三十九 新しい仲間達・新しい生活(二)
ジーナ達と別れたフーゴとハンスは港町ギロへの道を歩いていた。ガエフの町で買ったマントが肩に重かったが、指にはめられている魔力の指輪のほうがいっそう重く感じていた。
「フーゴ、ごめんね。ちゃんと試験に合格したのに、僕の為に失敗した事になってしまうなんて申し訳ないよ。」
「いいんだよハンス、俺たち二人とも港町ギロの魔術師の館では下っ端で、いつもジェド様に虐められていたんだ。君の失敗のおかげでガサの町に移動できるんだから。」
「ジェド様の虐めに他の魔術師は誰も助けてくれなかったね。」
「それはそうさ、ジェド様の後ろにはシャロン魔術師長様が控えておられるのだからね。俺たち若造をかばって睨まれたら港町ギロの魔術師の館には居られなくなるよ。」
「でも、ケルバライト様は僕たちを助けてくれたよ。」
「あれは旅の途中だからさ。長い物には巻かれろ、とよく言うだろう。ケルバライト様だって魔術師の館の中では俺たちをかばってくれないかも知れないぜ。」
「僕たち、早く一人前になってジェド様を見返してやりたいな。初級試験に合格したのだから次はジェド様と同じ中級試験だね。」
二人はガサの町での生活に期待を持っていた。
「ジーナは気前がよかったね。僕達にマントを買うお金をくれたりして大丈夫なのかな。」
「いつか返さないといけないな。」
「でもフーゴ、いつ返せるか分からないよ。僕たち、小遣い程度しか貰えてないもの。それにしてもジーナは旅慣れていたね。」
「歳はまだ俺たちとそう違わないと思うんだけど、ジーナは大人だな。ガサの町へいったら少しずつでも借りたお金を返すよ。レグルス様の気前がよければ、の話だけれどね。」
二人は往復一週間の短い旅を終えて港町ギロの魔術師の館へ到着した。
「ハンス、ジーナの事は内緒にしておこうよ。」
「どうしてさ。」
「俺たちを助けてくれた事で、ジーナがジェド様やシャロン魔術師長様に目を付けられてはいけないだろう。」
「分かったよ。フーゴはよく気がつくね。」
陽はまだ暮れていなかった。二人は魔術師の館に入っていった。
二階にあるジェドのいる執務室へ入った。ジェドは他の魔術師達と机を並べて書類を見ていた。
「ジェド様、ただいま戻りました。」
「なんだ、お前達。二人共初級試験に落ちるなんてだらしがないぞ。いままで何を勉強していたんだ。」
魔術師を示しペンダントを胸の奥にしまっていた為にジェドは二人が失敗したと勘違いした。
「ジェド様、二人共合格しました。条件付きですけれど。」
そう言って二人は胸の奥からペンダントを出してみせた。
「お前達、偽物を作ったのではないだろうな。」
二人共合格してしまうと、今までの様に雑用に使う訳にいかなくなる。二人とも合格するとはジェドは思っていなかった。特に不器用なハンスは合格する筈がないと思っていたのだ。
「だいたいその生意気なマントは何処で買ったのだ。そんな金を持っていたのか。」
ハンスが何か言いかけるのを遮ってフーゴが答えた。
「ジェド様、このマントはガエフの町にあった古着屋で買ったものです。僕たち、この時の為に少しずつ貯めたお金で買ったのです。とても新品は買えませんでした。」
勿論、ジーナから貰った金貨で新品を購入したのだが、三日の旅で汚れている。言われれば古着に見えなくもない。
「お前達、マントは魔術師としての誇りでもあるのだ。古着屋から買う等とは言語道断だ。しかし、大して魔力のないお前達にはお似合いかも知れないな。」
ハンスは拳を握りしめて我慢していた。フーゴが言った。
「魔術師長のシャロン様へ、ランダル大魔術師長様からの手紙を預かって来ました。」
