2015.04.01 少年×旅立ちの日
まだ薄暗い時間、私は昨日までに纏めた荷物を持って玄関前に立っていた。
「大丈夫か。忘れ物は無いか。」
と、親父が聞いてきた。もう子供でも無いのだ大丈夫と返すと。
「今日18になったばかりだろうに。子供は卒業しても、大人とは言い切れない様な時期だろう、心配になるのが親心だ。」
朝早くにも係わらず両親と弟、祖母が見送りに来てくれた。家族と云うものは本当にありがたいが、18の私にはいささか鬱陶しくもあった。
「ひでちゃーん」
突然、裏手のほうから声をかけられた。振り向くと幼馴染の佐藤実歩が実歩の母と共にこちらへやって来た。
「あら、実歩ちゃん、来てくれたの。」
と、私の母が返す。どうした、朝から暇なのか。と聞けば。
「わざわざひでちゃんの見送りにきてやったのに。」
と言うので、私も捨てたものではないな。と言うと、
「彼女いない歴イコール年齢が何か言ってる。」
等と言うので流石に傷ついたが、私は家族だけでなく友人にまで恵まれていた様であると思えた。
「ひで君、いよいよだね。」
驚いた。今度は祖父の妹のヨシ子ばあちゃんまで来てくれた。朝早いのに、わざわざ見送りに来てくれたのだ。私は皆にありがとうと礼を言う。
しかし、これではまるで東京の大学に行く田舎の子みたいだ。と言と、実歩の母が、
「似たようなものでしょう、田舎なんだしね。」
と、宣うので皆笑った。
暫く集まってくれた皆と話していると、所謂、営業車という格好の車が乗り付けた。
「おはよう、川居君。待たせたかな。」
車の助手席から、恰幅の良い白髪混じりの中年男性が降りてきた。
自衛隊の地方協力本部、略して地本で勤務している林曹長だ。林曹長が乗ってきた車でこれから基地に向かうのだ。
「人気者だね、川居君。お別れは済んだかい。」と聞くので、ありがたくも、わざわざ来てくれたのです。と答えた。
私は皆に向き直り、では行ってくるよ。と言って車に乗り込んだ。