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ジーナ  作者: 伊藤 克
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六十九 ギロの魔術師・異界への扉(三)

 若い魔術師ケルバライトは、魔術師の塔の三階で魔術の研究をしているレグルスの邪魔をする事なく、必要がある時にしか彼の居室にくる事は無かった。皆で食卓を囲んでいる時も無口でいる事が多く、見習い魔術師達や幼いシンディの会話の聞き役に徹していた。

 歩く時も、食事の時も音を立てない事もそうだったが、彼の緑色の瞳やその年齢に似合わない、威厳のあるバリトンの声がいっそう彼を神秘的に見せていた。

 少し前にガエフ公国で行われた魔術師試験にいったおり、ケルバライトに会った見習い魔術師のフーゴとハンスはすっかり彼に心酔してしまった様で、ケルバライトの事を先生と呼んで慕っている。

 今まで数多くの魔術師達と接してきたレグルスだったが、ケルバライトほどその持つ魔力を読めない者はいなかった。それでもケルバライトが並の魔術師ではないと、レグルスは思っていた。なにより、塔の地下室に幽閉されてたレグルスを救出したのが彼、ケルバライトなのだ。そして王家の紋章が入ったダガーを持つ魔術師。

 レグルスにとってケルバライトは、特別な存在になっていた。


「ゲオルギー、君には判らないだろうが、ギロの港町、ガサの町合わせても彼に勝る魔術師を探す事はできないだろう。彼でだめなら、ここであの術を成功させる者はいない事になる。」

「わかりました。おまかせします。少しでも早く、今夜にでもお願いします。」

「なぜそんなに急ぐのかね。」

「自分でも判りません。今あるのは、この世界に身の置き所が無いという思いだけです。」

 一時間後、レグルス、魔術師姿のジーナ、兵卒長ゲオルギーは、四階中央にある少広間、古くに描かれた魔方陣の部屋にいた。ルロワに幽閉されていたレグルスを救出した日、異界の指輪であるアルゲニブに出会った場所でもあり、ルロワが意識を失った場所でもあった。当時ジーナが斧で傷つけた魔法陣のその場所は木炭で修復されていた。

「一度だけだから、これでも大丈夫だろう」

 レグルスの独り言だった。

 ゲオルギーは魔方陣の中央に寝かされている。

 文様の杖を手にしたジーナとレグルスは魔方陣の内側に立っていた。レグルスは北側に、ジーナは南側に向き合った位置に立った

 ジーナの緊張を察知したのか、黒毛に変ったバウが魔方陣の外側、部屋の隅にたたずんでいた。

「では始める。ケルバライト殿、魔方陣の中央から圧力が生まれるかも知れない。そこで抑えていてほしい。」

 複雑な手順と正確な古代語、これを行うにはかなりの知識が必要であった。レグルスは、若いケルバライトがそれらの知識を持っているとは思っていなかったが、彼の持つ不思議な力に期待したのだ。

 ルロワに幽閉される前まではレグルスが一人で行っていたこの魔方陣の研究だったが、これを機会にケルバライトにも経験させたい、との思いもあった。

 ケルバライトとして立つジーナは無言で頷いた。

『ジーナ、大丈夫なのか?』

 異界の指輪であるアルゲニブがジーナの心にささやいた。

『困った時は頼むわね。』

『私は何も出来ないぞ。』

『そんな事言わないで。この前、コウモリ男のシャロンと戦った時はパワーをくれたじゃないの?』

 空中に浮かぶシャロンと戦った時、変装の為に異界の魔法貴族ケルバライトの姿をジーナにさせたのはアルゲニブだった。何故かは判らないが、その姿になるとジーナの魔力が増したのだ。アルゲニブは、増したのではなく、ジーナの力を制限している何かが外れて真の力が引き出されたのだと思った。

 異界の指輪と会話をしている事を知らないレグルスは、無言で立つジーナへ再び声をかけた。

「準備はいいかね?」

 ジーナは頷いた。

 レグルスが古代語を唱えると、魔方陣の外周に円筒形のバリアが現れた、そのバリアは天井まで伸びている。結界を作ったのだ。

 次にレグルスは難解な古代語を唱え始めた。魔方陣に力がみなぎるのをジーナは感じた。やがて魔方陣の中央から見えない圧力がわき上がる。レグルスの額に汗がにじんでいるのがジーナのところからも見えた。