「どれ、見せろ。私からシャロン殿へ渡しておこう。お前達が一週間も留守にするから館が汚れてしまった。これからの一週間は休みなしだぞ。」
手紙を受け取ろうとしてジェドが手を出した。
フーゴは出された手を無視して言った。
「ランダル様は手紙を本人に直接渡すようにとご命令されました。」
そう言って手紙の封印を見せた。
「しょうがないな。二人ともこい。シャロン様の部屋へいくぞ。」
ジェドは二階の突き当たりにある部屋の扉をノックした。
「だれた。」
「ジェドです。」
「入れ。」
ジェドが扉を開けた。
シャロンの隣にはフーゴにも見覚えのある、胸が大きく開いた服を着た居酒屋の女が立っていた。シャロンの片手が女の体に触れたままだ。部屋は女の香水が充満していた。
ジェドに続いて部屋へ入ろうとする二人の顔を見たシャロンは、慌てて女から手を放した。後ろめたさも手伝って二人の若者を叱責する。
「なんだ、出来損ないの二人か。お前達に入って良いとは言っていないぞ。私は忙しいのだ。早く下へいって掃除でもしていろ。試験に受かった者だけジェドから仕事を貰え。」
フーゴがシャロンに手紙を差し出しながら言った。
「シャロン様、二人とも試験に合格しました。その件でランダル大魔術師長様から手紙を預かっています。」
フーゴは居酒屋の女を無視してシャロンの机の上に手紙を置いた。忙しい筈のシャロンの机には書類が何も乗っていなかった。シャロンはナイフで手紙の封を切り、読み始めた。
「ジェド、こいつら二人は失敗しながらも試験には合格したようだ。失敗した罰としてガサの町にある魔術師の塔で下働きをしろ、と書いてある。俺なら即失格だが、お優しいランダル様は条件付きで合格を認めたようだぞ。」
ハンスは思わず言った。
「ランダル様は優しいお方ですけど、仕事中に女を相手にしたりはしません。」
女がハンスの顔を睨んだ。
フーゴはシャロンの顔色が変わった事に気付いたが、ハンスは更に言葉を続けようとしている。
シャロンが怒鳴った。
「初級試験で失敗するとは前代未聞だ。この通達は全魔術師会に発行されている。お前達は港町ギロの魔術師の恥だ。今すぐ荷物をまとめて消えろ。」
ジェドが慌てて言う。
「シャロン様、それではこの館の下働きをする者がいなくなってしまいます。」
「町の者を見習魔術師として雇え。ジェド、その位頭をつかってくれ。さすがの俺も大魔術師長様のご命令には逆らえないからな。」
フーゴとハンスはシャロン魔術師長の気が変わるといけないと思い、慌てて自分達の寝室へいき荷物をまとめ始めた。荷物といっても着替えとダガーや食事用ナイフ、小物をまとめるだけですぐに終わった。
ハンスにとって辛い思い出しか無い生活だったが、それでも数年フーゴと二人で暮らした部屋だ。二度と戻る事が無いと思うと涙がにじんできた。部屋に忘れ物が無い事を確認してから連れ立って館を出た。
「ハンス、たいして荷物は無かったね。」
「うん、考えて見ればシーツもベッドもみんな館の物だし、自分の物を買うほどお金を貰っていなかったしね。これからいく塔のレグルス様の気前が良いといいね。」
「俺は金なんかよりも魔術について勉強したいな。港町ギロの館では雑用ばかりで何も教えて貰えなかった。」
虐められ、昼夜雑用に追いまくられる二人だった。まともに魔術の勉強などさせて貰えなかったのだ。
思い出話はつきなかった。やがてガサの町にある魔術師の塔が見えてきた。塔の大扉が開いていて、老人が草刈りをしていた。フーゴが声をかけた。
「今日は、ケルバライト先生かレグルス様はいらっしゃいますか?」
