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エピローグ
北国に春が訪れた。
春の始まりは日ごとに暖かくなる。
今日も山の峰から朝陽が昇り、森林では山鳥たちがさえずる。
ミルク色の朝モヤが朝の風に追い払われると、バイオ研究所の白い建物が姿を現す。
今は無人で閉鎖されていた。
無人の研究所にも暖かな陽射しが降り注ぎ、敷地内の草花はいっせいに芽を出し始めていた。春を待ちわびていたかのように……。
そして、草花の下にも――。
北国の長い冬をじっと耐え忍び、春の訪れを待っているモノがいた。
白い卵である。
女王アリが築いた地中のトンネル。そこには巨大な卵が無数にあった。
アリ。
かれらは太古より、厳しい寒さから身を守るすべを備えている。地中の卵たちは、巨大アリとなり地上に出る日をじっと待っていた。
最後までお付き合いくださりありかとうございます。




