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「大好きだった花売りのNPCを利用する事にした」  作者: ひとみんみん


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「魔女のスキルをようやく思い出せた」【魔王の両手】

「クアト! フローリア! だめよ、死んでは! 大好きだからアタシを置いてかないで!」


 遠くで、せっちゃんの声が聞こえる。

 ……せっちゃんがいつものツンデレじゃない。


 真っ暗だった目の前に、


『『よみがえり』自動発動!』


 との光る金色の文字が見えた。


『クアトが現世に戻りました。

 フローリアが現世に戻りました。

 フォーが現世に戻りました。』


 続いて製作者の露骨に趣味全開のような不思議アナウンスが文字と共に流れる。


 フローリアちゃんが無事で良かった。

 僕の視線の先には、「えっ?」というような顔をしたフローリアちゃんが居てかわいかった。

 ……って、あれ?


 僕の頭の中で全てが繋がった。


「そうか! そういう事か!」


 僕の第一声は自分でも驚いたけど、納得の言葉だった。


 異世界転生する時に、前世の記憶を無理やり引き継いで赤ん坊からスタートした僕は大半の事を忘れていた。(赤ちゃんの脳に成人男性の記憶ってなかなか入りきらないんだよね、多分)

 特にせっちゃんはパーティーに入れないから印象が薄くて、そのスキル技をすっかり忘れていた。

 NPCキャラクターの魔女セイイは、魔法攻撃力が高いけれど、その魔法攻撃力と引き換えになのか使い勝手がとても悪かった。


 何故か?


 スキルが自動発動するのだ。

 しかもリアルタイムで1日に1回。


 タイムアタックダンジョンで冒険者たちを殴って戦闘不能にしている魔女だからこそなのか、不思議なスキルを持っていた。

 その名も製作者の中二病爆発スキル『よみがえり』。


 1日に1回、同タイミングで戦闘不能になったパーティーメンバーを蘇らせる。


 それだけならばむしろパーティーに入れた方がいい。

 だけれど、製作者がなんと思ったのか、生き返って新しい人生を歩め! とばかりにレベルはそのままで今まで自分が過去選択してきた職業からランダムで強制転職し、もう一回ステータスがレベル分割り振りなおされる。


 これは酷いスキルとして話題になった。

 何せバトル中に死んだら強制転職、装備変更、ステータス振り直し。

 自分だけでプレイしてても、NPCを連れて人とプレイしてても大迷惑スキルだ。


 絶対に自分はバトル中に死なないという確信がないと「魔女のセイイ」を連れていけない。

 玄人中の玄人向けか、あるいはお遊びか。


 せっちゃんには悪いけれど、事前にこの情報を思い出していたら、パーティーには入れていなかった。


『唯一のNPC『花売りのフローリア』が攻撃されて殺されたため、復讐システムが発動します!』


 そして、ゲームにはなかった妙なアナウンスが流れる。


 ドガーン!!!


 僕の耳をつんざくような爆発音が響く。


 目の前で『魔王の左手』が爆発してバラバラの粉々になっていた。

 これは元のゲームにはなかった。

 そもそもフローリアちゃんをゲーム内でも戦闘不能にしたことがないから知らない。

 でも、攻略サイトでもそんな情報はなかったなぁ。


「きゃーっっ!! って、あ、そこまで怖くない?」


 目の前で爆発した巨大な手を見て、フローリアちゃんがリゾッタの風船が爆発した時のような悲鳴をあげたが、直後に首を傾げた。


 フォーは銃を構えたまま固まっている。


「あ、クアトくん☆ それ新しい装備早着替えしたのかな? いいね☆ 生きててよかったけど、話はあとであとで☆ 攻撃よろしく☆」


 リゾッタが僕にウインクしてから『魔王の右手』にナイフを投げる。


「クズ、着替え、ない。クイック! シャープ! ヒール!」


 ベリーちゃんがバフと回復を掛けなおしてくれる。


「え、着替え? あっ」


 僕の装備はなんと剣士の上位職『魔法騎士』の白銀の固定鎧に変わっていた。

 つまり、僕は今『魔法騎士』?


 しかし、それをしみじみと味わう間もなかった。

『魔王の右手』が5本の指で『指差し』を始める。


 いつの間にか風は止んでいた。


『魔王の左手』がいなくなった影響という設定なのか、『魔王の右手』は『左手』がいなくなると、尖った木を5本の指が差したところにすごい勢いで生やし始める。


 僕は『魔王の右手』に木を避けながら、『魔法騎士』のスキル「火炎剣」を放った。


 その僕の横に、片手で剣を持ち、片手でワゴンを押すフローリアちゃんが並ぶ。

 打ち合わせ通り風が止んだから、『絶対花売り』の本領発揮だ。


「花は要りませんか? 一輪銀貨9枚です!」

読んで下さってありがとうございました。

もし良かったら評価やいいねをよろしくお願いします。

また、私の他の小説も読んでいただけたら嬉しいです。

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