 レグルスが若い頃行った事がある魔術だった。その時もこれと同じ魔方陣を数人の魔術師達が輪になって今唱えている古代語を唱和し続けていた。その時は魔方陣の中央から吹き出す圧力を魔術師の皆で受け止めたものだ。そして古代語が止まらない様にするために皆で唱和するのだ。大勢で唱和する事により、誰かが倒れてもよどみなく古代語の手順を進める事が出来る。

 しかし今はレグルス一人しかいない。老いた事を自覚したレグルスは、目の前に立つ若い魔術師、ケルバライトへ事前に教えておくべきだったのかも知れない。そう思い始めていた。若い彼は複雑な古代語を訊いた事が無いに違いない。古代語を唱え続けるレグルスの声が次第にかれてくる。

『ジーナ、あの古代語に覚えはないか?』

『アルゲニブ、集中しているのだから邪魔をしないでちょうだい。』

『ジーナの夢の中に出てきた子守歌と同じだよ。手伝ってあげないのか?』

 ジーナはついさっき見た夢を思い出した。ソフィーおばあさんは、このことを予知してあの夢に現れたのだろうか。今は感慨に浸っている時ではない。

『わかったわ。やってみる。』

 ジーナはケルバライトとしての低いバリトンの声で、レグルスに合わせて古代語を唱え始めた。魔方陣中央からの圧力がさらに増す。目の前に立つレグルスが驚いた顔をジーナに向けたが古代語の唱和はやめなかった。

 レグルスが驚くのも無理は無い。この古代語の手順は複雑で、しかも長い。これを正確に知っている者は、この大陸に数十人とはいないだろう。なぜ、目の前に立つケルバライトがこの術を知っているのか、不思議な事だった。

 まだ力が足りないようだ。

『アルゲニブ、力を貸してちょうだい。』

 アルゲニブがジーナに何をしたのか本人には判らなかったが次第に力がみなぎってきた。

 レグルスは一瞬目を疑った。目の前にいる小柄なケルバライトの体が大きく膨らんで見えた。大柄な男に変身して見えたのだ。錯覚なのだろう、とレグルスは思う事にした。その時から、ケルバライトが唱和する古代語にも力がみなぎってき、魔方陣中央から押し寄せる圧力も高まってきた。

 魔方陣中央の円に灰色のモヤが現れた。異界の扉が開き始めたのだ。

 そこに寝かされていたゲオルギーの体が、その灰色のモヤの中へ次第に沈み込んでゆく。同時にモヤが濃くなってきた。ゲオルギーが渦巻くモヤの中に完全に沈み込んだ。

 成功した。レグルスはそう思った。レグルスは繰返していた古代語の唱和を止めた。ジーナもやめる。

 レグルスは異なった調子の古代語を唱え始める。やがて中央の黒い円が閉じ始めた。その語調に安堵感が漂う。

 異変がおこったのはその時だった。黒い円の収縮が止まった。やがて中心から盛り上がり、次第にモヤの濃さが増してきた。

『ジーナ、どうしたのだ?』

『判らない。だれかが向こうから押しているみたいだわ。』

 ジーナはレグルスに続いて同じ古代語を唱和しはじめた。これもかすかな記憶にあった、ソフィーおばあさんの子守歌の続きに思えた。

 レグルスとジーナは押してくる圧を食い止めようと必死だった。

 ジーナの体も汗ばんできた。

 中央に再び横たわる影が現れた。兵卒長ゲオルギーではない、痩せた体の、おぼろな影。その影はやがてくっきりとした形に浮かび上がる。ジーナに見覚えのある人。

 数十日前、同じこの場所で心を失われたルロワその人。その体は二階の部屋で横たわっている筈だった。これは過去の残像とも思えた。ジーナの頭の中にルロワの声がこだました。

『お前、助けてくれ、助けてくれ。』

 その影は救いを求める様にジーナの方へ漂ってくる。

 ジーナが、横たわるルロワの影に近づこうとした時、その影の背後から黒い手首が現れた。思い出したくもないまがまがしい記憶。かつてジーナが切り落とした、アルゲニブの指輪がはまっていた手首の残像に違いない。

