表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星空探偵部!  作者: 猫山 ちゅーる
1/3

星空探偵部!第1話 〈この出会い方はいささかロマンに欠けている。〉

エピソード0は主人公の愚痴なのでめんどくさい方は飛ばしてもらっても本編は楽しめるので大丈夫です。

エピソード0


〜探偵議録〜4月1日 月曜日


 【春、それは出会いの季節。今日はどこの学校も忙しいだろう。星雲学園でも入学式が行われ200人もの新入生を迎えた。まだ慣れない制服に身を包みいざ青春を謳歌せんとばかりに走り出している。さっそく部活動を見に行く者やその場で連絡を交換してはしゃいでいる者もいる。彼らはああやって3年間友人となる人を探すために交流を深めているのだろう。人が一生のうち親しい人と出会う確率は2500万分の1と言われている。一体どうやって彼らは繋がり友情を築いていくのだろう。出来ればまず友達の作り方から教えてほしい。いやだってあいつら確率を無視して次々と作ってくじゃん。知ってるか?宝くじの一等でさえ1000万分の1なんだぜ。そもそも友達がいて当たり前な風潮がおかしい。生まれた時点で膨大な運があり皆次々と消費していってるのではないかと思う。そうなら俺もその運を使って宝くじを当てたい。人生完全に勝ち組だな。】


 パソコンに打ち込むのを止めキーボードから手を離し、そのまま頭の後ろに組んだ。


 「こんな事考えてっから出来ねんだろうなぁ」


 深いため息をつき諦めて再びパソコンを操作し、今ある宝くじの種類を検索し始めた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


エピソード1◇北海道の春は遅れてやって来る◇


1話 〈この出会いはいささかロマンに欠けてる〉




 魔法、それは小さい頃からの憧れだった。テレビの中のヒーローがその力を使って人々を助ける姿はカッコよく輝いて見えた。私もいつかその特別な力を使って困っている人の助けになりたい、そう思っていた。でも現実は違った。魔法なんてそんなキラキラした物はなく、なにより周りは自分とは違う異質な物を気味悪がり関わろうとはしない。隠さなきゃ、これ以上嫌われないために。輝きなんて現実(ここ)にはなかったんだ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 五月、ここ最近は雨が続いていて道にはいくつも水溜りができている。梅雨の季節は少し早い気がするけどそんな時もあるのかな。


 てゆうかそもそも北海道に梅雨はないからわからない。今日も濡れないように気をつけよう。


 時折水溜りに注意しながら私の通う高校へと向かった。


 星雲学園、札幌にある少し大きめの高校。食堂などはないけど部活動用のサークル練があったりする。


 まぁ選んだ理由は家からものすごく近かったからだけど。中学の頃は左手にあるアザ、変な力のせいで上手くいかなかったけどここで新たに普通な青春を送るんだ。友達も無事にできたしこのままあわよくば彼氏だって…


 淡い期待を想像しながら歩いていたせいで前をよく見ておらず、不意に何かにぶつかって後ろに尻餅をついてしまった。


 「おふっ」


 「きゃあっ、 痛ったいなぁもう。」


 ぶつけた顔をさすっている私に手が差し伸べられた。見上げると白髪の男性が優しく微笑んでいる。


 「君、大丈夫かい?」


 完全に一目惚れしてしまった。


 これはもしかしたら曲がり角でぶつかって恋に発展する例のアレなのでは。今朝も占いで運命の人に出会うって言ってたしっ!。よく見てみると顔立ちも整っていてカッコよく私好みのイケメン。ぶつかった時は変な声がしたけどきっと気のせいかな。よしっ、まずは第一印象が大事だ!


 差し伸べられた手を掴み起き上がり、反対の手を口元に当て首を可愛く少し横に曲げる。


 「ありがとうございます。水溜りが無くて良かったです、あなたの方こそ大丈夫でしたか?」


 「決まった!」と心の中で勝利を確信していると男性は苦笑いで下を見ていた。


 「僕はぶつかっていないから平気だけど…」


 ぶつかっていない?なら私は一体何にぶつかったんだろう。


 同じく下を見てみるとなにやら黒い男が倒れていた。男は水溜りに見事に前から突っ込んでおりずぶ濡れになっている。


 「きゃあ! だ、だ、大丈夫ですか!」


 私より明らかに重症な男の姿に驚き思わず声を上げる。悲鳴にも似た確認に男は手だけを上げとりあえず無事なことを伝えていた。


 「もう、ほら早く起きて。急がないと依頼に間に合わないよ。」


 見下げていた白髪の男性が男を無理やり引っ張って起こすとそのまま肩に担ぎだした。


 「あの…」


 「ごめんね、驚かせちゃって。僕たち急いでるから、それじゃ!」


 そう言い残し男を担いだまま走り去ってしまった。担がれた男は肩の上でブルンブルン振り回されていた。あまりにも異様な光景にしばらく呆気に取られてしまう。


 「なんだったの、あれ。てか運命の人行っちゃったし。現実はそう、上手くはいかないか。」


 期待が外れがっくりと肩を落とす。占いなんてやっぱり当てになんないな。


 下を見ていると小さな紙が落ちているとこに気が付く。拾って見てみると白と灰色の猫が写っている写真だった。


 「さっきの人たちの、かな?」


 念のためカバンに入れ私も学校に向かうことにした。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 入学式から1ヶ月も経つと皆新しい学校に慣れ始め、昼休みになると各々グループを作り昼食を取ったりおしゃべりを楽しんでいる。私もこの前出来たばかりの友達と机を合わせ、お弁当を食べていた。


