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「大好きだった花売りのNPCを利用する事にした」  作者: ひとみんみん


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「踊り子さんがなかなかなキャラだけど、魔王を倒したら解決するはず」

※フローリアちゃんがリゾッタと魔女の事を心の中では呼びつけにしているのは、心の距離的な問題でしていて、私の書き間違いじゃないです。リゾッタと魔女とのやりとりのせいでちょっと心の距離があるので、そんな感じ。

「なるほど、クアトくんが言ってた助っ人って踊り子さんのことだったのね」

「そうなんだよ。なかなかなキャラだけど絶対次の海のステージで役に立つし、魔王戦でも役に立つから」


 私はクアトくんの得意そうな解説に頷いた。

 やっぱりクアトくんは色々不思議な事を知っている。

 初めはカジノにきてどうするんだろう、と思ったけれど来てみて納得だ。


 私は安心して、クアトくんに貰った左手の指輪をそっと撫でた。

 ……指輪を貰うのなんて生まれて初めてだ。

 しかもこんな綺麗な指輪。


「クアト氏、クズ。我、踊る。仲間、ない」


 ベリーさんが片言気味で喋っているのを、「なかなかなキャラ」とはこういうことかと思った。

 クアトくんは「クズ」でもないけれど、ベリーさんはそういう事を言う人だって知っていたのだろう。


「うん! 良いと思う! 私、ベリーさん好き。仲間になってくれたら嬉しいわね」


 きっとクアトくんが言うのだから何か事情があるのだろう。

 踊ってる様子を見てても、一方的に悪口を言う酷い人には見えなかった。


 私が強制的にずっと花を売っているように、きっとベリーさんも何か事情があるはず。


「私はフローリアって言います。ベリーさん、お友達になってください」


 私がそう言うと、ベリーさんは頷きながら、


「我、ベリー。友達、ない。友達、ない」


 と繰り返している。

 何か伝えたい様子のベリーさんに私はある事を閃いた。


「あのね、違っていたら申し訳ないのだけれど、固定職業の縛りはあのクアトくんと魔王を倒したら解けるのだって。『遊び人のリゾッタ』さんが教えてくれたの。一緒に行きましょう?」


 私の申し出に、ベリーさんは私の手をガッと強く握った。

 そして、涙を流しながら、


「我、仲間、ない。仲間、ない。クアト氏、クズ。仲間」


 と訴えた。

 クアトくんは、……クズではない。


 けれど、何となくわかった。

 他の固定職業の仲間と同じく職業に縛られている人なんだろう。


 私とクアトくんが帰るときにはベリーさんはすがるような目を向けていたので、


「大丈夫。またクアトくんと必ず来るわ」


 と励ますように笑顔で言ったら、ベリーさんは何度も頷いて、


「クアト氏、クズ。仲間」


 と言っていた。

 クアトくんは、……クズ……ではない。

 さすがに固定職業の縛りとはいえベリーさんに戸惑う私に、クアトくんが、


「ベリーちゃんと仲良くなれて良かったね」


 と笑った。

 クアトくんの頭の中でベリーさんの暴言はどう片付けられているのかしら………。


 その後、1か月近くカジノに通ってクアトくんはベリーさんの悪口の洗礼を浴びた。


 私は1週間くらいしたらやけどした足のショックは治って、歩けるようになった。

 けれど、魔導椅子が便利すぎてカジノでは魔導椅子に座っていた。


 カジノに通い続けて1か月後くらいにベリーさんから、


「我、クアト氏、フローリア氏、行く」


 との言葉を貰った。

 めでたくベリーさんがカジノから出て私たちについてくるようになり、リゾッタと魔女にも紹介するのだった。


 ベリーさんのクアトくんへの暴言を他の二人も聞くことになり、リゾッタは、


「わーお☆ クアトくんに本当の事言う人初めて見たー☆」


 って言っていたし、魔女は、


「ちょ、クアト。本当の事って言われても気を落としちゃダメなんだからね!」


 って言っていた。

 ……この二人、本当に仲がいいのよね。


 ま、まあ、これで魔王に挑戦するためのパーティー上限人数5人がそろったはずだ。

 クアトくんが役に立つといっているのだから、次の海のステージでベリーさんがどんな活躍を見せてくれるのかが楽しみだなと思う。

今回も読んでくださってありがとうございました。

次からはようやく海のステージになって、魔王攻略に必要なアイテムを取ります。

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