ニコラが振り向くと、魔術師のマントを着た二人の若者が荷物を抱えて立っていた。まだ幼さの残る顔を見る限り、魔術師にはとうてい見えなかった。
「レグルス様ならいらっしゃるが、若い魔術師様がどんな用かな。」
「俺たち二人、今日からここへ勤める事になりました。」
「なにも聞いていないぞ、レグルス様もそう言う事は先におっしゃれば良いのに。」
「違うんです。今日決まったばかりなのでレグルス魔術師長様はまだご存じないかも知れません。」
ニコラは人気のない大広間へ向かって大きな声を出した。
「エレナ、レグルス様をお呼びしてくれ。お客さんだ。」
どこで鳴らしているのか、澄んだ鈴の音が聞こえた。暫くしてレグルスが大広間の階段を下りてきた。
「エレナ、誰がきたのかね。」
フーゴは荷物を床に置いて挨拶をした。
「レグルス様、ご無沙汰していました。港町ギロのフーゴとハンスです。ガエフ公国のランダル大魔術師長様のご命令でこちらへ移動してきました。よろしくお願いいたします。」
そういってランダルからの手紙をレグルスに渡した。
レグルスはその場で封を切り、読んだ。ケルバライトの手紙とほぼ同じ内容が辞令書になっていた。公式文書だ。
「ランダル殿はこの塔で何をしろと言っていたかね。」
「塔で下働きをしろ、との事です。」
「分かった。ニコラ、二階の南側の兵士用の部屋へ案内してやってくれ。二人はまだ半人前だ。同じ部屋で良いだろう。詳細はケルバライト殿と相談してから決めよう。それまではニコラの手伝いをしてくれ。」
レグルスは三階の自室へ戻った。
洗濯物を干していたジーナとシンディが裏口から大広間に入ってきた。
「あら、フーゴにハンス、もう来たの。気が早いわね。」
「魔術師の館を追い出されたんだ。」
ハンスが口を尖らせながら言った。
ジーナの懐からネズミが顔を出した。
「ジーナ、そのネズミ、ずっと持っていたんだね。」
「離れたがらないのよ。レグルス様とはもう会ったの?」
「うん、二階の部屋を寝室にしろとさ。」
「丁度良かったわ。フーゴに頼みがあるの。シンディの面倒を見ていてくれるかしら。私、一度宿へ戻らなければならないの。シンディ、フーゴと一緒にいてね。」
「分かった。ハンスと二人で面倒を見るよ。」
ジーナは塔を出て、周囲の気配を探る。ニコラは反対側で草刈りをしているらしい。周囲に人気が無いのを確認してから隠し扉を開けて再び塔の中に入った。大広間脇にある隠し部屋だ。隣に隠し武器庫がある部屋だ。
武器庫への扉をあけるには、割り符代わりとなる文様を書いた石を、壁の文様に合わせる必要がある。ジーナはその仕掛けを開けて武器庫へ入った。
旅に出る前に隠して置いた貴重品とダンが作ってくれた鉄製の杖、ローゼンのダガーがそのままになっていた。
旅の間持っていた杖を元の場所に置き、ダンが造ってくれた鉄の杖を手にした。
貴重品の中から、いくらかの金貨と銀貨を取り出した。タリナの宿代を払う必要があるからだ。
しかし、シンディの面倒を見る必要もある。このまま無職でいると、蓄えもいずれ底をつくだろう。なにか考える必要がありそうだ。
再び荷物を背負い、隠し扉を元に戻してから塔の外に出た。まだ明るいが、気づいた者は誰もいない。
塔の裏には下の川へ落ちる滝があり、川に沿って道が通っていた。ガエフの町で捕まったジョンと戦った道だ。ジーナは下の川へおり、滝横の洞穴へ入った。中は暗く湿っている。中で座り、モグラを呼び寄せる。モグラと会うのはレグルスを救って以来だ。ネズミを懐から出してモグラと対面させた。
「モグラさん、新しい仲間よ、仲良くしてね。」