 「穂花はもう入る部活は決めたのか?」


 私の前にいる往犬京子(おういぬきょうこ)が購買で買ってきた焼きそばパンを食べながら聞いてくる。彼女は高身長で短めの髪を後ろに束ねていて、まだ5月だというのにワイシャツ姿をしている。名前の通り犬っぽく人懐っこい性格で親しみやすく、こうして共に行動をすることが多い。


 「うーん気になる部活はあったんだけどね、まだ迷ってる。」


 「じゃあさじゃあさ、私と同じバレー部なんてどう?一緒に入れば絶対に楽しいよ!」


 目を輝かせ机に手をついて乗り出していたせいでパンが潰れていた。


 「せっかくのお誘いだけど運動部はちょっと。」


 勧誘を断わると京子は手に顎をのせ不満に口を尖らせている。


 「なら何だったら入るの?早く決めないと入部期間終わっちゃうぞ」


 「分かってはいるんだけど…」


 入りたい部活はすでに見学に行っている。でも中学の事を思い出すとどうしても勇気が出ない。


 窓へと目を逸らし、誤魔化していると中庭にある桜の木の所で変な格好の二人組が見えた。一人は羽織に頭巾、口には白い髭を生やしていた。もう一人は花柄のぽんちょに同じく頭巾をしていたが、はみ出ている白い髪が不自然さを際立たせており柏餅みたいになっていた。


 二人は木に登ると何かを木に向かってまき始めた。まるではなさかじいさんを真似ている行為を見て少し引いてしまう。


 「何あれ…」


 私が引いていると京子も窓の方を向き手を頬に当て色めき始めた。


 「白の王子様じゃんっ、今日も変なことしてる〜」


 「京子知ってるの?」


 京子の方を見ると今度は目をハートにしていた。彼女はスポーティな容姿とは裏腹に恋愛には目がなかったりする。出会った時もイケメンを見つけては話しかけていたのだ。かくゆう私も今朝イケメンに惚れかけていたけど。


 「そりゃもう、学園で有名だよ! 小寺先輩、色んな部活の助っ人に来てはチームを勝利へと導いてくれるまさに王子様って感じな人で女子どころか男子にもモテる憧れの存在だよ!」


 私も白い髪の方は見覚えがあった。今朝出会った人だ。彼そんな漫画の中のような人だったんだ。なら隣にいる人は友人とかだろうか。


 思い出しながらもう一人についても聞いてみた。


 「へぇ〜、隣にいる人は?」


 「隣?隣にいる人はー…知らん。小寺先輩は普段探偵部で活動していてああやって校内でよく変なことしているんだってさ」


 「探偵部?」


 聞き慣れない単語に首を傾げていると京子がうんうんと頷きながら腕を組んでいる。


 「でもわかるぜぇ、小寺先輩カッコいいからなぁ。穂花も気になってるんだろ。」


 「そんなんじゃないよ、それより探偵部って何?そのうさん臭い部」


 カッコいいとは私も思うけど思い違いをされているので話題をそらした。


 京子はうーむと唸りながら少し難しい顔をしている。


 「確か依頼を受けて学園に起こる不可思議現象を調べたりしている人たちだったような。」


 不可思議現象、そんなこと起こるわけがないとは思うけど心当たりがある。中学3年生の時、現実ではあり得ないような力が私に宿り大切な友達を傷つけてしまった。力はアザとなって今も左手の甲に残っている。それ以来私は二度と力を使わない、見せてはならないと決めた。その代わりに周りの人の目を気にするようになり、こうして部に入れずに悩んでいる。


 「変な部活。」


 再び中庭に目を移すと二人はまだ何かをまいていた。きっと灰とか、かな。だが廊下を歩く先生に見つかり追いかけられている。


 「不可思議現象か…」


 私のアザのことも何か知っていたり相談すれば解決方法が見つかったらするのかな。逃げ回る二人を見ても全然そんな気はしなかった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 アザのことを相談するかしないか考えているせいで午後の授業に集中できず、すぐに放課後を迎えてしまった。


 教科書をしまっているとすでに荷物をまとめた京子が寄ってくる。


 「今日はどうするの?アタシは部活に行くけど?」


 「ちょっと用事があるから今日も体験入部はしないかな。」


 「そっか。それじゃ、また明日ね。」


 「うん、また明日。」


 エナメルバッグを背負い教室を出て行く京子に手を振って見送る。


 「放課後になっちゃったけど、どうしようかな。」


 アザのことを相談しても大丈夫だろうか。でも今まで手がかりなんてなかったし、それとなく聞いてみて知らなそうだったらすぐ帰ればいいよね。それにこの猫の写真も届かなきゃいけないし。


 心に大丈夫と言い聞かせとりあえず部室まで行ってみることにした。



                   第一話終わり


読んでいただきありがとうございます。この投稿が私の初作品なので不備やここおかしいなと思うところがあるかも知れません。そう感じたら是非な教えてくださると嬉しいです。システムもまだいまいち理解できていないので覚えていこうと思います。また感想やレビューなども貰えると嬉しい限りです。

本編はかなりの長編を考えており、エピソード1は大体8話以上になるかと思います。エピソード1の構想はすでにできているので順次投稿していきます。投稿スピードはこれから考えていこうと思っています。


ここらで本編について語ります。この作品は北海道を舞台に学園コメディをテーマにしております。1話からネガティブな感情が多くなっていますが終わり次第あまりネガティブにならないよう気を付けていこうと思います。では次の話も読んでもらえたら幸いです。

第一話を読んでいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