

「え? んー……」


 アイディの質問に、ロクコは答えてもいいものか少し考える。

 恐らくその手紙はダンジョンバトルの話。ケーマがハクに頼んだものだ。

 ……場合によっては、ロクコが関わってることを話さない方が良いのかもしれない。また決闘とかややこしい事になりそうだし。アイディが割り込んできたら勝てなくなりそうだし。


「いや私は知らないわね」

「そうなの? なら決闘しましょう?」


 あれ? 私知らないって言ったのに。どこかで言い間違えたかしら、とロクコは首を傾げた。


「……なんで決闘になるのかしら?」

「? 可笑(おか)しなことを言うわね、友達は決闘をするものでしょう」

「魔王派閥じゃそうなのね。ウチは違うわよ」

「そうなの? それでは決闘しましょう」

「……だからウチでは友達同士で決闘とかしないのよ?」


 とは言ってみたものの、友達同士で何をするのかと言われるとパッと出てこない程度にロクコはボッチの時間が長かった。い、今はレドラとかいるし! と心の中で言い訳をする。……あれ? でもそういえばレドラともダンジョンバトルしたっけ……しかもレドラもわりと「また戦おうッ! 次はアタシが勝つからッ!」とか言ってくるっけ……とも思ったのはここだけの秘密だ。


「私の方では友達同士は決闘するものなのだから、言い分としては1対1、つまり断る理由にならないわ」

「そこはほら、私に合わせてよ。私は平和主義なの」

「そうね、ではそれを決闘で決めましょう。ロクコが勝ったらロクコに合わせて、私が勝ったら私に合わせる。単純明快ね」


 それ結局決闘することになってるじゃないの、とロクコはアイディをじと目で見つめる。

 しかし、心の底からそう思って言ってるのかアイディは涼しい顔で不敵に微笑む。


「一応言っておくわ。……この剣は飾りだからね!」

「そういえば、そうだったわね。ではこちらで使えそうな剣を用意するわ」

「……いやそうじゃなくて、私の剣術の腕の話がね?」

「そうなの? じゃあもっと決闘しなきゃ。剣の腕というものは実戦でこそ身につくのだから」


 何を言っても結局決闘に行きつくのかぁ。と、ロクコは頭を掻いた。

 そこに友人の触手との親交を深めてきたミカンが戻ってきた――戻ってきてしまった。

 意気揚々とぴょこぴょこ戻ってくるミカンに、ロクコは本能的に「ヤバい」と感じた。


「おー、ロクコー。やったっきゅよ、ちゃんと真の友達はいたっきゅよボク! 背中押してくれてありがとうっきゅよーロクコー」

「629番、ちょ、ちょっと今は取り込み中よ?」


 ぱたぱたと嬉しそうに耳を動かすミカン。ロクコはアイディと交互に目をやり、焦る。魔王派閥のアイディと、魔王派閥とダンジョンバトルをするミカン。この2人を会わせてしまったら、何もないはずがない。


「あら? ……629番。私のロクコと随分と仲が良さそうね」

「お? ……げ、げぇっ!? 666番コアッ!? 今気づいたっきゅよ、なんきゅか、敵情視察っきゅか!?」

「敵情視察。ふむ、それもまた良し。そう言えば、629番はハク様の派閥に入ったそうね?」

「な、何で知ってるきゅか!」

「爺様のところに届いた手紙、私も見たもの。魔王派閥のコアとダンジョンバトルをするそうね。相手は564番コア……正直、629番に勝ち目があるように思えないのだけれど?」

「ふ、ふん。こっちには強力な助っ人がいるんきゅよ! ただではやられたりなんかしねぇっきゅよ! むしろ返り討ち!」

「へぇ、助っ人……ハク様の派閥で」


 そう言ってちらりとロクコを見るアイディ。ひくっ、とロクコの笑顔が引きつる。


「わ、私は関係ないし?」

「えっ! そ、そんなこと言わないで欲しいきゅよ……ボクとロクコはもう友達きゅよね?」

「うっ!」


 そう言われると、ロクコは弱い。なにせケーマが来るまで、ロクコはずっと『ぼっち』だったのだ。その時でもミカンは割と普通に接してくれていただけに、ロクコとしてはミカンからの友達宣言を否定することはできない。


