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絶対に働きたくないダンジョンマスターが惰眠をむさぼるまで【コミカライズ12巻 発売中!】  作者: 鬼影スパナ
閑話の章:初心者狩り

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初心者狩り (5)

 台座に魔剣を刺したのに、入り口は閉ざされたままだった。


「どうして……調べていたのと違う……開くはずなのに」

「おや、おかしなことを言う。魔剣を抜いたら一晩閉じ込められる――そういったのはあなたでしょう? せっかくそれを真実にして差し上げたというのに」


 ふと聞こえてきた声に顔を向けると、そこにいたのは知らない銀髪の女だった。


「誰だ! どこから入ってきた!」

「どこって、この部屋の入り口は1つだけでしょう?」


 くすくすと笑う女。


「さてと。あなたはここでお(しま)いです。ご愁傷様でした」

「は、何言って……」


 ぱちん、と女が指を鳴らすと、天井からどしゃり、と岩が落ちてきた。

 落石罠か、と思ったら、それはむくりと起き上がる。――アイアンゴーレムだ。


「バカな……ここは、安全地帯だぞ」

「安全地帯、だからどうしました? それに、上に気を付けないとすぐ死にますよ?」


 いわれて上を見る。すると、高い天井にはびっしりと、鉄の塊が張り付いていた。

 ――まさか、あれが全部アイアンゴーレムだとでもいうのか。


 そのうちの1つ、ちょうどゲスーノの頭上に張り付いていた鉄塊がぐらりと動く。

 ハッと慌て駆け出す。ゲスーノのすぐ後ろに重量のある鉄の塊が降り注ぐ。


「ほらほら、そこも危ない」

「ひ、はっ!?」


 よけた先、さらにずしんずしんと連続して降り注ぐ鉄の人形たち。

 逃げ惑うゲスーノを追うように降り続け、どんどん逃げ道はなくなっていく。


「うぉ、うわああああ!」

「ふむふむ。これは結構トラップとして有効そうですね」

「くそっ! 助けてくれ、金なら払う! ギルドに大金を預けてあるんだ、キワミのへそくりだってくれてやるからぁあああ!」


 ゲスーノがそう叫んだところで、ゴーレムたちの落下は止まった。


「はぁ、はぁ、助かった……?」


 しかし、今度は落下していたアイアンゴーレムが、わらわらとゲスーノを取り囲む。Cランクのゲスーノ程度では、たとえこれがストーンゴーレムであっても突破して逃げきるのは難しい。

 そもそも、部屋の入り口は鉄の針で埋め尽くされたままだ。どこに逃げればいいというのか。


「レイ、何を遊んでるので?」

「おっと先輩。いえいえ、これもマスターの作ったトラップの実験ですから、ただ遊んでるわけじゃないんですよ?」


 アイアンゴーレムごしに獣人奴隷と銀髪の女が親しげに話すのが見えた。奴隷の後ろにはシーナの服を身に着けたのっぺりとした顔の木製人形が付き従う。その首にはキワミがつけた奴隷の首輪が、そして肩には顔を腫らして気絶したままのキワミが乗っていた。


 ゲスーノはここに至ってようやく、自分が何者かに嵌められたことに気が付いた。


「くそっ……なんで、なんで僕がこんな目に! 僕が何したっていうんだ!」

「先輩、あれは何言ってるんですかね。あなた、新人狩りでしょう?」

「弱いものを狩るのは狩りの常識だろうがぁ! 僕は何も悪くない!」

「それ、今の状況のこと言ってます? その通りですね」


 言われて、自分こそがゴーレムの猟犬に囲まれた哀れな獲物だということに思い至った。

 なんというマヌケか。


「キワミ、目を覚ませ、キワミぃ! 起きろ、助けて、そいつらをどうにかしてくれぇ!」


 ゲスーノの声に、ぴくりと反応するキワミ。


「うう……ダーリン? 私……痛ッ! え、何よ、何が起きたの?」

「ハニー! そいつらを殺すんだぁああ! 早くしろ、手加減するなぁあああ!」


 ゲスーノはキワミを肩に担いだ人形の首輪に、4回、締め付ける命令を飛ばした。

 これで、あの首輪は首の骨を折るまで――この場合、あの木の首をへし折るまで締まるはずだ。


 ゲスーノの狙い通り、みしり、めきり、と【違法命令(イリーガルオーダー)】の効果で人形の首を破壊した。

 ごろりと落ちる木製の頭。それに続いてキワミも地面に落ちるように逃げ出す。


「早く殺せ! そいつらを、早くぅううう!!」

「ええ、なんだかよく分からないけど、死になさい!」


 袖に仕込んでいた小型ナイフで素早く手足を拘束していた紐を切り落とす。

 そしてそのまま正面の銀髪女に、同じく袖に隠していた大きな針のような武器で襲い掛かる。

 殺った、そう思ったゲスーノとキワミであったが、攻撃が当たることはなく、空振りした。……確実に当たっていたのに、すり抜けたのだ。


「残像です」

「幻影でしょう」

「あ、いやその先輩。本当のこと言う必要ないですからねここは」


 勢い余ってたたらをふむキワミをよそに、よそ見までして話す2人。


「な、えっ、そもそもここどこよ!? なんでアイアンゴーレムがこんなにぶげろぼっ」


 状況をしっかり理解していなかったキワミが周りを見回して取り乱したところで、獣人奴隷が再びキワミの顔を殴り飛ばした。

 ご丁寧に、反対側をだ。キワミは、再び意識を飛ばした。


「静かになりました」

「お疲れ様です先輩。あんなの仕込んでたとは少し驚きましたね……しかし、マネキンゴーレムの首、なんで壊れたんですかね」

「奴隷の首輪の効果だと思います」

「まぁ、あの魔法については……マスターから詳しく聞くように、命令が今届きました。後で詳しく聞きましょう」


 何事もなかったかのように和やかに話を続ける。キワミのささやかな抵抗なんて、まったく意に介さない。そういうことなのだろう。

 ……力の差がありすぎる。一体どうなっているんだ。ゲスーノは目の前が真っ暗になる心地がした。


「あ、ゴーレム共。そっちのほうも早く捕まえてください」


 何気なく、それこそ「そこのゴミ拾って」といった軽い感じで言う銀髪の女。

 その言葉に従い、ゲスーノに群がるアイアンゴーレム。


 Cランク冒険者が1人で1体を相手にできるのが目安のアイアンゴーレム。

 そのアイアンゴーレム数体に囲まれたCランク冒険者のゲスーノは、必死に抵抗するもボロボロになるまで鉄の拳に殴られ、気を失わされた。



(書籍化作業の大変なところが佳境。

 ところで、ニコニコでアイドルマスターのアニメ一挙放送やってたんだけど、ゼノグラシアって公式でもなかったことになったの? いや、ぷちますもなかったけどさ)

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