心で仲間のサインを送る。挨拶のつもりだろうか、ネズミとモグラは鼻をつき合わせて互いの臭いを嗅いでいる。
ジーナは二匹を置いて洞穴を出た。
宿へ帰ると、エマが一階にある居酒屋で開店の支度をしていた。
「あら、ジーナ久しぶりね。旅は大丈夫だったの?」
「ええ、大丈夫よ。変わった事は無かったかしら。」
「いつも通りの平穏な一週間だったわ。」
ジーナは二階の自分の部屋の扉を開けた。
賊が入った様子は無かった。窓を開けて空気を入れ換える。旅で汚れた服を着替えた。
久しぶりにダンの鍛冶屋の裏にある鍛錬用の場所へ行った。
ダンが店に居なかったのでひょっとして此処にいるかとも思ったが、誰もいない。ジーナはスカートをたくし上げた。中に短く切ったズボンをはいている。これなら下着を見られる事なく動ける。
二時間汗をかいた。バウが枯れ草をかき分けて顔を出した。杖を草むらに置いて、バウと地面を転げ回る。せっかく着替えた服がまた汚れてしまったが、ジーナとの間にいつもシンディがいた事でストレスが溜まっていたのだろう。バウは思い切り甘えてくる。
ジーナはバウを横抱きにして寝転がった。陽は落ち始め、風もかなり冷たくなっている。見習魔術師二人とシンディの明日からの生活を考えなければならない。特に修行中の二人を遊ばせて置く訳にもいかないし、レグルスが細かい生活まで指示するとは思えない。
『アルゲニブ、どうしたら良いかしら。』
異界の指輪であるアルゲニブに問いかけるが答えは返ってこなかった。ジーナはバウを抱いたままいつの間にかねてしまっていた。
ジーナは寒さで目覚めた。辺りはすっかり暗くなっている。今夜は若者達の今後の事について、レグルスと打ち合わせをしておく必要がある。
バウと共に宿へ帰り、黒緑色の、男物の服に着替え、レグルスから譲り受けた魔術師のマントをきる。腰には二本の鎖を巻き、ダンが作ってくれたダガーを吊す。
鎖の先には鎌の刃が折りたたまれている。これに、塔へ置いてきた紋章の杖を手にすれば男姿でのジーナならぬケルバライトの正装となる。
バウに再び鎖帷子を着せ、黒毛に変身させる。
『アルゲニブ、魔術師の塔でマスクを取ったら、ケルバライトがジーナの変装だという事が分かってしまうわね。どうしようかしら。』
『ジーナの瞳の色は黒だが、別の色に変える事は出来るぞ。異界でご主人だった魔法貴族のケルバライト様は緑色の瞳をしていた。』
ケルバライトというのは、アルゲニブの元の持ち主の名で、ジーナがその名を勝手に借用しているのだ。
ジーナは、ガエフ公国にいたとき、ランダル大魔術師長の前で、ジーナとケルバライトの、両方の素顔を見せていた事を忘れている。アルゲニブの持つ特性のためか、異界に実在する魔法貴族ケルバライトの効果なのか、ランダルには、『似てはいるが別人だ』と誤認させる事が出来ていたのだが。
『変わるのなら何でも良いわ。バウみたいに髪の毛の色も変わると良いのにね。』
『瞳の色を緑色にしたぞ。』
『アルゲニブ、周囲が明るく感じるわ。』
『魔法貴族だったアルゲニブ様は夜目がきくお方だったからな。』
『ジーナ、異界のご主人様の腕を切った時の武器は何処かにあるか?』
『何故なの?』
『あのお方の血を手に入れる事が出来れば、可能かも知れない。』
『無理ね。ダンの事だから、あの斧はとっくに手入れをしているわよ。さあ、行きましょう。』
ジーナは髪を上着の中に入れ、ガエフで買った黒い帽子を被った。勿論、白いリボンを黒いリボンに付け替える。ガエフの祭りの象徴である五角形の飾りを外した。
『アルゲニブ、飾りを止めていたピンの穴が気になるわ。』
『遠目には見えないから無視しても良いだろう。』