「おお!」

 レグルスが驚きの声を出した。同時にレグルスが作り出した結界が消える。しまった、とレグルスは思ったがすでに遅かった。結界を構築していたバリアは完全に消滅していた。

 向かって来る手首を、手にしていた文様の杖ではたき落とした。その手首は床を這いながらも失われた結界の外へ出てゆこうとする。

 ジーナはその黒い手首へ向けて文様の杖をふるったが届かなかった。

「バウ、そいつを外へ出さないで!」

 這い回る黒い手首にバウがかみついた。その手は煙に変りバウの周囲に漂っている。興奮したバウの目が赤く光っていた。

 レグルスの力が抜けたせいか、異界から押してくる力に負けて、閉じかけていた異界への扉が再び開き始めていた。ジーナは以前魔方陣へ斧で傷つけた場所、木炭で修復してあった箇所へ炎の矢を放った。木炭の絵柄が燃え上がる。

 中央からの圧力が急に失せた。バウにまとわりついていた黒い煙は閉じつつある異界の扉へ吸い寄せられていくが、異界への扉が完全に閉じてしまうと、逃げ遅れた黒い残滓はいつまでもジーナの周囲にまとわりついている。

『アルゲニブ、私の廻りに何かがいるわ。きっと異界のケルバライトさんの左腕だわ。どうしよう?』

『ジーナ、そいつが漂っているのは、ジーナじゃなくて私のせいかもしれないぞ。』

『どっちでもいいけど、なんとかできる?』

 アルゲニブからの返事は無かったが、まとわりついていた黒い影は薄くなり、消えた。

『アルゲニブ、消えたわよ。』

『ジーナ、私を見てくれ。』

 ジーナは左手をかざして、その指にはまっている異界の指輪、アルゲニブを見た。銀色一色だったそれに黒いまだら模様がついている。

『どうやら私は魔力の左手を吸い取ってしまったらしい。』

『大丈夫なの?』

『この左手は強い自我を持っていなさそうだ。単にいく場所を求めていただけなのだろう。』

『じゃぁアルゲニブ、仲良くするのね。』

 ジーナは再び魔方陣の中央を見た。そこで人の形に漂っていたルロワの影は次第に薄くなり、やがて消えた。もちろん、異界への扉は完全に閉じた後だった。


 レグルスは異界の扉が閉じた時の衝撃でよろけ、床へ片手をついてしまっていた。それでも向かいに立つ若い魔術師ケルバライトから目を離せなかった。異界の扉から突き出た、得体の知れない左手の形をした黒い煙。果敢にも立ち向かっていくケルバライトとその飼い犬。レグルスには瞳が赤く光った黒犬が魔犬に見えた。そうでなければ黒い影をかみ砕くなど、できる筈がない。

 そしてケルバライトが放った炎の矢。その意味が、魔方陣を不完全な形にする事である事はレグルスにもすぐに理解出来た。

 レグルスが思いにふけっていると、大がらな人物に見えていたケルバライトの体が小さくなり、少女へと変身した。そこに立っているのはジーナだった。だがその姿はすぐに小柄な魔術師ケルバライトへ戻った。レグルスは理解した。兄妹だと思っていた、あの二人は同一人物だったのだ。

