「花売りのNPCを連れて、お金は稼げないけれどダンジョンカジノに入ってみた」
※ダンジョンカジノではプレイヤーキャラ達はゲームに役立つアイテムしか手に入れられません。コインから金貨への換金はできないし、コインから交換したアイテムは売買不可です。
さあさあ、腕の見せ所だ。
「じゃあ、ダンジョンの転移陣からカジノに飛ぶね」
腕の中のフローリアちゃんに笑いかける。
今日の僕は一味違う。
下手すれば今日やることは戦闘よりも得意だ。
「分かったわ」
フローリアちゃんがコクン……と可愛く頷いた。
今日も推しキャラが最高に可愛い。
僕はダンジョンの転移陣の上に立って、
「カジノへ!」
と宣言した。
ふわっと浮いた感覚があった後、もう目の前はゲームで見慣れたカジノだった。
と言ってもゲームでやっていた時は画面の向こうだけれども。
でも、大体位置関係は分かる。
カジノはゲームの雰囲気と大体同じだった。
日本人がイメージするカジノというか豪華客船の中のカジノみたいな赤と黒と金色が色彩に多い。
ルーレット台やスロット台、モンスターレースの競技場、カードゲームのブースが点在している。
ブースには電飾なのか魔法なのかキラキラ光る看板が飾られている。
そしてその間を黒服の男性やバニーガールが縫うように歩いていた。
もちろんバニーガールはカクテルグラスをトレーに持っている。
客も居て、「いけー! させー!」とか「コインコインうひょひょひょ」とか「勝負じゃ!」とか騒いでいた。
「いらっしゃいませ、ダンジョンカジノへようこそ」
笑顔の黒服の男が頭を下げた。
「あ、どうも」
僕はフローリアちゃんを抱き抱えたままお辞儀した。
そのまま目線を自分の服装にやると、カジノ用のプレイヤー衣装に変わっていた。
男は黒いタキシード、女性はランダムの色のドレスだ。
フローリアちゃんは赤のドレスに変わっていて、ふわっと広がる裾がかわいかった。
「もしよろしければ、お連れ様を魔導椅子にお乗せしますか? 座ったまま難しい操作なしで思う所に動きます」
黒服の提案に、僕とフローリアちゃんが首を傾げる。
ゲームになかったイベントだ。
僕とフローリアちゃんの様子に、黒服の男が微笑んで手の平を別の方向に向けた。
「カジノで魔導椅子はご利用するお客様が多いです。動きたくない、というご要望にもカジノは最大限お応えします」
見ると、華奢すぎる女性が椅子に乗ったまま移動していた。
確かに何かを操作している様子はない。
「あ、面白そう。じゃあ、お願いします」
フローリアちゃんが目を輝かせる。
すると、次の瞬間フローリアちゃんは宝石で飾られた綺麗な椅子に座っていた。
「すごい!」
綺麗な椅子に乗ったフローリアちゃんは、驚くほど人形みたいに可愛かった。
「良かったね」
ゲームよりもフォローが細かいとこってあるんだなあ。
フローリアちゃんはその場でくるりとターンして見せる。
「本当に思った通り動くの!」
はしゃぐフローリアちゃんと、それを微笑ましく見守る僕を見て、黒服は満足したように頷いた。
「では、ダンジョンカジノをお楽しみくださいませ」
「ありがとうございます」
僕がそう返事すると、黒服はどこかへ去っていった。
代わりにバニーガールがオレンジジュースを渡してくるので受け取った。
キラキラ光るグラスに入れられている。
「すごい、私ダンジョンカジノって初めて見たけれど好きになりそう」
「そうだね、僕もダンジョンカジノは好きかな」
好きなキャラにこんなに喜んでもらえるなら提案した甲斐があったと思う。
ゲームに必要なアイテムは集められるし、助っ人も居るし。
さて、ではまず持ってきた金貨50枚をコインに変えないとね。
僕は、フローリアちゃんを連れてカジノの交換所を目指した。
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