『でも、やっぱり気になるわ。』
気にするなら変装の出来具合だろうとアルゲニブは思ったが、言わない事にする。小さな穴が気になるのも、目がよく見えるようになった為かも知れないとも思った。いずれにしても細かい事に拘っているジーナに逆らうと、しつこく食い下がってくる癖がある。女性とはこういうものなのだろう、とアルゲニブは自分自身を納得させた。
日が暮れて暗い道を塔へ向かった。魔術師の塔の全ての扉や窓は閉まっていた。ジーナは隠し扉から隠し部屋へ入り魔石の腕輪の力を借りて塔全体の気配を窺った。一階の大広間には誰もいない。
ジーナは大広間へ出て、足音を立てずに階段を上る。バウもジーナも気配を消す事が身についていた。癖といっても良かった。
三階のレグルスの執務室の扉をノックした。
「レグルス殿、戻りました。」
「おお、アルゲニブ殿か。手紙は読んだが、若い二人が今日来てしまった。どうやら港町ギロの館を追い出されたらしい。」
「レグルス殿、若い二人の魔術の修行はどの様にすれば良いでしょうか。」
「魔力を強めるには体力を鍛えると同じ様に日々の鍛錬が必要なのだ。」
「ガエフの魔術師の館にいる魔術師達はみな軟弱に見えました。あれでも魔力が強いのでしょうか。」
「指輪のせいなのだよケルバライト殿。魔力の指輪は自分の力を増幅してくれる。従って自分で鍛錬を必要としないのだ。知識と基本的な魔力を持っていればある程度の魔術を使う事ができる。」
レグルスが若い時には魔力の指輪なる物を使用する魔術師はいなかった。その代わり、魔術師と言える者もまれであった。しかし、魔術師会が魔力の指輪を作り出す様になってから魔術師の数が一気にふえた。指輪をはめていると、多少の魔力があれば魔術師と呼べるだけの魔力を発揮する事ができるのだ。
最近の魔術師は鍛錬という努力を怠るようになってしまった。また、魔術を支えるだけの基礎体力も必要だとレグルスは思っていた。
「レグルス殿、若い二人に魔力の指輪の使用を禁じたらどうでしょう。指輪を使わずに日常的に魔術を使い続けていれば知らずして鍛錬されると思う。しかしそれだけでは魔術の知識を増やす事はできない。私が彼らに教えられればよいのですが、私は魔術を教える程の知識は持ち合わせてはいない。」
「分かった。私は今、過去に研究してきた魔法陣の整理をしている。彼らにその整理を手伝わせよう。表だって魔法を教える事は出来ないが、様々な魔法陣の形を目にする事は彼らの役にたつだろう。かれら二人はあくまでも下働きの為にきているのだ。私が魔術の指導をすると港町ギロのシャロンから苦情がきそうだからな。」
「レグルス殿、ダンの鍛冶屋にビルという子供がいる。彼にもその整理を手伝わせて欲しい。つれて来たシンディとも歳が近いし、遊び相手にも良いと思う。」
「町の者に魔法陣が分かるのかね。」
「基本は覚えていると思う。」
レグルスは不思議そうな顔をした。町の者が魔法陣を知る訳がないからだ。レグルスは老齢の身である。細かいことは目の前にいるケルバライトに任せよう。そして自分は魔法陣の研究に専念しようと思った。
「塔の細かい運営はそなたにお願いする。歳の私は細かい事が苦手なのでな。」
「レグルス殿、ガエフの魔術師達は力仕事を兵士や従者にやらせていた。あれでは一人で旅をする事もままならなくなる。若い二人には、町で仕事をさせて体を鍛えさせようと思う。」
「確かに船のこぎ方や馬車の扱いを覚えておく事は将来の為に無駄にならないだろう。ケルバライト殿に任せよう。」
レグルスは、若そうなこの魔術師が、まだ子供でもある二人の見習魔術師をどの様に教育するのか見守ろうと思った。