「大丈夫ですか?」

 そのケルバライトがレグルスに近づきながら訊いてきた。レグルスは立ち上がって答えた。

「うむ、大丈夫だ。どうやら無事終わったらしい。ケルバライト殿、ありがとう。あなたの炎の矢で救われたようだ。」

 そういってレグルスが指したのは魔方陣の傷がある所だ。そこの木炭で修復した場所が灰となって、斧の傷跡がむき出しになっていた。

「この傷が無ければ、魔方陣を閉じる事が出来なかった。」

「魔方陣が開き続けるとどうなっていたのですか?」

「両方の世界にある存在の一部が交錯してしまっただろう。」

「私やレグルス殿が消えてしまう、という事ですか?」

「そのために結界を作ったのだが、私の未熟さのために途中で消えてしまった。」

「レグルス殿、私には、異界の何者かが異界の扉をこじ開けようとしていた様に見えました。」

 たしかに、あの魔方陣の盛り上がりは異常だった。そして手の形をした煙。ジーナは、まるであのとき、ルロワが倒れた時へ逆戻りした様な気がしたのだ。

「私もだ。」

 レグルスが言った。

 ジーナの靴先に何かが当たった。指輪だ。

 ゲオルギーがつけていた魔石のかけらから出来ている指輪だろう、と思った。

『ジーナ、あの指輪に意識を感じる。』

『アルゲニブ、私もよ。』

 ジーナは足下に転がっている指輪を拾った。兵卒長ゲオルギーが付けていた、魔石のかけらから作られたであろうその指輪は、黒いまだら模様がついていて、とても魔族が付けている指輪とも、魔術師が付けている指輪とも違ったものになっていた。

『私が燃やしちゃったのかしら?』

『いや、違うだろう、中央にあったこの指輪のところまでは炎は届かなかったと思う。』

『そうよね。』

 拾い上げた指輪から鼓動の様な、息づかいの様な脈圧を感じた。指にはめて見る。

『助けてくれ』

 ついさっきこだましていた、聞き覚えのある声がジーナの心に響いてくる。これはルロワだと直感的に思ったジーナは二階に眠るルロワの部屋へ駆け下りた。驚いたバウが後を追ってくる。

「どうしたのだ?」

 そう問いかけるレグルスの声が背中に聞こえる。

 突然走り出したケルバライトにレグルスは驚き、すぐに後を追った。若いケルバライトとその犬は石階段を駆け下りていく。レグルスは急ぎ足で階段を下りたが、若いケルバライトとその犬はすぐに見えなくなった。

 ルロワの部屋に飛び込んだジーナは、老人に変り果てたルロワの左手薬指にその指輪をはめた。よく見ていると、指輪についた黒いシミが次第に薄くなってゆく。しかし、寝たきりのルロワに変化は無い。ジーナの後を追って部屋に入ってきたバウの頭を撫でてやる。レグルスも息を切らして部屋へ入ってきた。

「ケルバライト殿、どうしたのだ?」

 ジーナはルロワに付けた指輪を指して言った。

「この指輪からルロワの意識を感じたので、もしかしたらと思って。」

「ケルバライト殿は指輪からそういったものを感じとれるのかね?」

 ジーナはそれを教えてくれたのが、異界の指輪であるアルゲニブである事を言う訳にはいかなかった。アルゲニブの存在はジーナしか知らない秘密なのだ。また、異界の指輪アルゲニブとの付き合いから、常人よりは指輪に対して敏感であったのかも知れない。

 二人が見つめる中、ルロワの目が開いた。

「ここはどこだ?」

 寝たままのルロワがしわがれた声を出した。

「おお!」

 思わずレグルスがルロワの手を握って言った。

「ここはガサの町にある魔術師の塔だ。」

 ルロワが再び尋ねた。

「それはどこなのだ?」

「目覚めたのかね?」

 レグルスがルロワの瞳を見つめて言った。

「あなたはどなたですか?」

「私はレグルスだ。覚えていないのかね?」

「判らない。長い間、助けを求めていた様な気がする。私は誰ですか?」

 どうやら記憶を失っているらしい。ルロワの名を言おうとしたジーナだったが、死んだ筈のルロワの存在を魔術師会に知られる訳にはいかないと思い躊躇した。

「あなたはラザレスだ。ここで働いていたのだが、病気で長い間意識を失っていたのだ。」

 ルロワの顔を見てレグルスが答えた。

 ジーナが初めて聞くな名だったが、レグルスもルロワの存在を隠したがっている事はわかった。

「ラザレス、私はラザレス」

 寝たきりの彼は何度もその名を繰返した。

「あなたは長い間病気で寝たきりだったのです。今は深夜。詳しい事はあすお話ししましょう、今日はゆっくりお休み下さい。」

 魔術師姿のジーナがそう言うと、ラザレスは一度大きな深呼吸をしてからまぶたを閉じた。どうやら眠りについたようだ。ジーナは元の色に戻った魔石のかけらの指輪をラザレスからそっとはずした。


 レグルスとジーナ、バウは部屋を出た。レグルスは魔術師姿のジーナに向かって言った。

「あの男はラザレス。この塔で私の世話をしていた老人だ。そういう事にしよう。明日、皆にそう説明する。」

「ラザレスというのは架空の人物ですか?」

「いや、実際にいた人物だが私が幽閉されている間にいなくなったのだ。ルロワ達に殺されたのか、追い出されたのかは判らないが戻る事はないだろう。明日、皆に紹介しょう。」