「…………う、うん。私と629番は友達よね。同じ派閥だし!」

「派閥とかかんけーねぇっきゅよ! もしボクが何かあってまた別の派閥になっても、ロクコとはずっと友達だかんな!」

「へぇ。(さえず)るわね。ロクコは私の仇敵(しんゆう)よ? 629番に友達になる資格があって?」

「はぁー、666番コア。勘違いすんじゃねーっきゅよ。友達に資格なんてもんはいらねーんきゅよ?」


 ロクコ越しにミカンと口論するアイディ。やめて629番、派閥の違いは文化の違いなのよ。魔王派閥では友達に資格が要るものなのよきっと。と、ロクコはお腹がキリッと痛む気がした。

 人付き合いとはかくもお腹が痛むものなのか……。


「ふむ。分かったわ629番。なら私とあなたで決闘する?」

「……いや、先約あるからそれはなしっきゅよ。まず目の前のダンジョンバトルに集中したいんきゅよね」

「先約……564番コアね。仕方ないわね。それなら私も629番に手を貸してあげるから、さっさと564番コアを片づけましょう。片付いたら改めて決闘を申し込もうかしら」

「え?」

「はい?」


 ロクコとミカンは思わず聞き返す。今、アイディは何と言ったのか。


「だから、564番コアを片づけたら改めて決闘を申し込もうかと」

「そこじゃなくて、いやまぁそこもだけどその前! その、手を貸すって言った?」

「ええ。564番コアを潰すのでしょう? 手を貸すわ」


 聞き間違いでは無いようだ。アイディはしっかりと、改めてそう言った。


「いやいやいや、なんできゅか!? 味方の派閥きゅよね!?」

「ああ、簡単な話よ。……今回の顛末をハク様から手紙で受け取って、さすがに派閥を間違えて喧嘩を売るような馬鹿は潰しても構わないと爺様が言ってたの。だから、564番は潰してもいいのよ」

「えぇ……」


 確かに言っていることとしてはもっともな事でもある。場所が悪かったとはいえ、敵対派閥ではないところに勝手に喧嘩を仕掛けに行く……これだけで処罰の対象に成り得るのに、さらには喧嘩を仕掛けた相手が敵対派閥の傘下に入ることになったわけだ。

 ついでに言うと、564番コアはハクの派閥のコアに喧嘩を吹っ掛けた、という虚偽の報告を行っていたことにもなる。意図的でなかったにしても。


「564番コアは629番を壊すか支配下におかない限り許されないということに、集会に来る直前決まったところよ。今頃本人にも通達されているのではないかしら」


 ミカンは「んきゅぅ」と小さく鳴く。それはつまり、相手が本気でかかってくるということだ。そうなると、手は多い方が良い。もっとも、敵対派閥のアイディに助っ人を求める権限はミカンにはない。


「……ハクさまに言ってほしいっきゅよ」

「そうね。でも多分爺様からもそう言う話を出すと思うから、その方向で考えておいて」

「んきゅ。それにしても、なんで666番コアがボクに手を貸してくれるんきゅか? さっきのじゃ666番コアが手を貸してくれる理由にはならないっきゅよ?」

「ああ、それはもっと簡単な話よ」


 くすっと微笑んで、アイディは言う。


「564番コアを合法的に叩き潰せるじゃない。500番台とか、(たぎ)るわ」

「……」


 その魔王派閥らしい好戦的な理由に、思わずミカンもロクコも納得した。

 どうせなら強い相手と戦いたい戦闘狂(バトルジャンキー)。それがアイディだった。


「それに、私の仇敵(しんゆう)のロクコが助っ人なのでしょう? ならロクコと一緒に決闘する(あそぶ)のも一興よね」


 あ、やっぱりバレてるわよね。と、ロクコは目を逸らした。


( ア イ デ ィ 参 戦 ! (味方)

 アイディの参戦を予想していた方も多かったんじゃないでしょうか。感想にもいましたし。


 というわけで、また週1更新の書籍化作業モードにはいるので。今度の書下ろし率はたぶんまた9割越えなのでだいぶかかりそうな感じです)

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