 レグルスはそういった。

「レグルス殿、お願いがあるのです。明日から一週間ほど出かけたいのですが、よろしいでしょうか?」

「なにかあったのかね?」

 どう言えばいいだろうか。息を吹き返したルロワ、いやラザレスの事も気になるが、なんと言っても北サッタ村にいるソフィーの事が気がかりだった。

 また、ジーナは魔術師ケルバライトとしてレグルスの前にいる。女性姿の時はジーナ。一人二役をしているため、ケルバライトがいなくなると、必然的にジーナも姿を消さなければならない。レグルスは二人が兄妹だと思っているらしい事は薄々感じている事だった。

「急ぐのかね」

「雪が降る前にガナラ山の麓へ薬草を採りにいって来ようと思います。薬草に詳しいジーナを連れていきます。魔族兵士の治療に薬草を使い果たしました。すぐにでも出発したいのです。」

 レグルスはその言葉が、一人二役のジーナの言い訳である事にすぐ気づいたが、その事は自分の胸にしまっておく事にした。勿論、目の前に立つ、ジーナが扮する魔術師ケルバライトにも。

「判った。魔術師会から問い合わせがあった時には、私が命じた事にしておこう。ガナラ山は雪が降っているかも知れない。山には近づかない方がいいだろう。特に寒さには気を付けて。」

「はい。」

 ジーナは一階にある自分の隠し部屋へ戻って旅の準備をした。

『ジーナそんなに着る物を持って重くないのか?』

アルゲニブが聞いた。

『ガナラ山はもう雪模様よ。たくさんもっていないと凍え死んじゃうわ。それに元の姿に戻った時、着る物がないでしょう?』

『ジーナの魔術師姿は十分に魅力的だと思うんだがな。』

『じゃあ、私は女としての魅力がないってアルゲニブは思っているのね。』

 ジーナの機嫌が悪くなった事を感じたアルゲニブは、言い過ぎたと思ったがすでに遅かった。

 ジーナは女性姿の時に身につけている旅用の服や外套を丸めて荷物にして背負い、その上から魔術師のマントをはおると塔の外へ出た。


 月は傾いているが、陽が上るにはまだ時間がありそうだった。

四章 「ギロの魔術師」での主な登場人物


ジーナ………………………旅の少女(魔術師としての別名ケルバライト)

アルゲニブ…………………ジーナの左手薬指にはまる、自我を持つ異界の指輪

バウ…………………………ジーナの飼い犬、狼との雑種犬

レグルス・アヴァロン………魔術師の塔に住むガサの魔術師長

エレナ………………………魔術師の塔の使用人

ニコラ………………………塔の使用人、エレナの祖父

ルロワ………………………祠祭師の一人息子、ルロワ改めラザレス

フーゴ、ハンス……………見習魔術師

シンディ……………………塔の同居人元旅芸人一座の子供


ダン…………………………ガサの鍛冶屋

ビル…………………………ダンの使用人

フレッド……………………港町の紙商人

アラン・ブランデル………ガエフの警備兵


ダミアン……………………盗賊、港町の破落戸

トッシュ……………………ギロのならず者

ドーラ………………………トッシュの妻

ハリー、フロル、ニック…トッシュの使用人

ミラ…………………………ハリーの姉

ゼップ………………………ギロの闘犬師

ゲオルギー…………………ガサの町の突撃兵兵卒長

エドモンド…………………ガエフの強盗団首領

アレックス…………………ガエフの紙商人


ランダル・バックス………ガエフの大魔術師長

サイラス、ヴァル…………ガエフの魔術師

シャロン・ベイトン………港町ギロの魔術師長

ジェド………………………港町ギロの魔術師

ゴラン・メリコフ…………ダンク王の専属魔術師


「ジーナ 四章 ギロの魔術師」が終了しました。

ここまでお読みいただき有り難うございました。

思いがけず四章だけで十六万字(全体で四十七万字)を越える長編となってしまいました。

 

「五章 北の村人」(仮題)は短編の予定です。

今後もよろしくお願いいたします。

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